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国民民主党が党大会 都民ファーストの会との“合流協議”の現在地は?

2022年2月12日 9:00
国民民主党が党大会 都民ファーストの会との“合流協議”の現在地は?

現在、“合流”を視野に入れた連携協議を行っている「国民民主党」と東京都の小池知事が特別顧問を務める「都民ファーストの会」。両者の“合流協議”の現在地と、今年夏の参議院選挙に向けた戦略とは。

■参院選は都民ファと「統一候補」

「参院選では都民ファの皆さんと統一候補者で一緒に戦いたい」

2月11日に行われた国民民主党の党大会後、会見で都民ファーストの会との関係について問われ、こう述べた玉木雄一郎代表。今年夏の参院選で重点選挙区の1つに位置づける東京選挙区に、都民ファとの「統一候補」を擁立する考えを表明した。

国民民主党は現在、立憲民主党、日本維新の会に次ぐ野党第3党(衆議院)に甘んじている。玉木代表は党勢拡大を見据え、「政策や理念が一致する勢力とは協力をしていく」という言葉を繰り返し述べてきた。その言葉通り、国会では日本維新の会との連携を強化したほか、国会外でも去年10月に行われた衆議院選挙後に都民ファとの連携を深め、参院選に向けて“合流”を視野に入れた協議を進めてきた。

都民ファは東京都の小池百合子知事が特別顧問を務めていて、東京では一定の勢力を持っている地域政党だ。11日の党大会には都民ファの荒木千陽代表も「共に連携し国民の皆様方の声、期待に応えて参る所存です」とのメッセージを寄せた。党大会にメッセージを寄せた国政政党および地域政党は都民ファだけだったことからも、両者の距離が近くなっていることが読み取れる。

■“合流”を模索する狙いは

去年の衆議院選挙に向け、連携を模索した時期もあった両者。去年12月、国民民主の国会議員と都民ファの都議会議員が参加した「勉強会」を皮切りに、これまで3回にわたって新型コロナ対策などについて意見交換を重ねてきた。国民民主にとって勉強会を通じた連携は、コロナ対応に追われる東京都の課題を吸い上げ、政策に反映することができる。

また去年の衆議院選挙で、東京で議席を獲得できず、比例東京ブロックの得票数も約30万6千にとどまった国民民主にとって、東京に一定の地盤を持つ都民ファとの連携は参院選に向けた足場作りにもつながる。

一方、去年の衆院選で候補者擁立を目指すなど、国政にも意欲がある都民ファにとっても、国民民主との連携は国政進出への足がかりになるとみていて、メリットがある。こうした中、玉木代表と荒木代表は先月、国民民主と都民ファで、コロナ対策の政府への提言のほか、子育てや介護など国政にも都政にも関わる“共通政策”作りに入ると表明した。

勉強会の具体的な成果物として共通政策を作ることにより、合流の最低条件となる「政策や理念」を一致させ、合流に向けた環境を整えていく狙いがあるとみられる。この共通政策にはコロナ対策だけでなく、社会保障政策や経済政策なども含まれるという。

このような流れの中で、国民民主と都民ファの“合流協議”の現在地は、どこにあるのだろうか。

国民民主の幹部は現在地について、「元々、合流ありきではない。政策をすり合わせた上で、夏の参院選と来年の統一地方選を見据えてどう連携するのがいいか、話し合っている状況だ」と語る。玉木代表も党大会で、「政策の一致なく選挙のためにくっついたり離れたりするのは、国民の理解を得られない」と改めて強調した。

また都民ファの関係者も、「政策の一致が大前提。選挙を勝つには、選挙協力と合流はどちらがプラスマイナスになるかで、合流がマイナスになって選挙に負けたら意味がない」と語っている。ただ既に共通政策作りに着手していることからも分かるように、両者の政策にあまり隔たりはなく、むしろ近いとも言える。

課題もある。1つは党名の問題で、合流した場合、どのような党名にするかをめぐり、両者の考えには若干の隔たりがある。東京で知名度を誇る都民ファ内には「ファースト」の名前を残したいという意見がある。一方で、国民民主党内にも参院選を約半年後に控える中、「国民民主党」という名前が変わることに慎重な意見もあることから、合流に向けて党名をめぐる調整は課題となっている。

もう1つの課題は「希望の党」の再来との批判だ。

玉木代表はかつて、小池知事が立ち上げた希望の党で共同代表を務めるなど小池知事と近い関係にあった。希望の党は2017年の衆院選で惨敗し、その後、紆余曲折を経て、玉木代表は国民民主を立ち上げ現在に至るわけだが、小池知事の影響力が強い都民ファと合流すれば、国民から選挙目当ての合流と受け止められるリスクもある。

玉木代表にはこのような過去の経験があり、また党内には合流に慎重な意見も一部あることから、都民ファとの勉強会を通じて「政策や理念」を丁寧にすり合わせた上で、今後の参院選などを見据えて合流なども含めて慎重に判断している段階だと言える。

■問われる玉木代表の手腕

国民民主にとって参院選の至上命題は、比例代表での現職4人の当選だ。

ただ、去年の衆院選で国民民主が獲得した比例代表の票は約260万票で、国民民主の幹部は「現職4人の当選には440万票は必要」と分析する。つまり衆院選の結果を踏まえると、参院選の目標をクリアするためには、単純計算で180万の比例票を上積みする必要がある。

国民民主は11日現在、30の都道府県で県連を設立し、今後は47都道府県全てで設立することを目指している。積極的に地方組織を設立する背景には、参院選で比例代表での票を上積みさせたいという思惑がある。

参院選の至上命題をクリアするため、他党との協力だけでなく、自力でどう票を積み増すのか、玉木代表の手腕が問われている。

■注目される小池知事の関与は

国民民主と都民ファの連携で注目されるのは、小池知事の関与の度合いだ。現時点で小池知事は表立った動きは見せておらず、今後の連携強化、そしてその先にある合流にどの程度関わってくるかは不透明だ。国民民主の幹部は「現時点で小池知事の色気は感じられない」と語っている。

このように国民民主と都民ファの合流協議は「中間地点」には達していると言えそうだ。玉木代表が国民民主の参院選での勝利、そして党勢拡大に向け、都民ファとの“合流”という選択肢を取るのか、もしくは“選挙協力”にとどまるのか、今後に注目したい。


(日本テレビ報道局政治部野党クラブ)

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