【全文】新型コロナ対応「専門家と十分にコミュニケーションとっていきたい」 松野官房長官(9/9午前)
松野官房長官は9日午前の会見で、政府分科会の尾身会長が政府と専門家のコミュニケーションが希薄になっていると指摘したことを受け「社会経済活動との両立を強化していく上で、引き続き専門家と十分にコミュニケーションをとっていきたい」と強調しました。
<会見トピックス>
▽エリザベス女王死去
▽安倍元首相の国葬
▽円安
▽北朝鮮"核法令"
▽ロシア遺体引き渡し
▽拉致問題
▽新型コロナ対応
▽尖閣国有化から10年
会見の概要は以下の通りです。
○松野官房長官
閣議の概要について申し上げます。
国会提出案件2件、政令、人事が決定されました。
大臣発言として、厚生労働大臣から令和3年度政府が講じた死因究明等に関する政策について。
総務大臣から令和4年度震災復興特別交付税の9月交付について。
火山防災対策に関する行政評価・監視の結果について。
岸田総理大臣から海外出張不在中の臨時代理について。
それぞれご発言がありました。
閣僚懇談会においては、岸田総理大臣およびデジタル大臣からデジタル臨時行政調査会の取り組みの加速化についてそれぞれご発言がありました。
次に、本日閣議前に第1回食料安定供給農林水産業基盤強化本部が開催され、今後の農林水産政策の方向性について議論が行われました。
本部では、総理から全ての農政の根幹である食料・農業・農村基本法について、関係閣僚の連携のもと総合的な検証を行い、見直しを進めること。
食料品の物価高騰に対応していくため、緊急パッケージを策定することについて指示がありました。
関係省庁一体となって我が国の食料安全保障の強化と農林水産業の持続的な発展に向け、取り組みを推進してまいります。
私からは以上です。
――イギリスのエリザベス女王の死去について。
先ほど岸田首相はエリザベス女王の死去に弔意を述べられましたが、改めて日本政府としての受け止めを伺いします。
○松野官房長官
英国のエリザベス2世女王陛下の崩御の方に接し、深い悲しみを禁じ得ません。
日本国政府として、英国王室、英国政府及び英国民の皆さまに対し、心から哀悼の意を表します。
日本政府としても本日関係政府機関において半旗を掲げ弔意を表しています。
また先ほど、エリザベス2世女王陛下の崩御に関する岸田内閣総理大臣の談話を発表しました。
エリザベス2世女王陛下は、1952年のご即位以降、英国王室史上最長となる、70年にわたり在位され、世界の平和と繁栄のために極めて大きな役割を果たされてきました。
日英関係は皇室王室の伝統的な友好関係に支えられて発展してきましたが、エリザベス2世女王陛下は、1975年に自らご訪日されるなど、特に日英関係の強化におおいに貢献をされました。
激動の世界情勢において、英国を導いたエリザベス2世女王陛下の崩御は英国民のみならず、国際社会にとっての大きな損失であり、謹んで哀悼の意を表します。
英国民の皆さまがこの深い悲しみを乗り越えるにあたり、日本は常に英国と共にあります。
――エリザベス女王関連。
英国の地元メディアによると、10日後に営まれると報じられていますが、日本政府として、総理特使などを派遣することは考えているか。
検討状況を。
○松野官房長官
現時点において、国葬儀を含めた、今後の日程について、正式な発表がなされているとは承知をしていません。
いずれにせよ、日本政府の対応ぶりについては、英国政府の発表も踏まえつつ、しかるべく検討していく考えであります。
――安倍元首相の国葬について。
昨日国葬を巡る閉会中審査がありましたが、十分な説明を行ったとお考えでしょうか。
国民の理解を得ることができるとお考えでしょうか。
ご所見を伺います。
○松野官房長官
国葬儀について国民に対して説明を尽くし、そのご理解をいただくことは重要であると考えております。
