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日米首脳会談後の首相会見、ポイントを解説

2013年2月23日 10:44

 アメリカ・ワシントンを訪問している安倍首相は日本時間23日未明、ホワイトハウスでオバマ大統領と就任後初めての首脳会談を行った後、記者会見をした。記者会見のポイントについて、ワシントン支局・青山和弘記者が解説する。

 最大の焦点はTPP(=環太平洋経済連携協定)の交渉参加問題について、安倍首相がどのように発言するかだった。

 会見で安倍首相は、オバマ大統領との会談で「TPPでは聖域なき関税撤廃が前提ではないことが明確になった」と述べた。自民党の先の衆議院選挙の公約「聖域なき関税撤廃が前提なら、交渉に参加しない」という条件をクリアできたと明言したことになる。安倍首相は、交渉に参加するかどうかの最終判断については、与党に会談の結果を報告した上で政府への一任を取り付け、「なるべく早い段階で決断したい」と述べた。

 安倍首相は帰国後、TPP交渉への参加に向けて政府・与党内の調整に入るとみられる。しかし、今回の首脳会談の合意でも、結果はともかく、交渉参加の段階では例外を設けず、「全ての物品が対象とされる」ということも確認していて、ここに反対論が吹き出せば調整が手間取る可能性もある。

 また、今回は自民党が政権に復帰してから初めての日米首脳会談だったが、安倍首相は会見で「この3年間で著しく損なわれた日米の絆と信頼を取り戻し、日米同盟が完全に復活した」と胸を張った。

 しかし一方で、オバマ政権には、安倍首相が中国や韓国を刺激して地域の緊張をさらに高めないか懸念する声は根強くある。こうした中、安倍首相は会見で、中国・習近平総書記について「13億の民を統治していくことが大変だということは、私も十分に認識している」とした上で「同世代の指導者としていろんなことを話す機会があればいいと思っている」と述べ、日中首脳会談の実現に強い期待感を示した。その上で、「尖閣諸島の問題をエスカレートさせるつもりはない」と強調した。

 安倍首相が現実的な対応で中国や韓国との関係を改善し、一方でTPPやアメリカ軍普天間基地(沖縄・宜野湾市)の移設問題などの懸案を着実に前進させることができるのか。何よりも、長く政権の座にとどまってオバマ大統領との本当の信頼関係を築くことができるのか。安倍外交はまだ始まったばかりだ。