×

党員投票行わず…反発押しきり決定

2020年9月1日 21:12
党員投票行わず…反発押しきり決定

安倍首相の後任を選ぶ自民党の総裁選。菅官房長官が本命視されるなか、岸田政調会長と石破元幹事長が出馬を表明しました。一方、紛糾したのが総裁の選び方についてです。自民党の執行部は、党員の投票を求める声を押し切り、両院議員総会での選出を決めています。

    ◇

1日は防災の日。閣僚は緊急事態を想定し、徒歩で官邸に入りました。

大勢の記者らに囲まれ、姿がなかなか確認できないのが、ポスト安倍レースの大本命、菅官房長官です。出馬の意向を固めていますが、その一挙手一投足が注目されています。

    ◇

一方、石破元幹事長と岸田政調会長は1日、正式に出馬を表明しました。

岸田政調会長「自民党の総裁選挙に正式に立候補することを表明いたします。今、我々が求めなければいけないのは分断から協調であると」

「そうだ!(岸田)会長じゃなきゃできない!」

石破元幹事長「同志の皆様方のご推挙をいただき、立候補をする決意を致しました。政府を謙虚に機能させる国会を公正に運営する、そういう政党であらねばならない」

    ◇

こうしたなか、午前中に開かれた自民党総務会。総裁選挙の方法をめぐり、執行部の意向に反対する意見が噴出しました。

総裁選は通常、国会議員と全国の自民党員にそれぞれ394票が割り当てられます。

しかし、菅官房長官を支持する二階幹事長ら党執行部は“緊急時”だとして、両院議員総会で投票を行う方針を示しました。この場合、党員票は141票と大幅に減ります。

これでは、地方で人気が高い石破元幹事長に不利で、党内からは「石破つぶしだ」との声があがっています。

    ◇

また、自民党の若手議員らは「開かれた手続きで総裁選挙を行うべきだ」として、自民党議員150人以上の署名を提出。

反発が広がるなか開かれた総務会には、総務会のメンバーではない小泉環境相ら若手議員が乗り込み、「党員投票を行うべき。できないなら正当な理由を説明すべき」と迫りました。

しかし、執行部はそうした意見を押し切り、両院議員総会での新総裁選出が決まりました。

小泉環境相「残念ながらフルスペックの(通常の)公選はやらずという結論になりました」

石破元幹事長「党員の皆様方に投票する資格が与えられないのは、極めて残念なこと」

党員投票を行わず、執行部や党の重鎮たちの意見で総裁選の流れが決まったことへの反発。

    ◇

菅官房長官は自身のグループに加え、二階・麻生・石原・細田の各派から支持を集め、さらに1日になって、竹下派からも支持を得る見通しとなりました。

―麻生派議員「この流れは細田派・麻生派・竹下派で総理が辞任(辞意を表明)した時から決めていた。安倍政権を継承する適任者は官房長官しかいない」

各派閥には、この先の閣僚や党役員の人事でポストを得ることをにらんで、いち早く勝ち馬に乗る思惑があったとみられます。

“派閥票”を固めた菅官房長官。2日夕方、正式に出馬を表明する予定です。