昨日の議院運営委員会においても、総理と私から国葬儀を執り行うこととした理由や意義、海外要人の出席予定、現時点での経費の見込みなどについて、丁寧に説明を行いました。
今後とも国民の理解が得られるよう、様々な場を通じて内閣の考え方につき、丁寧に説明を尽くしていきたいと考えております。
――関連して国葬前の主立った説明の機会は昨日の閉会中審査が最後だというふうにお考えでしょうか。
反対の意見が大きい場合はさらなる説明の機会を設ける考えはありますでしょうか。
○松野官房長官
先程も申し上げました通り、今後とも国民の理解が得られるよう、様々な場を通じて内閣の考え方につき丁寧に説明を尽くしていきたいと考えております。
――関連して伺う。
昨日の閉会中審査の岸田総理の説明を受けて国葬への参列を保留していた日本維新の会の馬場代表が参列する意向を示した。
野党の間でも国葬への理解が進んだ形だと思うが、このことについての受け止めを。
かねてから国葬に賛成している国民民主党の玉木代表は各党党首と会談し、さらに説明するよう求めている。
先ほどの質問とも重なるが、こうした形も含めて首相が何らかの形で説明する機会を設ける考えはあるか。
○松野官房長官
先ほど申し上げた通りでございますけれども、国民の理解が得られるよう、さまざまな場を通じて、今後も内閣の考え方につき丁寧に説明を尽くしてご理解をいただきたいと考えております。
――公文書の保存について。
昨日の参院の閉会中審査で松野長官が実施後に記録集を作成する予定であるとともに、公文書管理法に基づき必要な文書を適切に保存したいと述べ、国葬に関する文書を保存する方針を明らかにした。
この文書はどういうものを想定しているか。
葬儀委員会の議事録なども含まれるか、政府の見解を伺います。
○松野官房長官
昨日の議院運営委員会において、ご説明しましたが、このたびの安倍元総理の国葬儀については、実施後に記録集を作成する予定であるとともに、公文書管理法に基づき必要な文書を作成しており適切に保存をしてまいりたいと考えております。
保存する行政文書については、具体的には国葬儀執行の閣議決定に関連する文書や葬儀実行幹事会に関連する文書などが想定されますが、行政文書ファイルは年度単位で作成するものであり、具体的にどのような文章を保存するかは、年度末までに整理を行うことになると承知をしております。
――為替について。
昨日の長官会見で、こういう動きが続くのであれば必要な対応をとると言ったが、円安が若干一服してる。
対応は必要はないというふうに判断されるのか、改めて現時点での見解を。
○松野官房長官
昨日申し上げた通りでございますけれども、その状況に応じて適切に判断をしていきたいと思いますが、日々の為替の動きに関しましては、逐一コメントすることは差し控えさせていただきたいと思います。
政府としては、為替の市場の動向を高い緊張感を持って注視をするとともに、最近為替市場では投機的な動きも背景に急速で一方的な動きがみられます。
そして過度な変動を憂慮しているところでありますが、このような動きが継続する場合には、あらゆる措置を排除せず為替市場において必要な対応をとりたいと考えております。
――北朝鮮情勢について。
朝鮮中央通信は、北朝鮮の最高人民会議が核武力政策に関する法令を採択したと報道。
政府の受け止めと、北朝鮮が今後、核実験などに踏み切るおそれについて日本政府の分析は。
○松野官房長官
北朝鮮の動向については軍事動向を含め、平素から重大な関心を持って情報収集分析に努めていますが、そのいちいちについてコメントすることは、差し控えたいと思います。
いずれにせよ 北朝鮮による核ミサイル開発は、我が国および国際社会の平和と安全を脅かすものであり、断じて容認することはできません。
政府としては、引き続き、必要な情報の収集・分析および警戒・監視に全力を挙げていくとともに、北朝鮮の完全な非核化に向け、日米、日米韓で緊密に連携をしていく考えであります。
