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【年表と写真で見る】“戦後最悪”の日韓関係はこうして出来た…尹大統領来日 関係改善なるか

2023年3月16日 7:00
【年表と写真で見る】“戦後最悪”の日韓関係はこうして出来た…尹大統領来日 関係改善なるか

いわゆる元徴用工をめぐる問題で解決策を発表した事を受け、韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が3月16日から17日の日程で日本を訪れ、岸田首相と首脳会談を行います。韓国の大統領が来日し首脳会談を行うのは、2018年5月の文在寅(ムン・ジェイン)大統領以来、およそ5年ぶりです。日韓関係はどのようにして“戦後最悪”と言われるまでに冷え込んだのか、年表と写真で振り返ります。

■2018年10月・11月 “元徴用工”訴訟で韓国最高裁が賠償命令

いわゆる元徴用工をめぐる訴訟で韓国の最高裁判所は2018年10月に日本製鉄(旧新日鉄住金)、翌11月には三菱重工業に賠償金の支払いを命じる判決を出しました。日本政府は「日韓の友好協力関係の法的基盤を根本から覆す。断じて受け入れられない」と厳しく批判し、韓国政府に対し適切な対応を取るよう強く求めました。

■2018年11月 韓国政府“慰安婦財団”の解散を発表

2018年11月、韓国政府は、日韓合意に基づき日本政府が拠出した10億円で、元慰安婦らへの支援を行ってきた「和解・癒やし財団」を解散すると発表。
当時の安倍首相は「国際約束が守られないのなら、国と国との関係が成り立たなくなる」と強く非難し、抗議しました。官邸関係者からは「付き合いきれない」と冷ややかな声も。

■2018年12月 韓国駆逐艦が自衛隊哨戒機にレーダー照射

2018年12月、日本の海上自衛隊の哨戒機が、韓国海軍駆逐艦から火器管制レーダーの照射を受け、韓国側に、レーダー照射の事実を認め再発防止を徹底するよう強く求めました。
一方の韓国側は、自衛隊機が韓国海軍の艦艇に対し、4回にわたって威嚇飛行を行ったとして「威嚇飛行を認めず、かえって、我が海軍がレーダーを照射したと主張し、謝罪を要求するのは、友好国に対する非常識な言動だ」と日本側を強く非難しました。
日本の防衛省は、レーダー照射を受けた際の映像などを公開し「危険な飛行はしていない」として、韓国側に改めて対応を求めましたが、協議は平行線に終わりました。

■2019年7月 韓国へ3品目輸出規制強化・日本製品不買運動が本格化

いわゆる元徴用工訴訟への事実上の対抗措置として、2019年7月、日本政府は半導体やスマートフォンの有機ELディスプレーの製造などに使われる3品目の化学製品について、韓国への輸出規制を強化しました。
これをきっかけに韓国では、日本製品の不買運動(いわゆるNO JAPAN運動など)が本格化し、市民らが日本大使館前で不買を呼びかける集会を開くなど、反日感情をあらわにしました。

■2019年8月 韓国を「ホワイト国」リストから除外

2019年8月、日本は韓国の輸出管理制度には不十分な点があり、安全保障上の観点から必要な措置だとして、貿易管理上の優遇措置を受けられる「ホワイト国」のリストから、韓国を除外しました。韓国側は日本の一連の措置を、いわゆる元徴用工訴訟への報復だと非難しましたが、日本政府はあくまでも安全保障上の措置だと主張しました。

■2019年8月 韓国がGSOMIA破棄を決定 のちに“破棄手続き”を凍結

2019年8月、「ホワイト国」リストからの除外を受けて韓国は、日本と韓国が軍事機密を共有するため結んだ協定=GSOMIAについて、協定を延長せず、破棄する決定を行ったと発表しました。
当時の岩屋防衛相は「失望を禁じ得ず、極めて遺憾」と述べた上で、「韓国側の賢明な対応を強く求めたい」と強調しました。さらにアメリカ・トランプ政権も「強い懸念と失望」を表明。結局、韓国は11月、GSOMIA破棄の手続きを凍結しました。

2019年9月、韓国向けの輸出管理を厳しくした日本の措置が、いわゆる元徴用工訴訟に絡む政治的な動機に基づいており、「韓国を狙った差別的なものだ」として、韓国が日本をWTOに提訴しました。日本側は一貫して、輸出規制は「WTOのルールに沿ったものだ」と主張しています。

■2019年12月 1年3か月ぶりの首脳会談

戦後最悪と言われるまで日韓関係が冷え込むなか、2019年12月、1年3か月ぶりに日韓首脳会談が行われました。中国で日中韓首脳会談が行われた機会をとらえて行われたものです。
会談時間の3分の1がいわゆる元徴用工訴訟の問題について費やされ、当時の安倍首相は、韓国側の責任で解決策を示すよう求めました。一方、韓国側から新たな提案はなく、「お互いの立場に差がある」と韓国側が説明するなど、溝は埋まりませんでした。

■2020年9月 菅義偉首相 就任

安倍元首相が健康上の理由で辞任したことを受け、2020年9月、菅義偉氏が首相に就任しました。

■2021年10月 岸田文雄首相 就任

菅氏が自民党総裁選挙への不出馬を表明して退陣し、2021年10月、岸田文雄氏が新たな首相に就任しました。

■2022年5月 尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領 就任

2022年5月、日米韓3か国の連携を重視する姿勢を明確にしていた尹錫悦氏が韓国の大統領に就任しました。

■2023年3月 尹大統領「日本は“パートナー”」

3月1日、韓国の歴代政権にみられた日本への厳しい姿勢から一転、尹大統領は独立運動記念日に日本を"普遍的価値を共有するパートナー"と表現するなど、未来志向を強調する姿勢を示しました。

■2023年3月 元徴用工問題の「解決策」発表

3月6日、日本と韓国の最大の懸案となっている元徴用工をめぐる問題について、韓国政府は政府傘下の財団が民間の寄付をもとに、日本企業の賠償を肩代わりする解決策を公式に発表しました。



尹大統領の来日決定を受け、岸田首相は9日夜「日本政府としては、韓国政府による旧朝鮮半島労働者問題に関する措置の発表について、評価している。両国の関係強化にむけて取り組む機会としたい」と関係改善に意欲を示しました。

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