北朝鮮が拉致被害者らの全面的な調査を行うと約束した事について、安倍首相は「北朝鮮が約束を実行するよう強く促していく」と述べた。

　北朝鮮は２００８年に、拉致被害者の調査をするとしながらその後、一方的に約束を破った経緯があり、安倍首相は今回こそは調査を実行するよう促すとしている。

　安倍首相「固く閉ざされていた拉致被害者救出の扉、まずは交渉の扉を開く事ができたと思います。北朝鮮がこの約束を実行するように強く促していく考えです」

　北朝鮮が拉致被害者や拉致の疑いのある行方不明者など、全ての日本人について全面的な調査を行うと約束した事について、閣僚からは「きちんとした調査が行われるか見極めるべき」との声も出ている。

　古屋拉致問題担当相「合意をしっかり誠実に、向こうが履行していくかどうか、これは極めて大切」

　麻生財務相「ぬか喜びさせられるのはあまりおもしろくないからね。こういうのは交渉だからね。相手も相手なんだから、そんな簡単な交渉ではないよ」

　菅官房長官は「せいぜい１年以内だ。だらだらやるものではない」と話す一方、北朝鮮の対応次第では今後、制裁措置を解除したとしても、また制裁に踏み切る事もありうるとの考えを示した。

　こうした中、安倍首相は３０日午前、「アジア安全保障会議」で基調講演を行うため、シンガポールに向け出発した。講演では海洋進出を進める中国を念頭に「力を背景とした現状変更は決して許さない」との考えを強く訴える事にしている。