【全文】"弔問外交"「安倍元首相が培った外交的遺産を受け継ぎ発展させる」 松野官房長官(9/16午後)
松野官房長官は、16日午後の会見で、安倍元首相の国葬にあわせて各国要人が来日することについて、「安倍元首相が培われた外交的遺産をわが国としてしっかり受け継ぎ、発展させるという意思を示していきたい」と述べました。
<会見トピックス>
▽入管施設死亡裁判
▽臨時国会召集日
▽エリザベス女王国葬
▽弔問外交
▽安全保障関連法
▽日露安全操業協定
▽電気料金
▽新型コロナ感染者数把握方法
▽吉川赳衆議院議員
会見の概要は以下の通りです。
○松野官房長官
冒頭発言はございません。
――入管施設を巡る裁判について伺います。
8年前に茨城の施設でカメルーン人の男性が死亡したことを巡る裁判で、水戸地裁は救急搬送の遅れなど対応に過失があったとして国に賠償を命じる判決を言い渡しました。
受け止めと今後の対応について伺います。
また入管施設での医療対応を巡っては去年、名古屋市の施設でスリランカ人の女性が亡くなったことなどを踏まえ、改善を求める声もあります。
政府としてどのように取り組む考えか、合わせて伺います。
○松野官房長官
お尋ねの判決があったことは承知をしております。
今後の対応については、法務省において判決の内容を精査した上で適切に対応するものと承知をいたしております。
死亡事案の状況や経緯は、様々であり、その原因、理由については個別具体的な事情を踏まえて対応する必要があると認識をしていますが、例えば、出入国在留管理庁では、死亡事案が発生した茨城県の施設において常勤医師を確保することとしたほか、ご指摘の名古屋入管での事案の調査報告書で示された改善策に基づき緊急対応に関わるマニュアルの整備や被収容者の体調等をより正確に把握するための通訳等の活用に取り組むなど、医療体制の強化を含む。
被収容者の処遇改善に努めているものと承知をしております。
――臨時国会の召集について。
政府は、10月3日に臨時国会を召集する方針を与党側に伝えたかどうか、伺います。
また、経済対策を踏まえた補正予算案の提出時期や、主な提出予定法案についてもあわせて伺います。
○松野官房長官
臨時国会の召集については国会のことでもありますので、与党ともよく相談して対応をしていきたいと考えていますが、調整中であり、具体的な内容についてコメントは控えたいと思います。
補正予算の編成については、これまでも申し上げている通り、今後、与党とも連携しながら検討を進めていく経済対策の内容を踏まえて、しかるべき時期に検討をしていく考えです。
提出予定法案についても固まっているものではなく、いつどのような法案を提出するかについては、国会でお決めになった会期の中で、諸般の事情を総合的に勘案して検討してまいりたいと考えております。
――英国のエリザベス女王の国葬に関して伺います。
政府は本日の閣議で、天皇皇后両陛下が英国の国葬に参列するため、17日からの日程で英国訪問されることを決めました。
改めて、19日に行われる英国の国葬に対する政府の受けとめを伺います。
また、英国では各国の要人が多数参列し、 弔問外交が展開されることが見込まれています。
安倍元首相の国葬に当たっても岸田首相が来日する各国要人と集中的に会談を行う意向を示していますが、政府として国政における弔問外交の意義をどのように捉えていますでしょうか。
○松野官房長官
英国王室と我が国の皇室とは、かねてから親しいご関係にあり、ことに、エリザベス女王は70年にわたる在位の間、昭和天皇、上皇陛下、天皇陛下と3代にわたりご交流されてこられました。
また、令和になってからも、新型コロナウイルスの関係で延期になりましたが、女王ご自身より天皇皇后両陛下の英国訪問のご招待をいただいていたことなどを勘案し、政府としても、両陛下に国葬へのご参列をお願いすることとしました。
エリザベス女王は1952年のご即位以降、英国王室史上最長となる70年にわたり在位され、世界の平和と繁栄のために極めて大きな役割を果たされました。
エリザベス女王の国葬に際し、日本政府として、改めて謹んで哀悼の意を表するとともに、英国民の皆さまがこの深い悲しみを乗り越えるに当たり、日本は常に英国とともにあると申し上げたいと思います。
安倍元総理の国葬儀については、今般の国葬儀を実施することで、安倍元総理を追悼するとともに、我が国は暴力に屈せず、民主主義を断固として守り抜くという決意を内外に示していきます。
また、国際社会から寄せられた数多くの敬意や弔慰に対し、日本国として礼節をもって丁重にお答えすることが重要であると考えております。
なお、国葬儀の機会に訪日される数多くの海外要人と、可能な限り集中的にバイ会談を実施し、安倍元総理が培われた外交的遺産を我が国としてしっかり受け継ぎ、発展させるという意思を示していきたいと考えております。
――安全保障関連法の関係で伺います。
来週19日に安保法成立から7年を迎えます。
最近では、中国による台湾周辺での大規模な軍事演習が行われた他、ロシアによるウクライナ侵攻が続くなど安全保障環境が大きく変化しておりますが、安保法の意義や法成立7年の意義について受け止めを。
