【全文】新型コロナ"パンデミック終了宣言"は?松野官房長官(9/21午前)
松野官房長官は、21日午前の会見で、新型コロナ対策を緩和する中で、岸田首相から近いうちにパンデミック終了宣言を出す考えはあるか問われ、「現時点において終了宣言を出すことは考えていない」と述べました。
<会見トピックス>
▽新型コロナ全数把握見直し
▽オミクロン株対応ワクチン
▽安倍元首相国葬
▽与野党党首会談
▽安保理改革
▽ウクライナ情勢
▽旅館業法改正案
▽パンデミック"終了宣言"
会見の概要は以下の通りです。
○松野官房長官
私からの冒頭発言はございません。
――新型コロナ対策について2点伺います。
まず全数把握の見直しについてお聞きします。
医療機関に詳しい報告を求める対象を重症化リスクの高い感染者に限定する措置が来週から全国一律で始まるのを前に、昨日、全国知事会は詳しい報告の対象から外れる人にも、引き続き外出自粛を要請することなどを求めました。
政府としてどう対応していく考えか伺います。
○松野官房長官
今般専門家の意見を伺いながら重症化リスクのある高齢者等を守ることに重点を置いて、全数届け出の見直しなどを行ったところでありますが、陽性者の療養期間中においては、他人に対して感染させるリスクがあることから、発生届け出の有無にかかわらず、陽性者の外出自粛をお願いをしているところであります。
厚生労働省においては、この見直しの円滑な実施に向けて、事務連絡の発出やQ&Aの更新、リーフレットの作成等を行っているほか、自治体向けの説明会を開催してきており、引き続き、都道府県と連携して取り組んでまいりたいと考えております。
――昨日からオミクロン株に対応したワクチン接種が始まったが、BA.5に対応する成分などが含まれる新しいワクチンの承認が申請されていることなどから、接種控えが生じるのではないかといった指摘もある。
接種が始まったワクチンの有効性などについての政府としての見解と接種促進に向けた考え方を伺う。
○松野官房長官
昨日からオミクロン株対応ワクチンの接種が開始をされました。
現時点の知見を踏まえた専門家による検討では、オミクロン株の種類にかかわらず、オミクロン株成分を含むことで、従来型ワクチンを上回る重症化予防効果等や、ウイルスが今後変異する可能性がある中で、今後の変異株に対しても、より効果が高いと期待をされています。
このため、接種を希望される方は、その時点で接種可能なワクチンを速やかに接種をいただきたいと考えています。
また、過去2年はいずれも年末年始に感染拡大の波が到来したことも踏まえ、若い方も含め、年末までに希望する全ての対象者がオミクロン株対応ワクチンの接種が完了するよう、自治体等に対し、接種体制の整備を依頼をしています。
また、地域の負担軽減を図り、接種を促進するため、職域接種についても、10月下旬から実施することとしています。
政府としては、このような取り組みを通じて、円滑なワクチン接種の実施に取り組んでまいりたいと考えております。
――安倍元首相の国葬について。
海外から190以上の代表団の参列を見込んでいるということですが、700人前後と報道されている海外からの参列人数の見込みについて伺います。
また合わせてこれまで公表した方々に加えて、新たに参列が決まった外国の要人がいらっしゃればご紹介お願いします。
○松野官房長官
安倍元総理国葬儀には、現時点で190以上の代表団の参列を見込んでいますが、具体的な参列人数については、現在通知を受けているところであり、これまでに公表した以外の要人の参列予定も含め、適切なタイミングにしかるべき形で公表したいと考えています。
――安倍元総理国葬の関連。
安倍元総理の国葬をめぐり、国民民主党の古川国対委員長は、自民党の高木国対委員長と会談し、与野党党首会談を開いて岸田総理が改めて説明するよう求め、高木氏は「政府に伝える」と答えた。
政府としての対応方針を伺う。
○松野官房長官
昨日、衆議院において、自民党国対委員長に対し、国民民主党国対委員長からお尋ねの項目を含む求めがあったことは承知をしています。
総理については、国連総会への出席、さらには帰国直後から30を超えるとも見込まれるバイ会談の準備も含め、国葬儀に伴う一連の外交日程が終了するまでは日程的に極めて困難な状況であると承知をしています。
――けさ早く、総理官邸近くの路上で70代くらいの男性が自分の体に火をつけたとみられ、現場近くからは「国葬反対」などと書かれた文書が見つかったということだが、政府が把握している情報は
○松野官房長官
お尋ねの件については、本日午前7時前。
内閣府下交差点付近において、やけどを負った男性を警察官が発見したと聞いていますが、詳細は現在警察において確認中であると承知しております。
――安保理改革について伺います。
