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自衛隊、もがく~広がる任務と足りない隊員

2023年8月26日 14:34
中ロの脅威など安全保障環境の急速な変化へ対応するため自衛隊の任務は多様化、拡大している。一方、慢性的な隊員不足という矛盾も。
自衛隊唯一の海外拠点や省人化を進めた最新鋭護衛艦などを取材。任務の多様化と人員不足の矛盾にもがく自衛隊の実態に迫る。

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自衛隊は、いま、隊員不足。

隊員:「入って辞める方も非常に最近多いので」

北朝鮮や中国、ロシアなどが軍事活動を活発化。
日本を取り巻く安全保障環境は今「戦後最も厳しい」とまで、言われているのです。これに対応するため、任務が増え続ける自衛隊。日本から1万キロ近く離れた場所でも活動しています。
国土の多くが砂漠で覆われたジブチには、自衛隊が海外に持つ唯一の拠点があります。大野瑠華(おおの・るか)3等海尉。海上自衛隊のパイロットです。

大野さん:「Japan Navy04. Runway 09. Ready for takeoff.(離陸準備完了)」

多くの貨物船などが行き交うここは、アジアとヨーロッパを結ぶ重要な海域。ジブチでの海上自衛隊の部隊の任務は、このソマリア沖アデン湾で海賊に対応すること。

大野さん:「日本だけではなく、各国の国籍の商船がいるので、緊張感は高まります」

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大野さん:「自分の周りにたくさんのお父さんに囲まれて、すごくあたたかい。のびのびと仕事を出来ているなと思います」
隊員:「10月に生まれたばかりの長女がいます。まだ会ってません。テレビ電話をたまにするんですけど6時間の時差があって、いつも寝てる顔しか見られないのでそこはちょっと寂しい面もあるんですけど、帰ってからの楽しみにしたいなと思います」

増え続ける任務に、慢性的な隊員不足…

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なんとか解決しようとする中、自衛隊を体験してもらうイベントが2泊3日で行われました。SNSなどを通じて参加者を募り、およそ240人の若者が 集まりました。

隊員:「それでは自衛隊で待っていますので、一緒に仕事をしましょう。待っています!気をつけ!礼!」

隊員:「こちらは機関銃ですね。マシンガンについて展示しています」

少子化で若者が減り続ける中、安定的な自衛隊員の確保は、今後益々難しくなると言われています。

関根大仁さん(自衛隊札幌地方協力本部 広報企画室長)
「自衛艦に対する国民の信頼度が高い水準を保っているんですけど、いざ我が事として職業として選択するとなると、そこに大きなギャップがあるなと感じていて」

そんな中、必死の勧誘を続ける自衛隊員。

隊員:「なにをしたいんですか?」学生:「ナンバー1になりたいです。レンジャーにいって」

ただ、セクハラ・パワハラ問題の表面化や、3人が死傷した自衛官候補生による銃撃事件など、隊員募集に逆風となるような事案が相次いでいます。

この日のイベントの目玉は、戦車などの試乗。

隊員:「よし行こう!前進用意!前へ!」
記者:「みんな自衛隊入るの考えてきょう来たの?」
学生:「考えていますね」

自衛隊の定員は、およそ24万7000人ですが、今、1万6000人ほど足りていません。

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砂漠の大地、ジブチで緊張感のある任務にあたる自衛隊。パイロットの大野さんの支えになっていたのは、家族との電話です。

大野さん:「元気?」
大野さんの妹:「元気だよ。そっちは元気?」
大野さん:「ごめんね。誕生日を直接祝えなくて」
大野さんの妹:「ホントに会いたかったよ」

大野さん「家族離れているんですけど、こういうふうに思ってくれるのって、なんかうれしいなって思います。会いたいなって思うことが多いです」

任務が拡大する一方で、深刻な隊員不足という、課題を抱える自衛隊。
その矛盾の中で自衛隊は、きょうも、もがき続けています。

※2023年9月3日放送 NNNドキュメント'23『自衛隊、もがく 広がる任務と足りない隊員』をダイジェスト版にしました。