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【全文】中国に電話で抗議「一刻も早く伝達するため」 官房長官会見(8/5午前)

2022年8月5日 13:32
【全文】中国に電話で抗議「一刻も早く伝達するため」 官房長官会見(8/5午前)

松野官房長官は5日午前の会見で、中国の弾道ミサイルが日本の排他的経済水域(EEZ)に落下したことを受け、森外務次官が中国の駐日大使に、対面ではなく電話で抗議したことについて「情勢の緊迫度に鑑み一刻も早く我が国の考えを中国側に伝達をするため、電話で行った」と説明しました。

<会見トピックス>
▽中国軍事演習

▽日中外相会談

▽中国ミサイルの能力等

▽首相とペロシ議長との朝食会

▽安倍元首相の国葬

▽大雨の被害状況

▽沖縄振興予算

会見の概要は以下の通りです。

○松野官房長官
閣議の概要について申し上げます。

一般案件等3件、条約の公布、政令、人事が決定されました。

大臣発言として農林水産大臣から2023年ドーハ国際園芸博覧会に対する公式参加について。

総務大臣から家計調査結果について。

厚生労働大臣から児童虐待防止対策に関する関係閣僚会議の設置についての一部改正についてそれぞれご発言があり、私からウクライナ被災民救援国際平和協力業務の実施の結果を国会に報告することについて申し上げました。

私からは以上でございます。

――中国の軍事演習について。

中国人民解放軍が台湾周辺で重要軍事演習行動を開始し、弾道ミサイルを発射した。

うち5発が日本のEEZ内に落下した。

EEZ内に中国軍の弾道ミサイルが落下したのは初めてで、台湾を巡り緊張が一気に高まったが、日本政府の受けとめを。

○松野官房長官
4日、中国が弾道ミサイルを発射し、そのうち5発が我が国の排他的経済水域に落下しました。

今回の中国による我が国EEZを含む、我が国近海への弾道ミサイル発射は我が国の安全保障および国民の安全に関わる重大な問題であり、昨日外交ルートを通じて中国の行動を強く非難し、抗議をするとともに、軍事訓練の即刻中止を求めたところであります。

――関連で伺う。

先ほど即刻中止という風に発言があったが、中国側は演習を7日まで続けるとしている。

中国側が本日以降もミサイル等をEEZ内に打ち込んだ場合の対応は。

○松野官房長官
仮定の質問について予断を持ってお答えすることは差し控えたいと思います。

その上で申し上げれば、今般の中国の行動は、我が国の安全保障および国民の安全に関わる重大な問題かつ地域および国際社会の平和と安定に深刻な影響を与えるものであり、引き続き日本政府として軍事訓練の即刻中止を止めていくものであります。

いずれにせよ、台湾海峡の平和と安定を維持していくため、引き続き日米で緊密に連携をしていく考えであります。

――関連で伺う。

予定されていた日中外相会談も、中国側の意向で見送られた。

アメリカのペロシ下院議長の台湾訪問に伴う米中間の緊張が日中間にも波及した形となっているが、日本政府としての見解と、来月、国交正常化50周年の節目を迎える中で今後日中関係の影響はないのか、今後の対応もあわせて伺う。

○松野官房長官
林外務大臣のASEAN関連外相会議出席に際し、日中外相会談を実施する方向で最終調整を行うことでありましたが、昨日、中国側からG7外相声明等を理由に行わないこととしたい連絡がありました。

このような中国側の対応は遺憾であります。

情勢が緊迫している、このような時こそ、しっかりと意思疎通をすることが重要であり、我が国は中国側との対話については常にオープンであります。

日中関係については主張すべきは主張し、責任ある行動を求めつつ、共通の諸課題については協力するという建設的かつ安定的な日中関係を双方の努力で構築をしていくことが重要と考えています。

