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安保関連法で何が変わる?政治部長が解説

2015年9月19日 18:57
安保関連法で何が変わる?政治部長が解説
 集団的自衛権の限定的な行使を可能にし、自衛隊の海外での活動範囲を広げる安全保障関連法が19日未明、成立した。安保関連法の成立で何が変わるのか?日本テレビ政治部・伊佐治健部長が解説する。

 安保関連法の成立によって変わることは、大きく分けて以下の2つだ。


【1】集団的自衛権の行使

「存立危機事態」で限定的に

【2】自衛隊の地球規模の活動拡大
1.他国軍への後方支援拡大
2.国連PKO活動の拡大


【1】集団的自衛権の行使

 まず、歴代内閣が認めていなかった集団的自衛権が、使えるようになった。日本の存立が危ぶまれるなどの条件を満たした場合に限り、日本が直接攻撃を受けていなくても武力行使ができるというもの。

 次に、自衛隊の活動内容が大きく拡大する。

【2】自衛隊の地球規模の活動拡大

1.他国軍への後方支援拡大
 国会の承認があれば、国際平和のために活動している他国の軍隊の後方支援のため自衛隊をいつでも海外に派遣できるようになる。発射準備中の戦闘機への給油や弾薬の提供も含まれる。

2.国連PKO活動の拡大
 もう一つは、従来のPKO活動において、安全確保業務、いわゆる治安維持が任務に加わる。武器使用の基準を緩和し、いわゆる駆けつけ警護もできるようになる。


 しかし、成立までには、内容を巡っては激しい論争となった。集団的自衛権の行使は憲法違反との批判が高まっているほか、武力行使の基準がはっきりしないため、結局、戦争に巻き込まれるのではとの不安が広がっている。

 今回の法整備のそもそもの目的は、軍事力を拡大する中国を意識し、対外向けに、日米同盟のゆるぎない、「強いんだぞ」というところを見せつけて「抑止力」を高めるもの。

 ところが、日米同盟強化の象徴ともなるホルムズ海峡の機雷掃海など、欲張りすぎた感があった。その結果、憲法、国内の法律との整合性がとれなくなり、国会での論争もその入り口でぶつかってしまった。そのため、めったなことでおきるものではない集団的自衛権の論争に終始し、すぐにでもニーズがある自衛隊の任務拡大の議論がまだ深まっていない。

 日本テレビは19日午後、安全保障関連法成立に当たって安倍首相に単独インタビューした。その中で、安倍首相は次のように述べた。


 「戦後以来の大改革となったと思いますが、憲法の解釈を変え、今回の法整備を行いました」

 (Q:内閣支持率も途中で下落した。ここまで反対の声が大きいと考えていたか?)

 「それはもとより、覚悟の上であります。はられた(戦争法案などといった)レッテルをですね、審議期間の中だけで取り去ることをできなかった訳でありますが、結果を出していくことによって、はられたレッテルをはがしていきたい」


 安倍政権は、せっかく高かった支持率がかなり下がってしまって、いわゆる「ポリティカル アセット」、政治的な資産を失ってしまったともいわれている。ただ、その失ったものを、今後説明を深めることによってなんとか挽回していきたい。そんな思いがにじんでいた。