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LGBT「見るのも嫌だ」から「趣味みたいなもの」まで…“問題発言”と、その後

2023年2月7日 0:07
LGBT「見るのも嫌だ」から「趣味みたいなもの」まで…“問題発言”と、その後

首相秘書官を務めていた荒井勝喜氏が、性的マイノリティーや同性婚のあり方をめぐり「見るのも嫌だ」などと発言した問題で、更迭されました。この5年で、性的マイノリティーをめぐる発言が問題化した主なケースを、発言後の対応と共にまとめました。

■「見るのも嫌だ」…首相秘書官をスピード更迭

2023年2月3日、記者からの取材に対しての発言。

荒井首相秘書官(当時)は、性的マイノリティーの人たちや同性婚のあり方をめぐり「僕も、見るのも嫌だな、と思うこともある。 隣に住んでいるのも嫌だな、と思うこともある」などと述べました。その直後、「発言は完全に撤回する。私の不徳の致すところだ」などと謝罪。

しかし、翌日岸田首相は「性自認などを理由とした不当な差別や偏見はあってはならない」「言語道断の発言だ」と指摘した上で、荒井氏を更迭しました。

■「種の保存」に背く…性的マイノリティーへの理解を促す法案の検討中に

2021年5月20日に自民党本部で開かれた、性的マイノリティーへの理解を促すいわゆる“LGBT法案”について議論する会合での発言。

会合では、法案に「性的指向や性自認を理由とする差別は許されない」という文言を加えることに対し、慎重な意見が相次ぎました。さらに、簗和生議員は、「人間は生物学上、種の保存をしなければならず、LGBTはそれに背くもの」などと主張しました。「種の保存」発言は問題化しましたが、非公開の会合での発言だったため、簗議員が自ら名乗り出ることも、謝罪することもありませんでした。

また“LGBT法案”は自民党内の了承を得られず、国会への提出が見送られました。

■同性愛者が法律で守られたら「足立区は滅んでしまう」…区議会本会議で

2020年9月25日、足立区議会の本会議での発言。

白石正輝区議会議員は、性的マイノリティーと少子化を結びつけて答弁し、「こんなことはあり得ないことですけど、日本人が全部L(レズビアン)、日本人が男は全部G(ゲイ)、次の世代が生まれますか?一人も生まれないんですよ」「L(レズビアン)だってG(ゲイ)だって 法律で守られているじゃないかという話になったのでは足立区は滅んでしまう」と述べました。

また、「普通の結婚をして、普通に子供を産んで、普通に子供を育てることがいかに人間にとって大切なことであるか」と、自身の主張を展開しました。

一連の発言が批判を集めるなか、10月5日、日本テレビの取材に対し「私は今訂正するという考え方はない」と断言。しかし、およそ2週間後の20日、足立区本会議場に現れた白石氏は、「議員として差別的な発言と受け止められる表現があり不快な思いをさせた方々、傷つけたすべての皆様に対してこの場をお借りしてお詫びを申し上げます」「発言も撤回をさせていただきたいと思います」と、文書を読み上げるかたちで謝罪し、発言を撤回しました。

■「おかまの物乞い」…「単語が差別的なものと知らず」Twitterの匿名アカウントに投稿

2018年10月に青森市議選で初当選した山崎翔一氏。しかし翌月、過去にTwitterの匿名アカウントで、複数の差別的な投稿をしていたことが発覚しました。

10月11日には、「そういえばデリー行きの電車に乗った時おかまの物乞い来たな~」と投稿。山崎氏は11月に開いた会見でこの投稿を不適切だと認め、「こちらの発言のなかで用いられた単語が差別的なものと知らず、LGBTの方に対して不快な思いをさせてしまい誠に申し訳ございませんでした」と謝罪しました。

■LGBTのカップルには「生産性がないのです」…雑誌に寄稿

2018年7月、月刊誌に寄せた文章の一部。

自民党の杉田水脈衆院議員は寄稿文のなかで、「LGBTのカップルのために税金を使うことに賛同が得られるものでしょうか。彼ら彼女らは子どもを作らないつまり生産性がないのです。」と主張しました。その後、批判が集まり月刊誌が休刊するなど波紋が広がりましたが、杉田氏が謝罪をしたのは10月になってからでした。

取材に応じた杉田氏は、「私の、雑誌の寄稿文について、さまざま誤解や、論争を招いたことについて心苦しく思っています」と述べました。発言を撤回するかについては明言を避け、「生産性という言葉については、本当に不適切であったと感じております」として、謝罪しました。

■同性愛は「趣味みたいなもの」…同性婚の法制化をめぐりインターネット番組で

2018年にインターネット番組にパネリストとして出演した際の発言。

自民党の谷川とむ衆院議員は番組中、同性婚の法制化をめぐる議論の中で、「多様性を認めないわけではないんですけど、それを別に法律化する必要はないと思っているんですね。(同性愛かどうかは)趣味みたいなもので」と発言しました。

その後、谷川氏は日本テレビの取材に対し、書面で回答。「LGBTの方々を差別するつもりはない」とした上で「申し上げたかったのは憲法24条により現状では同性婚の容認は困難であるということです」と釈明しました。



2年前、性的マイノリティーへの理解を促進するための法案、いわゆる“LGBT法案”は、与野党の超党派で成立に向けて調整を進めていましたが、自民党内の了承が得られず、国会への提出が見送られました。ただ、今回の荒井氏の問題を受けて自民党幹部らは6日、この法案の提出にむけ、再び検討していくことで一致しました。

野党側は「G7の議長国の日本だけがLGBTや同性婚の問題で全く時代遅れの話をしていて恥ずかしい」「その意識が岸田さんにないところに深刻さがある」などと批判しています。