ロシア・プーチン大統領 特別インタビュー
ロシアのプーチン大統領が、15日の来日を前に日本テレビと読売新聞のインタビューに応じた。プーチン氏は、北方領土について、「領土問題は存在しない」と強硬な立場を示しつつ、「在任期間中に大きな成果をあげたい」とも述べ、交渉進展に意欲を示した。
プーチン大統領は、北方領土問題の解決を含む平和条約の締結について、色丹島・歯舞群島の2島の引き渡しを定めた1956年の日ソ共同宣言が交渉の基礎になるとの認識を改めて示した。その上で、4島の帰属の問題を解決して平和条約を締結するとの日本の立場を「まったく別の話」とけん制した。
プーチン大統領「共同宣言には2島について書かれていますが、(安倍)首相が4島の問題を提起しました。つまり、共同宣言の枠を超えています。これはまったく別の話で、別の問題提起です」「ロシアは、領土問題はまったくないと思っています。あると考えているのは日本ですが話し合う用意はあります」
プーチン大統領は2001年に、領土問題の存在を事実上認めたイルクーツク声明に署名しているが、今回、公の場で初めて「領土問題は存在しない」と述べ、発言を後退させた形。
その一方で、「話し合う用意はある」と述べ、領土問題の解決には「信頼の雰囲気作り」が必要だと繰り返し強調した。また、プーチン大統領は北方領土における共同経済活動を安倍首相と検討していることを明らかにし、対象は4島全てとなる可能性に言及した。
プーチン大統領「南クリル諸島(北方領土)についていえば、様々な選択肢があり得ます。我々は、1島、2島、3島、4島いずれでも共同活動を検討する用意があります」
しかし、日ソ共同宣言で引き渡しが定められている色丹島・歯舞群島2島も対象とする場合、日本に主権まで渡す考えはない姿勢をにじませたともいえる。
また、プーチン大統領は、安倍首相が提案した「新たなアプローチ」について、経済協力にとどまらず、日本との安全保障協力も含めた総合的なパッケージとして受け止めていることを明らかにした。
北朝鮮の核兵器やミサイル開発を念頭に、安全保障面でも日露が協力すれば、両国の信頼関係が強まり、領土問題の解決につながるとの認識。
日米同盟を外交の基軸とする日本に対し、ロシアとの信頼関係をより重視するよう転換を迫るもので、15日の首脳会談でも焦点の一つとなりそうだ。