健康不安説の中、安倍政権「歴代最長」更新
24日、安倍総理は再び都内の病院へ入りました。同時に、安倍総理の連続在職日数が歴代最長となった日でもあります。なぜ、これだけ長く政権が続いたのでしょうか。安倍総理の体調とともにお伝えします。
■健康不安説 一週間前は「治療」も
24日午前10時前、総理は都内の病院を訪れ、約3時間半滞在しました。午後1時40分ごろ病院を出たあと、安倍総理は官邸に入る際に次のように述べました。
「今日は先週の検査の結果を詳しくお伺いし、そしてまた追加的な検査を行いました。体調管理に万全を期して、これからまた仕事に頑張りたいと思います」
「追加の検査」とのことでしたが、詳細は語りませんでした。
ちょうど1週間前にも病院へ行った安倍総理。先週は、体調に万全を期すための「日帰り検診」とのことでしたが、複数の政府与党関係者は、安倍総理が「治療も受けた」と話しています。安倍総理の体調が悪いことは確かで、「潰瘍性大腸炎」という持病があるため不安視されています。
■連続在職日数が歴代1位に 強さの秘訣は「選挙」
こうした中、安倍総理は8月24日、第2次安倍政権発足後の連続在職日数が2799日となり、歴代1位となりました。約7年8か月、ずっと総理の座にいたことになります。
連続在職期間が長い総理は以下の通りです。
(1)安倍晋三:2799日
(2)佐藤栄作:2798日
(3)吉田茂:2248日
(4)小泉純一郎:1980日
(5)中曽根康弘:1806日
これまで1位だった佐藤栄作元総理を抜いて、史上最長に。実は佐藤元総理は、安倍総理の大叔父にあたります。
では、なぜ安倍総理が長期政権を維持できたのでしょうか。その理由はずばり、「選挙に強い」からです。
第2次安倍政権発足以降の内閣支持率の推移を見ると、政権発足当時の2012年12月の支持率は65%。2013年2月には70%あった支持率も、何度か大きく下がっていることがわかります。
例えば、2015年9月、集団的自衛権の行使を一部認める「安全保障関連法」が成立した時は41%に低下しました。
最も低かったのは2017年7月で36%。「森友・加計学園」問題が発覚し、急落しました。
2018年4月には39%となりましたが、これは財務省による公文書改ざんが明るみになり、政権への「忖度」が問題となっていた時期です。
ただ、安倍総理は選挙に強いんです。下がった局面でも選挙に打って出るなどして、勝ち続けています。
■なぜ選挙に強い?
なぜ、そこまで選挙に強いのでしょうか。世論調査で安倍政権を支持する理由についてみてみると、以下のような理由となっています。
(1)これまでの内閣よりいい:48%
(2)自民党中心の政権だから:23%
(3)首相に指導力がある:9%
このように、消極的な理由で支持するという意見が多く、この傾向は変わっていません。
背景には、「対抗馬がいない」ことも理由としてあげられます。野党が弱い。まとまらない。さらに、党内にも安倍総理の有力な対抗馬がいない。
ただ、対抗馬がいると政治に緊張感が生まれるので、野党が弱い、対抗馬がいないのは国民にとって必ずしも良いことかどうかはわかりません。
■支持と不支持が逆転も「岩盤支持層」で危険水域は切らず
では、今の支持率はどうなのでしょうか。支持率のグラフを見ると、今年4月に支持と不支持が逆転し、今月には不支持が第2次安倍政権発足以来、最も高い54%となりました。しかし、危険水域と言われる支持率30%は切っていません。
安倍総理は、「これをやりたい」と理念をはっきり示すタイプで憲法改正もそうです。どんなに不祥事で支持率が下がっても、その理念に対する岩盤支持層が下支えしていて、30%を割りません。
■今後の政治日程は?
きょう再び病院に入った安倍総理。体調がよくない中、今後の政治日程はどうなっているのでしょうか。
まず、来月末までに自民党役員人事と内閣改造、10月末にも臨時国会が開かれる可能性があります。この時点での総理の体調がどんな状況なのかがポイントに。その後、来年1月には通常国会も開かれます。
大きな予定としては、来年9月末の自民党総裁任期の前に、7月にはオリンピック開催が現段階では予定されています。総理がオリンピックを自分のレガシーにして幕引きするのか、もしくは次の人につなぐのか。いまどんな病気でどういった治療をしていると正式に発表されていないので、わかりません。
24日、再び病院入りしたのは病状が悪化したから駆け込んだのではなく、前の検診のときにすでに予定されていたものだとみられていて、この先も通院が続く可能性もあります。こうした状況で、コロナ対応もあるなか秋の政治日程がこなせるのかどうかが当面の焦点といえます。
(2020年8月24日16時ごろ放送 news every.「ナゼナニっ?」より)