――中国の弾道ミサイルが日本のEEZに発射されたのは初めてだが、中国は日本や台湾を射程に収める弾道ミサイルをどの程度保有しているのか?合わせて中国軍が持つミサイルの種類や想定される飛翔距離、保有数、技術レベルなど、中国のミサイル能力全般についての評価認識を伺う。

○松野官房長官
中国はミサイル能力の強化に取り組んでおり、各種の短距離弾道ミサイルを台湾正面に多数配備をし、我が国の南西諸島の一部もその射程に入っているとみられます。

また中国は、我が国を含むインド太平洋地域を射程に収める中距離弾道ミサイル等により、周辺地域への他国の軍事力の接近・展開を阻止し、この地域での軍事活動を阻害する能力の強化に取り組んでいると承知しております。

これらのミサイル戦力の急速な増強を含め、一連の中国の軍事動向は、我が国を含む地域と国際社会の安全保障上の強い懸念となっており、引き続き重大な関心を持って注視をしてまいる考えであります。

――昨日、外務省の森次官が中国の駐日大使に抗議して即中止を求めたとのことだが、抗議は電話によるものだった。

なぜ外務省に呼び出して、対面でこうした抗議を行わなかったのか。

○松野官房長官
中国側への抗議については、情勢の緊迫度に鑑み、一刻も早く我が国の考えを中国側に伝達をするため電話で行ったものであります。

我が国の断固たる立場は十分に伝わったと考えています。

――中国軍が設定した演習海域について、中国外務省報道官は演習空域に日本のEEZは存在しないと主張したが、これに対する見解があれば。

○松野官房長官
我が国は国連海洋法条約の関連規定に基づき、領海基線から200海里までの排他的経済水域の権限を有しています。

国連海洋法条約の関連規定および国際判例に照らせば、向かい合う国との間で、排他的経済水域の権限が重複する地域において、境界を確定するに当たっては、中間線をもとに境界を確定することが解決になるとされています。

こうした前提に立ち、我が国は東シナ海を含め境界が未確定の海域では、少なくとも中間線から日本側の水域において、我が国が主権的権利および管轄権を行使できるとの立場にたっております。

今般、中国側が一方的に設定した訓練海域には、中間線の日本側水域、すなわち、日本の排他的経済水域を含んでおり、中国側の主張は、まったく当たらないと考えております。

――岸田総理とアメリカのペロシ下院議長との会談について。

総理とペロシ議長との会談が今朝行われた。

どのようなやりとりがあったのか。

ペロシ議長の台湾訪問に伴う米中間の緊張が日中間にも波及する中での会談となったが、台湾情勢や中国との関係を巡ってはどのような議論があったのか。

○松野官房長官
本日午前8時から約53分間岸田文雄内閣総理大臣は、訪日中のペロシ米国下院議長と朝食会を行いました。

冒頭岸田総理から、ペロシ下院議長一行の訪日を歓迎するとともに、ペロシ議長をはじめ米国議員から寄せられた安倍元総理へのご逝去に関するメッセージに感謝する旨を述べたところであります。

また日米同盟の強化や自由で開かれたインド太平洋についてやりとりを行い、岸田総理から、これらの実現に向けたペロシ下院議長の引き続きのリーダーシップと米国議会の支援を期待している旨述べました。

さらに中国、北朝鮮やロシアによるウクライナ侵略などの地域情勢、核兵器のない世界への取り組みを含む国際情勢について意見交換を行いました。

その中で岸田総理から、今回、中国の弾道ミサイルがEEZを含む我が国近海に落下したことは我が国の安全保障および国民の安全に関する重大な問題であり、中国に対し強く非難し、抗議した。

