“キラキラネーム”一定のルール設ける案 「太郎」と書いて「マイケル」と読むのは… “線引き”はどこに?
いわゆる「キラキラネーム」について、行き過ぎたものは制限されることになりそうです。“線引き”はどこなのか、具体的な例を交えて解説します。
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法務大臣の諮問機関は2日、戸籍の氏名に「読み仮名」をつける法の改正に向け、要綱案をまとめました。それによると、氏名の読み仮名は「一般に認められているものに限る」という規定を設けるということです。
「一般に認められる」の線引きは、どこなのでしょうか。現状、想定される例をあげてみます。
「騎士」 読み仮名「ナイト」
「太郎」 読み仮名「マイケル」
「ナイト」は、漢字と外国語の意味が関連づけられるということで、認められる可能性が高いですが、「マイケル」は漢字との関連性がないため認められない見通しです。
ほかにも、受理されない可能性のある読み仮名もあるようです。
「高」と書いて「ヒクシ」と読む場合、漢字の意味とは反対なので、認められない可能性が。また、「太郎」と書いて「ジロウ」と読む場合も、読み違い書き違いか判然としないので、認められない可能性があります。
「太郎」を「マイケル」と読むというように、漢字との関連性がないもののほか、人の名前としては違和感のあるキャラクターの名前や、反社会的、差別的な読み仮名も受理されない可能性があります。
一方で、「ナイト」のような漢字と外国語の意味が関連づけられるものや、「星」と書いて「ヒカル」といった漢字の意味から連想されるような読み仮名は、認められる可能性があります。
また、源頼朝の「朝」を「トモ」と読むように本来の読み方ではないものの、慣例で人名として定着している「名乗り訓」も認められるとみられます。
要綱案では、社会を混乱させる読み方は規制する一方で、日本の命名文化も踏まえて柔軟に受け入れることが必要だとしています。
そもそも現在、私たちの戸籍には読み仮名が記載されていません。3年前の10万円の新型コロナ給付金では、戸籍に読み仮名がないので、銀行口座との結びつけに手間取り、給付が大幅に遅れる事態ともなりました。「行政手続きのデジタル化」を進める中で、戸籍に読み仮名を記載することが作業の効率化につながるとして、読み仮名のルールが議論されてきました。
去年5月に出された中間試案では「光宙」と書いて「ピカチュウ」が「漢字との関連性がある」とされ、読み仮名として認められる可能性がありました。しかし、今回の要綱案では、「人の名前としては違和感のあるキャラクターの名前」にあたり認められない可能性があります。中間試案の発表後に行われたアンケートで、読み仮名に一定の制限を設ける案が、幅広い世代に支持されたことが考慮されたとみられています。
政府は今国会に改正案を提出し、2024年度の施行を目指しています。