着ぐるみでPRも…なり手不足の自衛官、採用へ新たな試み
就職の売り手市場といわれる中、自衛官のなり手不足が続いています。政府が取り組んでいる処遇改善などで自衛官は確保できるのか。採用の現場を取材しました。
自衛官の採用試験合格者のための説明会。説明するのは、相川一等陸尉。東京都内の自衛官の採用計画を担っています。この説明会の裏テーマは、迷っている合格者に入隊を促すこと。
入隊を迷う合格者「警察と自衛隊で迷っています。(自衛隊は)異動とかあるので」
入隊を迷う合格者「教員か自衛隊かで迷っています」
東京地方協力本部 募集班長・相川千智1等陸尉
「併願するような方が多いので、魅力をしっかりと皆さんに理解していただけるように」
昨年度の自衛官などの募集人数に対し、実際に採用できた人数の割合は過去最低の51%。日本の防衛にとって装備と隊員は「車の両輪」とされ、人手不足が続けば、国防の足元がゆらぎます。
人材確保に向け、石破総理大臣は、自衛官の処遇改善のための関係閣僚会議を設置。手当の充実などを盛りこんだ基本方針をとりまとめました。
募集班長・相川千智1等陸尉
「もっとこういう環境だと詳しい説明ができるようになっていけば、もう少し好転していく余地はあるかな」
一方で、いかに興味を持ってもらうかが課題といいます。
募集班長・相川千智1等陸尉
「ほふく前進やるんでしょうとか、定型の(イメージの)ようになってきているので」
この日、相川さんは、来年度の採用目標について上官と会議。
募集班長・相川千智1等陸尉
「暫定の目標と実際にどれくらい乖離(かいり)があるかご覧いただけるかと」
昨年度の実績と目標に大きな差がある中、相川さんはある提案をします。
募集班長・相川千智1等陸尉
「(卒業生等の)入隊の実績があるかを再度調査したものになります。動物や栄養・調理であったり、専門分野に行くと考えられる分野でも、実際入隊の実績があることが(データに)出てきているので、そういったところもさらに積極的に働きかける価値はあるのではないか」
これまであまり採用のターゲットにしてこなかった専門学校にもPRをしていこうというのです。
東京地方協力本部 本部長・横田紀子陸将補
「警備犬・救助犬とかもあるしね」
動物に関わる仕事や艦艇での調理など、専門性をいかす仕事があることを伝えようといいます。
自衛隊に興味を持ってもらう試みはこんなところにも。この場所、実は、東京・足立区内の採用を担う事務所です。以前は自衛官募集を全面に出していましたが、去年11月に隊員らが手作りで改装。
隊員「自衛隊の堅いイメージを払拭して、どなたでも気軽に入っていただける事務所を目指して」
駅前では、着ぐるみを着てのPR活動も。
学生「遠くからみてかわいいなって。(自衛隊に)親近感はわきました」
SNSも活用しています。防災や生活の知恵を発信。狙いは…。
募集班長・相川千智1等陸尉
「こんな知識があるという紹介から入って、そこから自衛隊がやってるんだと、興味が広がってくれたらいいなと」
人材確保に向けて模索が続く自衛隊。
本部長・横田紀子陸将補
「処遇改善も非常に重要だと思っています。それだけではだめだと思うんです。ここでの仕事がやりがいがあると感じられるかどうか。本当にいろんな仕事があるということを知っていただくのが大事だと思っています」