×

“キューバ初訪問”安倍首相の狙いは?

2016年9月23日 17:51
“キューバ初訪問”安倍首相の狙いは?

 安倍首相は、日本の首相として初めて、中米のキューバを訪問している。首都ハバナから青山和弘記者が伝える。

 (Q:なぜ今、初めてのキューバ訪問なのか?)
 それは新たなビジネスチャンスを求めたからだ。ハバナには旧市街の美しい町並みがあるが、インフラの老朽化は深刻。道路には1950年代のアメリカの車が普通に走っている。

 キューバはこれまで、アメリカの経済制裁に苦しんできた。ところが去年、54年ぶりにアメリカとキューバの国交が回復した。まだ経済制裁は残っているが、安倍首相は、今こそ日本企業が進出するチャンスだと、経済関係の強化に乗り出したわけだ。背景には中国がキューバでも影響力を強めていることもある。

 (Q:首脳会談はどうだった?)
 安倍首相とラウル・カストロ国家評議会議長は、日本企業の投資拡大に向けた環境整備を進めることで一致した。そのため、安倍首相はキューバの債務を一部免除する他、無償資金協力も充実させてキューバの財政事情の改善にも貢献する考えを表明した。カストロ議長は感謝の意を示したという。

 その一方で、キューバは北朝鮮と友好国でもある。首脳会談で安倍首相は、「友好関係は承知している」と断った上で、北朝鮮の核兵器開発は「従来と異なるレベルの脅威だ」と訴えた。しかし、カストロ議長は、「いかなる紛争であれ平和的に解決することが重要だ」と述べるにとどまり、認識を共有することはできなかったようだ。

 半世紀以上、アメリカと対峙(たいじ)してきたキューバと、アメリカとの庇護(ひご)の下で経済発展した日本。日本とキューバの関係は、新たなスタートラインに立ったばかりだ。