○松野官房長官
我が国の領土・領海・領空を保持し、地域の平和と安定、そして国民の生命と財産を断固として守り抜くことは政府の最も重要な責務であります。
2015年に成立した平和安全法制により日米同盟はかつてないほど強固となり、抑止力、対処力も向上しています。
また、平和安全法制により幅の広がった安全保障防衛協力を着実に実施することは、地域および国際社会の平和と安全により積極的に貢献するものであり、ひいては、我が国の平和と安全の確保に資するものであります。
政府としてはこうしたこれまでの安全保障上の政策の積み重ねを踏まえ、現下の安全保障上の諸課題にしっかりと対応していきたいと考えています。
――北方四島周辺での日露安全操業協定について伺います。
ロシアが協定の履行の停止を表明し、本日はホッケ刺し網漁の解禁日ですが、出漁が見送られました。
ロシア政府は安全操業の条件として、サハリン州との協力事業に関する援助金の支払いを求めていますが、政府として支払う意向はありますでしょうか。
ロシア側との調整状況はどうなっていますでしょうか。
○松野官房長官
サハリン州との協力事業については、枠組み協定に基づく操業の対価ではないものの、ロシア側枠組み協定に基づく操業を実施する上での不可分な要素と考えており、本件事業の実施は間接的ではありますが、枠組み協定に基づく日本漁船による操業の実施に資するという面があります。
この件や北海道水産会が支払う協力金の支払いなど、関係する様々な事柄について、漁業者の意向も踏まえつつ、それらの手続きに関して、関係者間で調整を続けているところであります。
操業期間は年末まで設定されており、1日も早く枠組み協定のもとでの操業が開始できるよう政府としても全力を尽くしていく考えであります。
――電気料金についてお伺い致します。
7月の貿易統計に基づいて各社の10月の電気料金に反映される燃料費調整単価が発表されましたけども、おしなべて上昇しております。
これかなり円安が影響してると思いますが、 そもそもですね、2021年4月から22年3月、2021年度でもですね、家庭向けでは22%上昇、企業向けは29%上昇という基本的に上昇している傾向があります。
さらに円安が加速しますと、これはかなりの負担になると思いますけども、これについてですね、次の補正予算などでかなり厚くやらないといけないと思うんですけども、その辺り政府の方はどういうふうにお考えでしょうか。
○松野官房長官
電気料金に関しましては、一般家庭向けに関しては、上限が設定をされております。
先般行われました物価等に関する対策会議の中におきまして、電力に対してはですね、地方創生臨時交付金等を使いながら、各地方においてですね、それぞれこのエネルギー対応、電力価格対応を進めていくことをお願いをしているところであります。
補正予算に関しましては、先ほど申し上げました通り、今後の情勢をしっかりと分析をしながら、適切に判断をしてまいりたいと考えております。
加えまして、電力価格高騰につきましては、電気料金高騰による負担増の影響が大きい低所得世帯に対し、電力・ガス・食料品等価格高騰緊急支援給付金を新たに創設し、一世帯当たり5万円をプッシュ型で給付をすることとなっております。
地方創生臨時給付金でございますが、6,000億円の新たな交付金を設け、エネルギーや食料品等の価格高騰への支援を重点的に進める考えであります。
――新型コロナウイルス関連でお聞きします。
コロナウイルスの感染者数の把握方法についてですね、厚労省の研究班が季節性インフルエンザの患者数を特定の医療機関が報告する定点把握の仕組みを利用することで、コロナ患者についても全数の把握が可能だとする分析を明らかにしました。
政府はこの分析についてどう評価されているのか。
また今後この方法を活用する可能性についてお聞きします。
○松野官房長官
先日、政府対策本部で決定したウィズコロナに向けた政策の考え方において、新型コロナウイルスの感染動向については当面、感染者数の総数により把握する全数把握を継続するとともに、定点観測方式の手法の研究を進めるとしたところであります。
これを踏まえ、昨日の厚生労働省の審議会において、新型コロナウイルス感染症における定点観測方式の手法に関して、研究班から研究の概要と進捗の報告があったと承知をしております。
引き続き、研究班において、定点観測方式の手法の研究が進められる予定であり、研究結果については、今後、審議会でさらに議論が行われるものと承知しております。
詳細については厚生労働省にお尋ねをいただきたいと思います。
――総裁派閥に所属していました衆議院の吉川赳議員についてお伺いします。
9月14日に吉川さんのお父さんの雄二さんが、地元の記者団に対して「あの子は国にくれた子」というふうに発言したそうだが、国としては、政府としては、吉川さんをもらったという認識はあるのか。
○松野官房長官
民間の方お一人お一人のコメントに関しまして、政府として発言することは控えさせていただきたいと思います。