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立憲支持層1/3以上が小池氏へ 出口調査

2020年7月6日 19:04
立憲支持層1/3以上が小池氏へ 出口調査

現職の小池知事が圧勝した、東京都知事選挙。日本テレビと読売新聞が投票日に行った出口調査を分析すると、立憲民主党支持層の3分の1以上、無党派層の5割強が小池氏に投票したと答えていました。小池氏の勝因は、野党の課題は何か。出口調査から分析します。

今回の出口調査は投票日の7月5日に行い、3536人から回答を得ました。

■小池氏圧勝:自民支持層の7割が支持

小池氏の勝因を分析します。小池氏の得票率は実に59.7%におよび、ほかの候補を圧倒しています。小池氏には、ふだん自民党を支持していると答えた、自民党支持層のうち、7割を超える人が投票したと答えました。

小池氏は、自民党の東京都連、東京都の地方支部を「ブラックボックス」と批判するなど、対立してきました。しかし、自民党が独自に推薦や支援する候補を立てなかったことや、保守系の有力な候補が見当たらなかったことなどから、自民党の二階幹事長とも連携する、小池氏に自民党支持層の支持が集まったものとみられます。

【自民党支持層の投票先】
小池氏:73%
小野氏:11%
宇都宮氏:4%
山本氏:4%
その他:8%

さらに、東京都議会で友好関係にある公明党の支持層からも9割弱の支持を獲得しました。調査で、自民党・公明党を支持すると答えた人は合わせて全体のおよそ4割におよびます。このおよそ4割の層から多くの支持を得たことが圧勝の理由の1つです。

【公明党支持層の投票先】
小池氏:89%
山本氏:5%
小野氏:1%
宇都宮氏:1%
その他:8%

さらに、支持政党なし、いわゆる「無党派層」は、回答者のおよそ3分の1だったのですが、小池氏はこの中でも5割強の支持も得ていました。

自民、公明両党の支持層に加え、無党派層からも支持を集めたことが小池氏の圧勝につながったことが調査から浮き彫りになりました。

■野党:立憲支持層の1/3以上が小池氏へ

野党系の候補者も分析します。まず、2位となった宇都宮氏です。立憲民主党、共産党、社民党といった、おもだった野党が協力して支援しました。

しかし、立憲民主党の支持層のうち、3分の1以上が小池氏に投票したと答えました。支持層のうち、宇都宮氏に投票したと答えたのは小池氏をやや上回る4割弱にとどまりました。共産党支持層からも2割弱が小池氏に流れています。

【立憲民主党支持層の投票先】
宇都宮氏:38%
小池氏:36%
山本氏:16%
小野氏:7%
その他:8%

【共産党支持層の投票先】
宇都宮氏:55%
小池氏:18%
山本氏:17%
小野氏:3%
その他:7%

支援する政党の支持層すら固められていないのですから、宇都宮氏が振るわなかったのも当たり前です。ただ、ふだん支持する政党では宇都宮氏を支援した、立憲民主党、共産党、社民党を合わせればおよそ2割弱。山本太郎氏のれいわ新選組と答えた人はその10分の1ほどの2%弱、小野氏を推薦した日本維新の会は4%弱でした。

■無党派層の5割強が小池氏へ
また、無党派層は、野党系の候補では誰に投票したのか分析します。宇都宮氏と山本氏がおよそ15%で並び、小野氏はおよそ1割にとどまりました。

支持層の多くが小池氏に流れたとはいえ、主要な野党の支援を受けたこと。そして、無党派層からも一定の支持を得たことが、宇都宮氏がれいわの山本氏ら、ほかの野党系の候補を上回り、2位となった理由と言えそうです。

【無党派層の投票先】
小池氏:52%
山本氏:15%
宇都宮氏:14%
小野氏:11%
その他:8%

■野党の課題:なぜ自らの支持層から小池氏に多く流れたのか

出口調査から見える、野党の課題とはなんでしょうか。

主要な野党、特に立憲民主党の支持層を見ると課題が浮き彫りになっています。宇都宮氏を支援した立憲民主党ですが、支持層の3分の1以上が小池氏に投票しています。れいわ支持層からはほとんど小池氏に流れていないのとは対照的です。

もちろん、野党系の候補者が宇都宮氏と山本太郎氏に分かれてしまったことは当然、票の分散につながり、小池氏を楽にしてしまったのは間違いありません。ただ、野党第一党として立憲民主党に考えて欲しいのは、候補者を一本化する努力も必要ですが、なぜ自らの支持層から小池氏に多く流れたのか。

そこには、独自の候補を立てられず、共産党が主導する宇都宮氏を支援せざる得なかったことが背景にありそうです。野党第一党として現職の小池氏への対立軸をきちんと示せたのか。今後の衆議院総選挙をにらむと、検証が必要なのではないでしょうか。

(日本テレビ政治部 竹内真デスクの解説)