【全文】中国の国防予算増加「我が国と国際社会の深刻な懸念事項」官房長官会見(3/6午前)
松野官房長官は、6日午前、中国の国防予算が2023年から7.2%増加したことについて「十分な透明性を欠いたまま、軍事力を広範かつ急速に増強させている」と述べました。
<会見トピックス>
▽冒頭:アンゴラのロウレンソ大統領公式訪問
▽徴用を巡る問題
▽中国の国防予算
▽京都市タリウム殺害事件
○松野官房長官
3月12日から15日まで、アンゴラのジョアン・ロウレンソ大統領および同令夫人が我が国の公式訪問する予定です。滞在中、天皇皇后両陛下はロウレンソ大統領および同令夫人とご会見になる予定です。また、岸田総理はロウレンソ大統領と会談し、その後ワーキングディナーを実施する予定です。さらにロウレンソ大統領は、名古屋および京都を訪問予定です。アンゴラはアフリカ屈指の産油量と豊富な鉱物資源を有する経済的潜在力が高い国であるとともに、民主的な選挙を経て改選されたロウレンソ大統領のもとで安定した政治基盤を有する我が国の重要なパートナーです。今回の訪日を通じて両国の協力関係が一段と深まることが期待されます。私からは以上です。
――徴用を巡る問題について。韓国側は解決策を今日にも発表する方針ですが、把握している状況と受け止め、今後の対応を伺います。またこれを受けて日本政府は植民地支配への反省などを表明した過去の総理大臣談話などの継承を表明することになるのか。一般論として現政権は過去の談話などの立場を継承しているのか、お聞きします。
○松野官房長官
報道は承知していますが、現時点で韓国政府による措置の発表は行われておらず、仮定の質問にお答えすることは差し控えさせていただきます。旧朝鮮半島出身労働者問題は昨年11月の日韓首脳会談において、両首脳の間で、日韓間の懸案の早期解決を図ることで改めて一致し、外交当局間の意思疎通を継続してきています。
1965年の国交正常化以来築いてきた友好協力関係の基盤に基づき、日韓関係を健全な関係に戻し、さらに発展させていくため韓国政府と緊密に意思疎通していく考えであります。また歴史認識に関する過去の談話の継承についてのお尋ねについては、本日の予算委員会で岸田総理からも申し上げた通り、岸田政権としても歴史認識に関する歴代内閣の立場を全体として引き継いでおり、今後も引き継いでいく考えであります。
――韓国の金聖翰国家安保室長は5日、記者団に、「両首脳が会い、懸案についてスピード感を持って取り組む必要がある。近いうちに時期が決まると思う」と述べましたが、尹錫悦大統領の訪日や、岸田首相との首脳会談の可能性、現在の調整状況について伺います。
○松野官房長官
日韓首脳間の今後の外交日程は決まっていません。
――いわゆる徴用工の問題は切り離して、日本の経団連などが今後の交流拡大に基金を設立するという報道がありますが、現在把握している状況について伺います。
○松野官房長官
経団連の対応につき、政府としてお答えする立場にありません。
――話題変わります。中国の国防予算について伺います。5日に開幕した全人代で、中国の国防予算は前年比7.2%増と高い伸び率が維持されました。日本政府としての受けとめを伺います。またウクライナ侵略が続く中で、中国が台湾に対する圧力を変化させる可能性があると見ているのか、あわせて政府の見解について伺います。
○松野官房長官
5日、全国人民代表大会の予算報告において、中国の2023年の国防支出が昨年から7.2%増の1兆5537億元になる旨、公表されたと承知をしています。中国は国防費を継続的に高い水準で増加させ、十分な透明性を欠いたまま、軍事力を広範かつ急速に増強させています。また、東シナ海、南シナ海等における力による一方的な現状変更の試みを強化し、我が国の安全保障に影響を及ぼす軍事活動を拡大、活発化させています。こうした現在の中国の対外的な姿勢や軍事動向等は、我が国と国際社会の深刻な懸念事項であり、我が国の平和と安定及び国際社会の平和と安定を確保し、法の支配に基づく国際秩序を強化する上で、これまでにない最大の戦略的な挑戦であり、我が国の総合的な国力と同盟国、同志国との連携により、対応すべきものであると考えています。また、両岸関係について仮定のご質問にお答えすることは差し控えますが、いずれにせよ、台湾海峡の平和と安定は、我が国の安全保障はもとより、国際社会全体の安定にとっても重要であり、台湾を巡る問題が対話により平和的に解決されることを期待するというのが従来から一貫した立場であり、今後とも両岸関係の推移を注意、注視していきます。
――京都市で知人女性にタリウムを摂取させ、殺害したとして男が逮捕されました。タリウムは毒劇物取締法で劇物に指定され、厳格な管理が求められている中、事件が起きました。事件の受け止めと再発防止のため、タリウムの管理のあり方についての見直しや点検の必要性についてお考えを伺います。
○松野官房長官
お尋ねの事件については、警察が必要な捜査を行い、3月3日殺人罪で被疑者を逮捕したものと承知しています。当該事件については、警察において事案の解明のため、引き続き捜査が行われるものと承知しております。タリウムは毒物及び劇物取締法で劇物に指定され、厳格な管理が求められており、その販売にあたって販売者は販売業の登録が必要とされています。また、厚生労働省から販売業者に対しては、一般消費者への販売等を自粛するとともに、販売の際には譲り受け人の身元、使用目的、使用量が適切なものであるか、十分確認を行うよう指導しています。今回の事案では、入手経路の詳細が未だ不明であるため、捜査の進展を注視し、必要な対策を検討して参りたいと考えております。