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年齢でみる選挙 国会議員に定年ってないの?【#みんなのギモン】

2024年10月23日 7:02
年齢でみる選挙 国会議員に定年ってないの?【#みんなのギモン】

『日本の政治家に定年はないのでしょうか?』日本テレビの情報提供サイトに寄せられたギモンです。

10月1日に発足した石破内閣(同月9日解散)では、閣僚が高齢だと話題になりました。19 人中3人が70代、半数を超える11人が60代で平均年齢は63.4歳でした。

岸田内閣発足時の平均61.8歳よりも高く、SNSでは記念写真に並んだ顔ぶれを見て「敬老会のようだ」といった揶揄する投稿も見られました。

厚労省によると、日本の企業では94%以上が定年制を導入していて、7割以上が「60歳」、2割以上が「65歳以上」を定年と定めています。(2022年1月時点)

一方、国会議員においては、70代や80代といった年齢の議員も珍しくありません。日本の国会議員に年齢の上限を定めた決まりはないのでしょうか。取材しました。(日本テレビ報道局 調査報道班)

■年齢の上限なし 独自ルール設ける党も

85歳を迎えた自民党の二階元幹事長が、次期衆院選への不出馬を表明した今年3月の会見で、年齢が不出馬の理由なのか記者から問われた際、「年齢の制限があるか?お前もその歳来るんだよ。ばか野郎」と苛立ちをあらわにする場面がありました。

二階元幹事長の発言にあるように、国会議員の年齢の上限に関する法律の定めはありません。しかし、限定的ではありますが、自主的に独自のルールを設けている政党もあります。

自民党は、国政選挙における比例代表の公認候補者の公認基準に、『衆議院は原則として満73歳未満』、『参議院は原則として満70歳未満』という上限を設けています。2003年の衆院選ではこのルールが厳格に適用され、総理経験者の中曽根康弘氏(当時85歳)と宮沢喜一氏(当時84歳)の両名が引退しました。

公明党は、『任期中に69歳を超えないこと』『6期24年を超えないこと』を原則とし、例外として超える場合には党の承認を得る必要があるということです。また、参政党は議員の入党や候補者公募のガイドラインとして、『原則70歳未満』を基準としています。

立憲民主党、日本維新の会、共産党、国民民主党、れいわ新選組、社民党については、現状、年齢に関するルールは設けていないということです。

■前回の衆院選 立候補者 20代、30代少なく 

前回2021年の衆院選(小選挙区)では、一般的に後期高齢者と言われる75歳以上の立候補者が23人いて、そのうち12人が当選しました。政党別に立候補者の年代を見ると、いずれの政党も50代から70代が大半を占め、20代、30代が少ないことがわかります。

■20代・30代の若い議員 先進国で最も低い割合

日本の国会議員の年齢は諸外国と比較するとどうなのでしょうか。

各国の国会に関するデータを調査・公表しているIPU(Inter-Parliamentary Union)のデータを見ると、日本は若い議員が少なく、閣僚の年齢が高いということがわかります。

日本では、40歳以下の国会議員の比率が6%で、30歳以下になると0.2%と著しく低く、いずれも、国際機関OECD(経済協力開発機構)に加盟する先進国37か国のなかで最も低い数値になっています。(加盟国38か国のうちデータがない韓国を除く)

また、2022年時点の日本の閣僚の平均年齢は64歳とOECD加盟国のなかで最も高く、最も若いデンマークの46歳と比べると20歳近い差があります。

■当事者世代が入ることで政策の議論活発に

選挙制度に詳しい、日本大学の安野修右専任講師は、国会議員としての資質があるかどうかは、年齢も含めて選挙で選ぶことができるため、法律で定める必要はないのではないかと話します。

その上で、高齢の議員が選ばれている理由についてはー

日本大学法学部・安野専任講師
「高齢の政治家が多い背景には、地盤のような、個人的な資質以外にそもそも獲得している資質が評価されることが多く、年功序列的な考え方もあるのではないかと思います」

また、早稲田大学の日野愛郎教授はー

早稲田大学政治経済学術院・日野教授
「日本では、入閣の基準のひとつとして当選回数が参照される傾向にあります。他国に比較してキャリアパスが長く、このことが閣僚の平均年齢を引き上げている背景にあると考えられます」

一方、日野教授は、長く続けることで政治家として経験がプラスに働く反面、他分野の視点が反映されにくくなっていく面もあると指摘します。そういったことなどからも、日本大学の安野専任講師は、様々な世代・立場の議員たちが意見を出し合っていくことが重要だと話します。

日本大学法学部・安野専任講師
「議会では様々な分野のことが議論され決められていきます。政策を訴えるときに、実態はどうなのかといったことなど、直接の利害関係がある世代・立場の人が訴えていくほうが説得力がある場合もあります。年代や立場を超えた多様な意見を反映させ、活発に議論していくことが大事だと思います」

経験豊富なベテラン議員と、当事者意識を持った様々な世代の議員。どちらも私たちが選挙で選ぶことができますが、そのバランスが必要なのかもしれません。

「投票できる年齢と立候補できる年齢」についても取材しています

年齢でみる選挙 投票と立候補の年齢ルールなぜ違う?

(https://news.ntv.co.jp/category/politics/25816342108e422bb3c6bd14634eb71c)

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