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政府が進めた「強制送還」の背景は?

2012年8月17日 23:34
政府が進めた「強制送還」の背景は?

 香港の活動家らが沖縄・尖閣諸島に上陸した事件で、逮捕された活動家ら14人は17日に強制送還された。政府が今回、粛々と強制送還への手続きを進めた背景を政治部・近野宏明記者が報告する。

 東京都の石原知事らからは「逮捕した活動家らを裁判にかけ、刑事責任を問うべき」との声もあった。しかし、政府側は事態の長期化によって日中関係がさらに悪化することを避けるため、決着を急いだ。検察に送る刑事手続きに入らず、速やかに強制送還させる方針については16日の段階で野田首相が了承していて、17日朝の関係閣僚会議で正式に確認された。

 一方、自民党などは政府の対応を批判している。

 自民党・小野寺外交部会長「今回、投石まで受けた。それはわかりました。そこまで妨害されても公務執行妨害に問わない。こういう弱腰な姿勢では、今後、領土が守れるのか、本当に心配になったと思う」

 石原都知事「投石も含めて、これは公務執行妨害じゃないんですか。とにかく『ただ不法入国者だから帰す』って言ったら、これはやはり、日本は本当の法治国家とは言えないと思う」

 これに対し、藤村官房長官は「海上保安庁が公務執行妨害にはあたらないと判断した」と述べ、立件しなかったのは政治判断ではないことを強調した。

 国会では来週、尖閣諸島や竹島問題での政府の対応をめぐり、集中審議が行われる見通し。