選挙前と変化…石破首相、所信表明演説で“異例の配慮”なぜ? 野田氏「スカスカ」 玉木氏は「評価」
「真摯(しんし)」「丁寧」「謙虚」。29日、石破首相はこうした言葉を用いて2度目の「所信表明演説」を行いましたが、この言葉の裏には異例ともいえる“ある配慮”がありました。
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衆院選後、初となる所信表明演説に臨んだ石破首相。
石破首相
「常時率直に意見をかわす慣行を作り、おのおのの立場を明らかにしつつ、力を合せるべきことについては相互に協力を惜しまず、世界の進運に伍(ご)していくようにしなければならない」
冒頭のこの言葉、実は石破首相と同じく政権基盤の弱かったという、石橋湛山元首相の言葉を引用したもの。
「他党にも丁寧に意見を聞く」と、少数与党として野党に歩み寄る姿勢を見せました。
「103万円の壁」の見直しを主張してきた「国民民主党を意識した演説だ」という声も上がっています。
石破首相
「いわゆる『103万円の壁』については、令和7年度(2025年度)税制改正の中で議論し引き上げます」
その「壁」について、石破首相は引き上げを自ら明言。玉木代表も、大きくうなずきました。
先月4日、選挙前の所信表明演説の際には…
石破首相
「国民の皆様の納得と共感を得られる政治を実践することにより」
「納得と共感を頂きながら」
「納得と共感」を繰り返した石破首相。今回の演説にこの言葉はなく、かわりに強調したのが…
石破首相
「他党にも丁寧に意見を聞き、可能な限り幅広い合意形成が図られるよう、真摯に、そして謙虚に、国民の皆様方の安心と安全を守るべく、取り組んでまいります」
この変化、どういう意図があるのでしょうか。
政治部 官邸キャップ 平本典昭記者
「まず消えたのは『共感と納得』という言葉です。『共感と納得』は主に国民に向けた言葉でした。増えた言葉が『真摯』『丁寧』『謙虚』という言葉です。『真摯』に向き合う相手は『国会での野党』と言えます」
「石破首相は前回は選挙前だったこともあり、国民の支持を得ることが政権運営のカギを握るとしていたのが、選挙で少数与党になったことで『野党の協力』を得ることを最優先にギアチェンジした演説だったと言えます」
では、少数与党の国会で実現する見通しの「103万円の壁」は、今後どう進むのでしょうか。
平本記者
「大きくポイントは3つです。1つ目は、引き上げ幅です。国民民主の言う“178万円”満額なのか。いま自民が主張する10万程度なのか」
「2つ目は、他の“壁”にも一緒に手をつけるのか。106万、130万の壁、特定扶養控除まで緩和するのか」
「3つ目は、所得制限を設けるかとなります」
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2度目の演説を聞いた野党からは…
立憲民主党 野田代表
「スカスカ2.0。印象に残る言葉がないじゃないですか。石橋湛山の言葉は残ったけど、石破総理の言葉は残らないでしょ。石橋と石破じゃ、えらい差」
日本維新の会 馬場代表
「きちっとですね、1回言ったことはやるということを徹底していただきたい」
国民民主党 玉木代表
「(103万の壁を議論し)『引き上げます』と明言をされたことは、これは第一歩が記されたということで評価をしたいと思います」
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来週は代表質問が行われる予定で、与野党の論戦が始まります。
(11月29日放送『news zero』より)