総理は国連総会の一般討論演説で、安保理改革に関する決議案作成や再来年の交渉開始を提起されました。
安保理改革を巡っては、2005年に日本、ブラジル、ドイツ、インドが中心となって、決議案を提出したものの廃案となった経緯がございます。
今後、決議案の作成の提出、採択に向けてどのような戦略を描いているのかお聞きいたします。
○松野官房長官
国連においては、長年にわたり安保理改革の議論が積み重ねられてきています。
我が国としては、議論のための議論ではなく、改革実現に向けた行動を開始するべきとの考えであり、岸田総理が一般討論演説において述べたのも、そのための文言ベース交渉を開始すべきとの考えであります。
岸田総理が言及した、2024年の国連未来サミットでは、持続可能な開発、気候変動、デジタル技術の活用、平和と安全等の国際社会の多岐にわたる課題について、国連のもとでの対応を議論することが想定されていると承知をしています。
そういった機運も念頭に置きながら、安保理改革を含む国連の機能強化に関わる議論を前進させる機会にできればと考えています。
いずれにせよ、国際秩序の根本が大きく揺らぐ中、国連憲章の理念と原則に立ち戻り、安保理改革を含む、国連全体の機能強化が重要です。
関係国と緊密に連携しつつ、適切に取り組みを進めていく考えであります。
――ウクライナ情勢について。
親ロシア派勢力がウクライナの東部や南部の支配地域で、23日からロシア編入と住民投票を実施すると発表しました。
ロシアの領土への併合を狙う動きとみられ、欧米からは強い反発も出ているが、日本政府の見解をお願いします。
○松野官房長官
報道によれば、ウクライナ国内のドネツク、ルハンシク、ヘルソンおよびザボリージャにおいて、9月23日から27日日にかけて、ロシア編入に向けた住民投票が実施される予定であり、ラブロフ外相を含むロシア政府関係者も、これに対して肯定的な反応をしているものと承知をしています。
ウクライナ国内における、こうした住民投票と称する行為は、ウクライナの主権と領土一体性を侵害し、国際法に違反する行為であり、認めてはならず、強く非難します。
そのような試みは無効であり、国際社会の法の支配に反するものであります。
我が国は、力による一方的な現状変更の試みを決して看過できず、引き続き、G7をはじめとする国際社会と連携しつつ、強力な対露制裁およびウクライナ支援の二つの柱にしっかりと取り組んでいく考えであります。
――旅館業法改正案について。
政府は、新型コロナなどの流行時にマスクを着用しない客の宿泊を拒否できるようにする旅館業法改正案を秋の臨時国会に提出することを目指しているが、その狙いと、宿泊拒否による差別助長への懸念に対してどう対応するのか考えを伺う。
○松野官房長官
現在、検討中の旅館業法の改正については、宿泊者にも感染防止対策にご協力いただき、旅館・ホテルにおける感染症のまん延を防止することを目的とするものであります。
検討中の改正案においては、正当な理由なく、感染防止対策に協力いただけない場合は、宿泊を拒むことができるようにする一方、差別の防止を徹底する観点から、対象となる感染症を明確化すること、過去の宿泊拒否事例も踏まえ、旅館・ホテルにおいて、従業員への研修を努力義務とすること等を盛り込むこととしているところであります。
今後、今回の改正が実現した際には、旅館・ホテルの現場で適切な対応が行われるよう、厚生労働省において、患者団体等のご意見も丁寧にお聞きをしながら、ガイドライン等を策定するものと承知をしています。
――米国のバイデン大統領がCBSテレビのインタビューで、18日に米国の新型コロナウイルス感染症をめぐり、まだ問題点であり続けており、やるべきことはたくさんあると述べつつも、同時に、パンデミックは終わったと発言。
日本においても、新型コロナ対策を緩和する中、総理から近いうちにパンデミック終了宣言を出す考えは。
○松野官房長官
新規感染者数は本年2月のピークを下回る水準となりましたが、連休が続くことによる感染状況への影響に注意が必要だと考えています。
現在の新型コロナウイルス感染症については、オミクロン株であっても、致死率や重症化率がインフルエンザよりも、特に高齢者において高いこと、他方で、若者の重症化リスクは低く、大部分の人は、感染しても軽症で入院することはないといった、オミクロン株の特徴や感染拡大防止と社会経済活動との両立を進めていくことなどの観点を踏まえ、現在、様々なご意見を伺いながら、重症化リスクのある高齢者等を守ることに重点を置いた上で、ウィズコロナの新たな段階への移行を着実に進めているところであります。
現時点において、ご指摘のような終了宣言を出すことは考えていませんが、今後の感染拡大の可能性やウイルスの変異の可能性等にも留意しながら、ウィズコロナにおける感染対策のあり方について、引き続き検討してまいりたいと考えております。