無人機やドローン開発進める 中国の狙いは
軍事大国をめざす中国の習近平国家主席。軍を近代化するよう大号令をかけ、開発を進めているのが無人機です。先週、最新鋭の機種などを内外に公開しました。背景にはどんな狙いがあるのでしょうか。
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中国南部の広東省で先週、中国最大の航空ショーが開かれました。空軍や軍事企業が主催したもので、レーダーをかく乱する能力を持つ新型の戦闘機「殲16D(せんじゅうろくでぃー)」や、新型の国産エンジンを搭載したステルス戦闘機「殲20(せんにじゅー)」などが公開されました。
その一方で目を引いたのが、新たに開発された無人機の多種多様さです。現在中国では、習主席の指示のもと、無人機を使った作戦の研究や無人機の配備、関わる人材の育成に力を入れています。
大型の無人機は「双尾蝎A(そうびかつえー)」。翼の下に多くのミサイルを搭載し、性能の高さをアピールしていますが、実はベースとなった「双尾蝎(そうびかつ)」とみられる無人機が今年8月、沖縄本島と宮古島の間を飛行したことを防衛省が確認しています。
開発した企業を探し、話を聞くことができました。
「双尾蝎(そうびかつ)」開発企業の担当者「双尾蝎A(そうびかつえー)は3つエンジンを備えていて、高度1万メートルまで上昇できます。また最大離陸重量は3.25トン、とてもパワフルです」
36時間連続で飛行できるほか、より多くの監視用センサーや武器も搭載できるとみられます。
沖縄周辺を飛行したことについて尋ねると「双尾蝎(そうびかつ)」開発企業の担当者は「それはちょっと答えられませんね」と口をつぐみました。
Q海外にこれから売る予定はあるか?
「双尾蝎A(そうびかつえー)」開発企業の担当者「海外に売れます」
輸出も視野に入れているといいます。
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会場を見渡すと目立つのが、制服を着た海外の軍関係者の姿です。
取材を試みますが、口が堅く応じてもらえません。
パキスタン軍関係者「私は情報機関から取材に応じることを禁じられています」
しかし、観察していると、みな無人機やドローンを熱心に調べていることがわかります。
無人機やドローンは、従来の軍用機に比べて安く、兵士を失うリスクも減らせることから各国で導入が進んでいます。
中国政府は企業を後押しして開発を進めているほか、輸出にも力を入れているのです。
展示されているドローンの中には、群れをなして飛行させる“スウォーム技術”を使った自爆型のドローンも。公開された映像では、車両やヘリコプターから打ち出された自爆ドローンが編隊を組み目標に突入していることがわかります。
こうした自爆ドローンは、イスラエルなどで製造・輸出されていて、去年9月に起きた紛争ではアゼルバイジャン軍がアルメニア軍に対して使用。戦いを有利に進める要因の一つになったと考えられています。
中国が進める無人機の開発。専門家は今後、AI(=人工知能)と融合し、無人機が攻撃などの判断をするようになると指摘します。
笹川平和財団上席研究員・小原凡司氏「中国は単に無人機というよりは、自律型兵器としての無人機という方向にきている。そして、その技術は相当程度高まっていると思います。将来の戦闘様相が機体対人間、あるいは機械対機械になると考えて、こうした自律型の無人機を積極的に開発している」
中国が開発を進めているとみられるAIを使った完全自律型の兵器。国際社会では、こうした兵器の禁止を求める声もあがっていますが、議論はまだ深まっていません。