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推薦通り任命“義務ない”映画界からも抗議

2020年10月6日 19:11
推薦通り任命“義務ない”映画界からも抗議

「日本学術会議」が推薦した研究者を菅首相が任命しなかった問題で、理由の説明を求める声が高まっています。こうした中、内閣府は、2年前に「推薦通り任命する義務はない」との見解をまとめていたことがわかりました。

野党が政府の担当者を呼んで行われたヒアリング。

立憲民主党・小西洋之議員「人事のことでも過程を答えられるわけですから答えてください」

立憲民主党・柚木道義議員「なんで答えないんですか」

安全保障関連法などに反対していた6人が、日本学術会議・会員への任命を拒否された経緯について詳しい説明を求めました。

   ◇

焦点の1つが任命に関する首相の権限について。政府は1983年の国会答弁で「学術会議が推薦した者は拒否しない」としています。しかし6日、内閣府が野党側に提出した資料では…。

『推薦のとおりに任命すべき義務があるとまでは言えない』

2年前に、推薦通りにする義務はないとの見解をまとめていたことが明らかになりました。

立憲民主党・黒岩宇洋議員「この義務とは言えないというのは“解釈の変更”になるんじゃないですか」

法制局担当者「解釈の変更ではありません」

野党側は明らかな解釈変更であり、理由を説明すべきだと批判しています。

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そして、もう1つの焦点はいつ誰が任命を見送ったのか。これは内閣府が先月24日菅首相に提出した資料ですが、この時、すでに6人の名前は削られていました。

黒岩宇洋議員・立憲民主党「24日の起案以前に総理が拒否をされたんですか、それとも総理以外の人が6人を絞ったという可能性はあるんですか」

内閣府の担当者「人事に関することでお答えは差し控えたい」

内閣府の担当者は詳細を明らかにしませんでした。5日夜、菅首相は、学術会議は政府の機関であり年間およそ10億円の予算を使って活動していることなどをあげた上で。

菅首相「(学術会議が)推薦された方をそのまま任命してきた前例を踏襲してよいのか考えてきました」

任命拒否に主体的に関わったことを示唆しています。

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6人の任命拒否については、日本大学の古川隆久教授らが呼びかけ人となり撤回を求めるネット署名が行われ11万人以上が賛同しています。

署名を呼びかけた日本大学・古川隆久教授「あの説明ではなぜ6人がということは決して説明つかないので、いきなりこういう形でかえるというのはアンフェアだと思う」

また、映画界からも是枝裕和監督ら22人が連名で抗議声明を発表しています。

映画界からの抗議声明「これは表現の自由への侵害であり言論の自由への明確な挑戦です。放置するならば政権による表現や言論への介入はさらに露骨になることは明らかです」

加藤官房長官は「色んな意見があるのは当然だ。それぞれの話をしっかりきかなければならない」とした上で、政府として適正な判断をしていくとしています。