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【特集】モデルにしたのはアメリカの討論会 4月投開票の秋田市長選に立候補を予定している2人がバチバチの激論!その主張や公約をたっぷりと

2025年3月5日 17:51
【特集】モデルにしたのはアメリカの討論会  4月投開票の秋田市長選に立候補を予定している2人がバチバチの激論!その主張や公約をたっぷりと

続いては、先日もお伝えした、秋田市長選挙の討論会の様子を、改めて詳しくお伝えします。討論会に出席したのは、現職の穂積志氏と、県議会議員の沼谷純氏の2人で、こちらの3つのテーマに関して、自身の主張を話し、その後、互いに議論を交わす形式で行われました。

討論会を企画したのは、政治や選挙への関心を高めてもらおうと活動している、国際教養大学の学生たちです。国民も世界も注目するあの国の討論会の進め方をモデルにしました。前回=4年前も選挙戦を繰り広げた2人の、今回の主張や公約を詳しくお伝えします。

普段は、市の職員である秘書がカバンや資料を持ちますが、この日は、市長自らそれらを手に携えて会場入り。同じ選挙戦に臨む相手より少し遅れて会場に姿を見せました。

秋田市政の次のかじ取り役を目指す2人が、公約、政策、理想の秋田市を語る議論の席に着きました。

前回=4年前の選挙でも、市長の座を争った2人の議論は、時折、熱を帯びることもありました。

序盤から熱を帯びる2人の議論

沼谷氏
「市独自にというよりは歩調を合わせてやっていくことを前提とした公約、ということでよろしいですか?」

穂積氏
「ですから逆のことを言うと、あなたも今までずっとやるって言ってるじゃないですか。その根拠は何ですか?教えていただけますか」

沼谷氏
「私は新人ですから、市の1400億円の予算全てを精査する立場にはないので…現職と新人の差があると思いますが…」

2月24日、秋田市雄和の国際教養大学で開かれたのは、秋田市長選に出馬を表明した2人による、公開討論会です。

現職で、5期目を目指す、穂積志氏、67歳。

今は県議会議員を務めている、沼谷純氏、51歳。

次のかじ取り役に名乗りを上げた2人の討論会を、約100人の、市民や学生、それに県や市の議会議員が見届けました。

討論会を企画した学生の思い

この討論会を企画したのは、国際教養大学に通う1年生です。

「ドキドキしてます…緊張してまーす。緊張して食べ物も喉を通りません」

東京出身の深野真海さんが中心になって去年設立した団体、選挙クラブは、学生たちに、政治や選挙に関心を持ってもらおうと様々な取り組みを行っていて、今回の討論会もその一環です。

国際教養大 選挙クラブ代表深野真海さん
「有権者の方々に選挙を身近に感じていただきたい、立候補されているご両人の政策をご本人の口からしっかりと聞いて、自分の中でかみ砕いて理解していただきたいというふうに考えております」

この討論会、ある国が、新たなリーダーを決める際に行う「恒例のイベント」が、モデルとなっています。

深野真海さん
「一応モデル構想が、アメリカの大統領選挙のテレビ公開討論会が元になってはいます」

アメリカ大統領選において、有権者の大きな判断材料になる、公開討論会の進め方を参考にして、一つのテーマに関するそれぞれの主張を2分、両者で議論する時間を5分設ける形式にしました。

2人が議論するテーマは3つ。子育て・教育、災害対策、そして、外旭川地区のまちづくりです。

子育て・教育

まずは子育て・教育について。主張が重なる部分もありました。

穂積氏
「まずは給食無料、そして医療費の無料、そして保育料の無料。日本一子育てのしやすい環境を整えていきたいということと、もう一つは、お母さんたちの保育園の中では冬場子ども遊ばせるような場所が少ない。ぜひ全天候型の屋内の遊戯場をつくってほしいということなので、それを実現させていただきたい」

沼谷氏
「私も保育料、給食費、医療費、完全無償化していきたいと思っております。特に医療費、保育料、ほかの市町村、秋田県内でも完全無償化できている市町村ありますので、ぜひやらせていただきたいと思っております」「また親御さんの働き方多様化しております。夜間休日土日も仕事だというご家庭もたくさんあります。そういう意味では夜間休日保育をしっかりと秋田市としてもサポートしていきたい」

