100人の安倍派がパーティー開催…新会長いつ決まる?
自民党の安倍派は16日、東京都内で政治資金パーティーを開いた。政界で「分裂の恐れが高まる」と言われる100人の大台に乗った最大派閥は、いまだに後継会長を決められていない。内部からは「一周忌までには」などと焦りの声が聞こえてくるが、果たして……。
■安倍元首相の一周忌? 「秋の人事に備える」案も…
「人数が多い集団、みんなで協力して本日まで頑張ってきましたが、いずれ引っ張ってくリーダーが必要でしょうし、多士済々、本当に色々な優秀なメンバーがいます。誰が(会長に)なっても、集団・派閥として、しっかりこれから日本の政治を動かしたい」
16日、都内で行われた清和政策研究会(安倍派)のパーティーで、塩谷立会長代理はこう挨拶した。
一方、これまで派閥のあり方について発信を続けている森元首相は、出席したものの、挨拶には立たなかった。
安倍元首相が亡くなって10か月がたつが、いまだに後継会長が決まらないままだ。当初は、この日のパーティーまでに「会長を決めるべきだ」という声もあったが、それも果たされなかった。
なぜ、後継会長を決められないのか。
会長選びのキーパーソンとなるのは、松野官房長官、西村経産相、萩生田政調会長、高木国対委員長、世耕参院幹事長の「5人衆」だ。今後の派閥運営に影響力を持つ「5人衆」の考えが一致する会長候補が出なければ、安倍派は分裂しかねない。
「衆議院と参議院から1人ずつ共同代表を決めればいい」という議員もいる。しかし、「参議院は世耕参院幹事長でまとまるだろうが、衆議院で1人に絞るのは難しい」という声が多い。
また、派閥会長と「派閥で推す自民党総裁候補」を分けようという案が派閥幹部から出されたが、これも決め手にはなっていない。
自民党の最大派閥が、いつまでも会長を決められない異常事態。
打開のめどの一つとされているのは、安倍元首相の一周忌となる7月8日。ただ、派閥関係者からは「(16日の)パーティーまでに決まらないのなら、期限を区切っても難しいのでは」という弱気な声も聞かれる。
「今年の夏から秋にかけて決めるべきだ」という議員もいる。「できるだけ早くに会長を決めて、秋に想定される内閣改造・党幹部人事に備えた方がいい」(中堅議員)という考え方からだ。
安倍派は現在、岸田内閣に松野官房長官、西村経産相、西村環境相、岡田地方創生相の4閣僚を送り込んでいる。また、自民党でも萩生田政調会長や世耕参院幹事長、高木国対委員長など、要職を多く占めている。
閣僚の1人は「前回人事では安倍元首相の意向が働いた」と話す。その安倍氏は今はいない。そして、会長を決められない派閥は、人事に対する影響力も弱まりかねないだろう。