日ソ共同宣言基礎に平和条約交渉加速で合意
安倍首相は、訪問先のシンガポールで、ロシアのプーチン大統領と会談し、歯舞・色丹の引き渡しを明記した「日ソ共同宣言」を基礎に平和条約交渉を加速させることで合意した。
安倍首相「1956年(日ソ)共同宣言を基礎として、平和条約交渉を加速させる。本日そのことで、プーチン大統領と合意いたしました」
会談は1時間半近く行われ、このうち安倍首相とプーチン大統領の2人きりの会談も40分間に及んだ。両首脳は、平和条約の締結後に歯舞と色丹を引き渡すとした1956年の日ソ共同宣言を基礎に、平和条約交渉を加速させることで合意した。
また、安倍首相が年明けにロシアを訪問し、プーチン大統領とあらためて会談することでも一致した。
日本政府は、北方領土の問題を解決してから平和条約を締結することを基本方針としていて、択捉、国後、色丹、歯舞の4島返還を原則に、これまで交渉を進めてきた。政府関係者は今回の合意を「歯舞、色丹の2島返還をベースにして、これから交渉を加速するということ」と説明している。
しかし、2島返還で決着と受け取られれば、国内から批判が出る可能性もある。野党幹部からは早速、「すぐにまとまるとは到底思えない」という懐疑的な見方や、「2島返還で合意したら、国会で徹底的に追及する」と批判する声もあがっている。
ある官邸関係者は、「4島とだけ言っていても何も始まらない。ここからが正念場だ」と話すが、年明けのロシア訪問などでどこまで具体化できるのか、安倍首相の手腕が問われるのはまさにこれから。