災害対策

次に災害対策。穂積氏は、インフラ整備に重点を置く考えで、沼谷氏は、市民への支援に力を入れたい考えです。

穂積氏
「水が逆流しないような、そんなシステムをつくっていくと。それからまた雨が降った時には、それを貯水していくような、そういったものもハード的につくっていく。それによって雨水の対策もできてきて、これからは、この前、1年半前のね、7月のやつ。おととしの7月のような雨が降ったとしても、今までのような浸水被害にはならないという対策を、国と県と市で持っています」

沼谷氏
「いわゆるトイレ、キッチン、ベッド。そういうのも整備していかなければならない。あるいは体育館が避難所に指定をされていますけど、なかなか冷暖房がないという状況です。こういうものも計画的に整備をしていく必要があると思ってます。そして最後になりますけど、被災された方の生活の再建。ここについても、なかなか難しいですが、国・県、様々な既存の制度の中で、手を差し伸べることができなかった方々がいます。こういうところにも何とか秋田市として手を差し伸べる制度を制度化していきたい」

外旭川地区のまちづくり 前進か白紙か…

この日の最後のテーマは、外旭川地区でのまちづくりです。市民の理解を得て、計画を前進させたい穂積氏に対し、沼谷氏は、今の計画は白紙にすべきと主張し、意見が分かれました。

穂積氏
「御所野にあるイオンと同じものができるのではないのかと。そんな思いを持ってらっしゃる方もいるかもしれません。全く違います」「秋田の新しい魅力や活力をつくっていくという、そういった取り組みであります。ですからそこには秋田大学、県立大学、ソフトバンク、富士通、TDK、東北電力等々、様々な企業40社が協力をしてその取り組みに向かっていくという。その代表がイオン(タウン)であって、そんなショッピングモールをつくるということではないので、ぜひその辺は理解していただきたい」

沼谷氏
「スタジアム整備。卸売市場の建て替え。それからイオン(タウン)による商業開発、農地開発。この3つがセット、相乗効果、密接不可分の三位一体だというのが今の基本計画です。しかしながら市長ご自身がスタジアムつくらなければ死んでも死にきれないということで八橋にスタジアムを持っていかれた。また、卸売市場に関しては、建て替えのコストが非常にかかるということで、大規模修繕に切り替わろうとしている」「私はこの3本のうち2本が消えた今の計画にしがみつくのではなくて、これはできなくなった計画ですから、一旦白紙にさせていただきたいというふうに思っております」

このほか2人は、八橋地区で建設が予定されている新たなスタジアムについても、それぞれの考え方を明らかにしました。「1万人規模」の施設を目指し、計画や、建設費用は、今後具体化させると改めて説明した穂積氏に対し、沼谷氏は、まずは市が建設費用を速やかに試算し、その費用について、市民から理解を得られるかどうかを先にやるべきと主張しました。

討論会を企画した学生 登壇した2人への評価は…

討論会のモデルとなった国では、互いに話を遮ったり、非難し合うこともありますが、両者は終始冷静に討論を進め、主催した学生たちも、その点を高く評価しました。

国際教養大・森川葵衣さん
「アメリカ大統領の討論会をベースに、それをモデルにやってるんですけど、ああいう中で口論が多くなってしまって、建設的な話し合いができてないイメージを持ってたんですけど、今回は2人が本当にすごくいい議論してくださって、自分が想像してたよりもっと具体的な話が出てきていましたし、質問に対しても本当に真摯に答えている印象があって、開けてよかったなと」

国際教養大・佐伯太陽さん
「普段SNSとかホームページで見ることしかできない政策、候補者の声を生で聞けたのは個人的にすごくうれしかったなと思いますし、今回秋田市長選挙に関して、自分の中での解像度が上がったかなというのが個人的な感想です」

秋田市長選の告示は今月30日、投票は、今から約1か月後、県知事選挙と同じ来月6日です。主張や公約を見比べ、聞き比べるための時間は、まだ十分にあります。

今回の討論会でテーマになった、子育て・教育、災害対策、外旭川地区のまちづくりに関するそれぞれの主張については、ABSの日々のニュースを掲載しているウェブサイトの中で、さらに詳しく紹介しています。「ABS NEWS」で検索していただきますと、そのウェブサイトが出てきます。ぜひご覧ください。

最終更新日:2025年3月5日 19:16
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