「体制の命運かけた一大イベント」北朝鮮“弾道ミサイル”発射を通告 人工衛星打ち上げと称し…
政府は北朝鮮が人工衛星と称する弾道ミサイルを31日以降に発射すると通告してきたことを明らかにしました。日本の領域を通過する可能性があり、浜田防衛相は自衛隊に「破壊措置命令」を発出しました。
◇
発端は29日未明に北朝鮮側から届いた“メール”でした。
岸田首相
「本日未明、北朝鮮が人工衛星の打ち上げを行うという通報を受けました」
人工衛星、打ち上げ予告のメールです。
岸田首相
「衛星と称したとしても、弾道ミサイル技術を用いた発射、これは安保理決議違反であり、国民の安全に関わる重大な問題であると認識しています」
岸田首相は、人工衛星と称する“弾道ミサイルの発射予告”だとし、厳しく批判しました。
北朝鮮が予告した期間は、5月31日の午前0時0分から6月11日の午前0時0分までの間です。黄海、東シナ海、フィリピン・ルソン島の東方向に打ち上げると連絡してきました。
5月中旬には、金正恩総書記は娘のジュエ氏とみられる人物とともに、軍事的な偵察を目的とする人工衛星の視察を行い、白衣姿で真剣な表情を見せていました。今回、この人工衛星を打ち上げる可能性があります。
松野官房長官(29日午前)
「南西諸島を含め、我が国の領域を通過する可能性はあると認識しています」
ミサイルの残骸などに注意が呼びかけられているのは、黄海やフィリピン・ルソン島の東など、3つの海域です。いずれも日本の領海ではありませんが、“領空”を通過する可能性があるのが沖縄地方です。
松野官房長官
「我が国領域内への落下に備え、防衛大臣から破壊措置命令を発出しました」
浜田防衛相は、自衛隊に対し破壊措置命令を発出しました。
浜田防衛相
「我々とすれば、対応するべく整備を今までしてきましたし」
自衛隊は、4月から北朝鮮の打ち上げに備えていました。沖縄の宮古島でも、地上発射型迎撃ミサイル、PAC3が配備されていました。当時、撮影した島民は…
宮古島の島民
「物々しいものが来たという感じ。生活圏の中でPAC3を目の当たりにすることに脅威はありました」
今回の発射予告については…
宮古島の島民
「なかなか目に見えないものの話、実感は正直なところないです」
沖縄県は29日に危機管理対策本部を設置しました。玉城知事は県民に対し、落下情報が出た際は屋内に避難するなど、警戒を呼びかけました。
玉城デニー知事(沖縄・那覇市、29日午後1時ごろ)
「テレビ・ラジオなどの情報に注意をお願いいたします」
北朝鮮による“発射予告”は今回で5回目です。これまでは全て、予告期間の「初日から3日目」に発射されています。これを当てはめた場合、今回の打ち上げは今週中にも行われる可能性がありますが、専門家は…
北朝鮮政治が専門 慶応義塾大学・礒崎敦仁教授
「北朝鮮としては、国内でも大々的に掲げた体制の命運をかけている一大イベントなので、失敗はしたくない。気象条件なども関わってくるでしょうし、ある程度の期間を定めて、可能であれば早めに打ち上げたいということなんだと思います」
政府は、発射された場合の正確な情報提供や迎撃態勢に万全を期す考えです。