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今回の衆院選…有権者は何を重視して投票?

2021年11月1日 18:38
今回の衆院選…有権者は何を重視して投票?

今回の衆院選は、自民党が単独過半数に達しました。一方、現職大臣や大物議員の敗北・落選も相次ぎました。有権者は何を重視して投票したのでしょうか。詳しくお伝えします。


■自民党「絶対安定多数」に

まずは結果です。465議席のうち、自民党が261議席と単独過半数を獲得しました。公示前から15議席減らしましたが、この数は「絶対安定多数」に達しています。

これは、国会で与党がどの程度安定的に国会運営を行えるかを示した議席数のことです。261議席なら、委員会でいろんな法案を通すのに絶対的な強さを国会で持てるということです。

また、公明党は公示前より議席を増やしました。

今回、野党は立憲民主党や共産党などと小選挙区で候補者を一本化して、政権批判票を集めようと共闘しました。しかし、立憲民主党は公示前よりも14議席減らして96議席となりました。共産党も議席を減らす結果となりました。

また、野党共闘に加わらなかった日本維新の会は、票をのばして第3党に躍進しました。公示前から4倍近くの41議席を獲得しました。

立憲民主党の枝野代表は、「自民党が強い選挙区で接戦に持ち込めたので野党共闘は一定の成果はあった」としていますが、結果としては議席も減らして、不発に終わったことは否めませんし、厳しい現実が突きつけられたといえます。


■相次いだ大物議員の敗北や落選

一方、今回の選挙では閣僚経験者など大物議員の敗北や落選が相次ぎました。

東京8区では、自民党の石原伸晃元幹事長が、立憲民主党の新人候補に敗れ、比例復活ならず落選しました。

大阪10区では、立憲民主党の副代表・辻元清美氏が日本維新の会の新人候補に敗れ、比例復活ならず落選しました。

また、自民党では甘利幹事長と、現職大臣、若宮万博大臣が小選挙区で敗れ、比例で復活当選しました。

野党では立憲民主党の小沢一郎氏が岩手3区で自民党の候補に敗れ、比例での復活当選しました。

幹事長という役職は党を仕切り、選挙の責任者です。自民党の幹事長が小選挙区で敗れるのは、初めてのことです。

一般的に幹事長や大臣はメディアによく出ますし、選挙戦では有利に働きます。

これについて閣僚の1人は、「甘利さんの小選挙区での敗北だけで100人分のダメージだよ」と話しています。

また自民党関係者は「幹事長が落ちたり(選挙の)中身がね…世代交代の選挙だったのかなと思う」と話していました。

甘利幹事長の今後について1日、動きがありました。岸田総理にとっては、自身の強い希望で幹事長に起用した甘利氏を交代させるのは大きな打撃となります。

甘利さんは1日午後、次のように話しました。

甘利幹事長「小選挙区で落選が決まった時点で、岸田総裁に対して直接辞意を表明させていただきました。総裁からは一両日考えさせてくれというお話でありました」

一方の岸田総理は、午後2時から自民党総裁として会見し、甘利幹事長の処遇については次のように答えました。

岸田首相「甘利幹事長の…え~処遇についてのご質問、これについては甘利幹事長の方から進退、私に預けるということを言われています。私の方でいま預からせていただいていますが、本人とよく話し合った上で、できるだけ早いうちに私が対応を決定したいと思っています」

結局、まだ決まっていないということです。党内が納得する人事ができるのか、岸田総理の手腕が問われることになります。


■どんな政策を重視して投票した?

NNNが行った出口調査について解説します。どんな政策を重視して投票したのかを年代別にみていきます。

18歳~19歳は、「新型コロナ対応」が最も多く、25.2%とおよそ4分の1が重視しました。後は「子育て・教育」「景気」と続きました。

20代~40代では、「景気」「子育て・教育」が上位になりました。特に30代は、3割以上が(30.8%)「子育て・教育」を重視。これは全世代で最も多かったです。

50代では3位に「外交・安全保障」が入ってきています。

60代以上は「景気」「外交・安全保障」に加えて、「社会保障の充実」が入ってきています。

すべての年代で3位以内に入ったのは、「景気対策」で、やはりコロナの影響で広い世代に経済的ダメージがあったことがうかがえます。

続いて、比例代表でどの政党に入れたか年代別にみてみます。

10代~20代は1位自民、2位立憲、3位維新。

30代~40代は1位自民、2位維新、3位立憲。

そして50代以上は、20代以下と同じ1位自民、2位立憲、3位維新の順になっています。

30代~40代が、他の世代に比べて維新を支持しているのが読み解けます。

総務省が発表した今回の選挙の小選挙区の投票率は55.93%でした。前回、4年前の衆院選の投票率は53.68%なので、2.25ポイント増えました。

岸田総理は政権を維持したとはいえ、自民党はベテランが苦戦し、甘利幹事長が辞意を伝える事態にもなりました。

政権はこの結果を真摯に受け止めて、コロナや経済対策など有権者が解決してほしい課題に全力で取り組んで信頼を得るようにしてほしいです。

(2021年11月1日午後4時ごろ放送 news every.「ナゼナニっ?」より)