「別にパンダなんていらない」“貸与”要請にSNS上で… 大きな経済効果も?
公明党の山口代表が中国側に対し、宮城・仙台市にジャイアントパンダを貸与するよう要請しました。中国が展開してきた「パンダ外交」。なぜ、パンダは「貸与」なのか、大きいというその経済効果などについて解説します。
■パンダ 過去には贈呈も なぜ「貸与」に?
「『別にパンダなんていらない』SNS上で上がっている声です。何かというと、中国を訪問している公明党の山口代表が中国側に対し、仙台市にジャイアントパンダを貸与するよう要請したんです。パンダが外交の場でとりあげられることって、昔からありますけど…」
小栗泉・日本テレビ解説委員長
「かわいくて平和なイメージのあるパンダを、外交の1つの手段、ツールとして、いわば『パンダ外交』というのを中国はずっと展開してきました。1972年、上野動物園に日本で初めてパンダのカンカンとランランがきました」
有働キャスター
「私も上野動物園に行って並んで見ました」
小栗委員長
「この時は日中国交正常化が実現した年で、友好の証しとして日本に贈呈されました。その後、パンダが『絶滅のおそれがある』として保護対象になってからは、『贈与』ではなく、繁殖や研究を目的として『貸し出す』形になったんです」
■「困っている日本人にお金使って」との声も…経済効果は大きい?
有働キャスター
「借りるとなると、いわゆるレンタル代もかかるわけで、ネットでは『パンダより困っている日本人にお金使って』という声もありますね」
小栗委員長
「確かに、“パンダを保護するための資金”という形で、例えば東京都は2020年度には、2頭で年間およそ1億円を中国に支払っています」
「ただ一方で、パンダの経済効果も大きくて、関西大学の宮本名誉教授の試算では、シャンシャンが生まれてから返還されるまでの6年弱の間の経済効果は600億~650億円。『日本が優勝した今年のWBCとほぼ同じ規模で、やっぱり見に行きたい人は多いですからね』と話していました」
「今回、誘致している仙台市は、東日本大震災のあと、パンダを誘致して被災された方を勇気づけたいと10年以上アプローチを続けてきました。今回、中国側も前向きな姿勢を示したということです」
有働キャスター
「廣瀬さん、パンダ外交ですけれども…」
廣瀬俊朗・元ラグビー日本代表キャプテン(「news zero」パートナー)
「パンダは上野動物園へ一度見に行こうかなぐらいの気持ちだったので、外交に使っているというのは驚きでした。個人的には、動物を外交の道具にするというのは適切ではないと思うので、新しい形を模索するべきだと思いました。パンダにとってはいい迷惑な話だなと」
有働キャスター
「パンダの視点に立つと…」
■「他に要請することあるでしょ」水産物の輸入停止は…
有働キャスター
「一方で、『パンダより他に要請することあるでしょ』という声も上がっています。福島第一原発の処理水放出をめぐり、中国が日本産水産物の輸入を停止している問題などを受けてなんですが、この点は…」
小栗委員長
「その点は、公明党の山口代表も23日、王毅外相と会談して、輸入停止措置の解除を求めました」
「また、もともとIAEA=国際原子力機関の調査には、中国の専門家も加わっているんですが、王毅外相は中国独自のモニタリング機会を作ってほしいと主張しました。山口代表は、その是非も含めて今後、一致点を見いだせるだろうとしています」
有働キャスター
「あんまりくっつけない方がよくて、パンダはパンダ、友好は友好でみんなが喜ぶならやるのはいいと思いますし、一方で、水産物の禁輸などについては日本側も譲れない部分があるので、ちゃんと言うべきことを言ってしっかりやってほしいと思います」
(11月23日放送『news zero』より)