――北海道知床沖の観光船沈没事故に関連し、先程、第1管区海上保安本部がロシア側からご遺体の引き渡しを受けた巡視船がコルサコフ港を出港したと発表した。
改めて現状の確認と、あわせて最初のご遺体発見からきょうの引き渡しまで約4か月時間を要しましたが、なぜここまで時間を要したのか。
○松野官房長官
本日朝、海上保安庁の巡視船がサハリン島のコルサコフ港に入港し、国後島で発見された2体のご遺体とサハリン島で発見された1体のご遺体についてロシア側からの引き渡しを受けたところであります。
巡視船はすでにコルサコフを出港をし、順調にいけば明朝小樽に寄港する予定であります。
本件については、政府として、できるだけ早くご遺体をご家族の元へお返しできるよう、ロシア側との調整に全力を挙げてきたところであります。
これまでのロシア側とのやりとりにおいて、日露関係の悪化が何かしらの障害になっているとは考えておらず、ロシア側とは適時適切にやりとりを行ってきたと考えております。
――北朝鮮による拉致問題について伺います。
先程拉致被害者のご家族と、韓国の尹徳敏次期駐日大使が面会しました。
どのようなやりとりがあったか教えてください。
あわせて改めてになりますが、政府としてどのように拉致問題に取り組むのか伺います。
○松野官房長官
本9日午前10時から尹徳敏次期駐日韓国大使と北朝鮮による拉致被害者家族連絡会の横田早紀江氏、横田拓也代表、飯塚耕一郎事務局長、横田哲也事務局次長、および、救う会の西岡力会長が面会したと承知をしております。
やりとりの詳細について説明することは差し控えさせていただきたいと思いますが、尹徳敏次期駐日韓国大使に拉致被害者ご家族のお話を直接聞いていただいたことは、拉致問題解決に向け、日韓間をはじめとして、国際社会と連携していく上で大きな意義があると考えています。
政府としては国際社会と引き続き緊密に連携し、全ての拉致被害者の1日も早い帰国を実現すべく、あらゆるチャンスを逃すことなく全力で行動していく考えであります。
――新型コロナ対策について。
政府分科会の尾身会長は、政府との関係について「少し距離感が出てきた、というのは多くの専門家の感覚だ」と明かし、政府と専門家のコミュニケーションが希薄になっているとも指摘した。
政府の受け止め、今後関係を改善していく考えは。
○松野官房長官
ご指摘の尾身会長の発言について承知をしております。
新型コロナウイルス対策においては、これまで得てきた経験を生かしつつ、幅広い専門家の知見に基づいて、対策を効果的に実施することが重要と考えており、専門家の皆さまとは、日々コミュニケーションを行っています。
今回の政府対策本部決定にあたっても、厚生労働省のアドバイザリーボードや基本的対処方針分科会において、ご議論をいただくなど、専門家と緊密に連携しつつ検討を進めてきました。
ウィズコロナの新たな段階へ乗り移行を進め、社会経済活動との両立を強化していく上で、引き続き、専門家と十分にコミュニケーションをとっていきたいと考えております。
――尖閣諸島の国有化から11日で10年となる。
尖閣諸島周辺で中国海警局の活動に対する政府の現状認識を伺う。
また中国側に対し、尖閣諸島での緊張緩和に向け、どのように働きかけを続ける方針か。
○松野官房長官
尖閣諸島が我が国固有の領土であることは歴史的にも国際法上も疑いなく、現に我が国はこれを有効に支配をしています。
従って、尖閣諸島をめぐって解決すべき領有権の問題はそもそも存在しません。
平成24年9月以降、尖閣諸島周辺海域において、中国海警局に所属する船舶による領海侵入が相次ぎ、本年7月には、領海侵入時間が過去最長となる事案が発生する等、情勢は依然として予断を許さない状況にあり、我が国としては極めて深刻に懸念をしています。
政府としては、引き続き冷静かつ毅然として対応するとともに、関係省庁間において緊密に連携しつつ、尖閣諸島周辺海空域における警戒監視活動等に万全を期していく考えであります。