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【政権交代】どうする立憲!? 自民“崩壊”の危機で野党第一党はどう闘うのか?

2024年1月8日 6:00
【政権交代】どうする立憲!? 自民“崩壊”の危機で野党第一党はどう闘うのか?

自民“崩壊”の危機の中、なぜ高まらない?野党第一党「立憲民主党」政権交代への期待の声。

自民党支持率が下がる中、上向くことがない「立憲」の支持率。2009年の政権交代の時と、今の野党第一党は何が違うのか?ポスト泉は誰なのか?立憲のイマを徹底解剖する。

■「今こそ政治を変えるとき」なのに・・・上向かない立憲支持

「今こそ政治を変えるとき」

立憲民主党の顔・泉健太代表が力強く、候補者を募集するホームページでこう訴えている。しかし、最大の問題は当の立憲民主党に対する国民からの支持が高まらない点だ。

NNNと読売新聞の2023年12月の最新世論調査でも立憲の支持率は5%と伸び悩んでいる。さらに、2023年4月から11月までは野党第二党の日本維新の会に後塵を拝していた。

ある立憲幹部は「岸田内閣の支持率が下がっても、立憲への支持に繋がらない」と嘆いていた。なぜ、期待が高まらないのか?3つの視点から、立憲民主党の現在地と今後の展望を分析する。

■【分析:その1】「野党分断」の1年だった2023年

2022年は、日本維新の会と国会で共闘するなど「野党協調」で成果が出た年だったが、23年は立憲が「与党との対決」だけでなく「野党との協力」にも悩み、「野党分断」の1年になってしまった。ポイントとなる2つの局面があった。

1つ目は、6月の内閣不信任決議案をめぐる対応だ。

立憲が対決姿勢を示すために提出に踏み切った一方で、維新・国民は反対にまわり、野党の足並みは崩れた。その背景には、通常国会の戦略をめぐり、立憲が日程闘争を含めた「全面対決路線」をとった事に対し、維新側が「昭和のやり方」などと批判したことがあった。ある立憲幹部は「野党がバラバラになったせいで、国会が与党ペースになってしまった」と振り返る。

2つ目は、臨時国会の補正予算案をめぐる態度だ。

秋以降、立憲は岸田内閣が打ち出した「所得減税」が不評だったことなどもあり、攻勢を強めた。維新との連携では、いわゆる“統一教会”の被害者救済をめぐる法律では「共闘」が進んだが、補正予算をめぐっては反対した立憲に対して、維新・国民は賛成にまわった。「野党分裂」になった形だ。ある立憲幹部は「野党が一致結束して、攻めきれなかった」と不満を漏らした。

■【分析:その2】 2009年「政権交代」と今…違いは「受け皿」

自民党内では、今の危機的状況について「政権交代前の09年に似ている」と指摘する声が多く出ている。

2023年11月の世論調査では内閣支持率が24%になった。これは12年の政権復帰以来で最低の数字だ。2023年12月には自民党の支持率が28%となったが、30%を下回るのは麻生内閣以来14年ぶりだ。内閣と自民党の支持率が下がる中、09年との違いは野党第一党の支持率が上がらないことだ。

政権交代がおこった09年8月の「民主党」の政党支持率は32.1%。一方、最新(23年12月)世論調査での「立憲民主党」は5%。一番多いのは「支持政党なし」の48%で、他に野党で5%をこえる政党はない。

民主党時代に政務3役を経験したある立憲幹部は「あの頃の民主党には勢いがあった。今は野党の数が多く、立憲と維新が野党第一党争いをしている状態では、国民が求める受け皿になれていない」とこぼす。

■【分析:その3】 ポスト泉は? 来年の代表選の行方

野党としての存在感があがらない立憲民主党。立憲の議員を取材する中でその原因としてよく出てくるのが、トップ泉代表への不満の声だ。

泉代表は就任から丸2年を迎えるが、党勢が拡大しない原因についてトップの「指導力不足」「発信力不足」を問う意見が少なくない。

■“安定重視” 名前が挙がる重鎮2人

では、「ポスト泉」は誰なのか。取材でまず出る名前は重鎮2人、枝野幸男前代表と野田佳彦元首相だ。

枝野氏は旧・立憲民主党を立ち上げた「創業者」。知名度も高く、今年、「枝野ビジョン」の改定版を発表するなど存在感を示している。しかし、枝野氏は21年の衆院選で敗北し、代表を辞任した経緯がある。党内からは「共産党と関係が近いイメージから、他の野党との協力がしにくくなる」「時計の針が戻ってしまう」という厳しい意見も根強い。

一方、待望論が出ているのが元首相の野田佳彦氏。安倍元首相の追悼演説を契機に与野党から再評価する声が出ていて、ある立憲幹部は「野田氏は増税を成し遂げた首相であり、それは自民党にとっても一目置かれること。経験と人柄から、他の野党との関係もうまくやれる」と評価する。中堅・若手からも「野田氏が代表になって立憲を立て直してほしい」という声も少なくない。

■“中堅躍進” 代表選を見据えるエース

中堅議員で名前があがる「ポスト泉」は誰か。

まずは、知名度も高く待望論が強いのは、前政調会長の小川淳也氏。密着したドキュメンタリー映画が話題となり、前回の代表選では泉代表とも争った。ある立憲幹部は「枝野、野田ではフレッシュ感がない。若くて、情熱があり、ビジョンを持つ小川氏しか次のリーダーはいない」と話している。この1年は目立つ存在ではなかったが「代表選に備えあえてじっとしていた1年だった」と立憲若手は分析する。

もう1人の有力候補は、同じく代表選で泉代表と争った西村智奈美氏。立憲が力を入れる、いわゆる“統一教会”問題対策の責任者を務め、救済法では与党側との交渉担当者として汗をかいた。西村氏を推す中堅議員は「彼女はかなり肝が据わっている」、別の立憲議員は「女性リーダーへの渇望感は高い」と、代表へ期待する声があがっている。

もちろん、泉代表自身も次の代表選では候補者の1人だ。ある中堅議員は「代表は次の衆院選で目標の150議席獲得を目指す」と意気込む。そして、「代表選までに解散総選挙がなければ、泉代表の続投だろう」(周辺)と“泉おろし”の動きを牽制する。

■どうする立憲!? 次のカギは「政治改革国会」

2024年は立憲にとっても勝負の1年となる。1月下旬から始まるとみられる通常国会は、冒頭から「政治改革国会」になるとみられる。ここで、立憲が政府与党をどう追及し、政治改革に向けた姿勢をどこまで示せるかが問われている。

立憲は、すでに提出している法案をベースに、企業団体献金禁止や収支報告書のネット公開の義務化などを求める方針だ。ある立憲幹部は「企業団体献金禁止を自民党にのませるのは高いハードルがある。一方、小幅な改正に終われば『野党も保身に走った』と厳しく批判される。どこまで攻めるのか難しい」と頭を悩ませる。

「政治とカネ」で最大の危機を迎えている、岸田自民党。立憲民主党が「自民党のピンチ」を「チャンス」として引き寄せ、さらに、国民の支持に繋げることができるのか。立憲民主党にとっても大きな1年となりそうだ。

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