今般の中国側の行動は地域および国際社会の平和と安定に深刻な影響を与えるものであり、軍事訓練の即刻中止を求めた旨述べたところであります。

岸田総理から台湾海峡の平和と安定を維持するため、引き続き日米で緊密に連携していくことの重要性を強調しました。

――米中対立が高まっている中で、日本が両国の橋渡し役を務めるべきだとの声もある。

日本はどのような役割を果たしていくのか政府の考えは。

○松野官房長官
我が国としては米中両国の関係の安定は、国際社会にとっても極めて重要であると考えており、引き続き同盟国たる米国との強固な信頼関係のもと、中国に対しても大国としての責任を果たしていくよう働き掛けていきたいと考えております。

――大雨について。

3日につづき4日も東北から北陸にかけて大雨となった。

政府が把握している被害状況は。

○松野官房長官
昨日にかけて前線の影響により、東北地方の日本海側や北陸地方を中心に断続的に猛烈な雨が降り、記録的な大雨となりました。

本日も東日本を中心に、局地的に雷を伴った非常に激しい雨が降る見込みであります。

この雨による人的被害については、自治体において鋭意確認作業が進められているものと承知をしていますが、本日7時15分時点で、安否が不明の方2名、重傷者1名、軽傷者1名との報告を受けています。

また本日8時時点で、山形県小国町、石川県白山市などで集落の孤立が発生しているものの、住民の皆さんの安全は確保されているとの報告を受けています。

さらに最上川をはじめ複数の川が氾濫したほか、各地で土砂崩れが発生しており、東北や北陸地方を中心に、家屋の浸水などの被害が多数発生をしている状況であります。

また各地で道路の通行止め、鉄道の運転見合わせ、停電、断水など、交通やライフラインにも依然として影響が生じています。

昨日までの大雨により地盤が緩んでいるところがあります。

本日も東日本を中心に土砂災害に厳重に警戒をし、河川の増水やはん濫、低い土地の浸水に警戒をしてください。

また、落雷や竜巻などの激しい突風にも注意をしてください。

さらに本日は西日本では気温が上昇する見込みであります。

復旧作業に当たる皆さんもいらっしゃると思いますが、熱中症にも注意をしていただきたいと思います。

――先ほどの安否不明の方2名は昨日の会見と同じ2名の方でよろしいか。

重傷者・軽傷者も含めて都道府県の内訳等もし詳細わかれば。

○松野官房長官
安否不明が2名の方は山形県及び岩手県、これは昨日発表したものと同じ状況であります。

重傷者1名は新潟県、軽傷者1名も新潟県であります。

――安倍元総理の国葬について伺う。

政府は予備費で費用を賄う方針だが、 予備費が国会で承諾されるのは翌年度となり、それまで国会の関与がない。

予備費の使用について国会で何らかの報告をするなどの考えがあるか。

また、物価高やコロナ禍で国民が苦しむ中、予備費を国葬に使うことは適切でないと反発する声もあるが、政府としての見解を伺う。

○松野官房長官
国葬儀のために必要な経費は国費で支弁することとしており、これまでの葬儀の例と同様に一般予備費の使用を想定をしています。

詳細は今後葬儀の内容が具体化される中で決定をしていきますが、真に必要な経費となるよう努めてまいる考えであります。

予備費の使用を決定した場合、国会でどのように取り扱うかは国会でお決めをいただくことを考えていますが、政府としては憲法や財政法の規定に沿って適切に対応していく考えであります。

物価高との関係についてお尋ねがありました。

国葬儀のために必要な経費についての詳細は、今後葬儀の内容が具体化される中で検討をしていきますが、先ほど申し上げました通り、真に必要な経費となるよう努めてまいります。

新型コロナへの対応や物価の高騰等については政府としてこれまで、昨年11月の79兆円の経済対策、過去最大の当初予算、今年4月の13兆円の総合緊急対策などを切れ目なく対策を講じてきたところであります。

引き続き、先般の補正予算で確保した5.5兆円の予備費の機動的な活用など、物価、景気の状況に応じた迅速かつ総合的な対策に切れ目なく取り組んでまいりたいと考えております。

――沖縄振興予算について伺う。

昨日開かれた自民党の沖縄振興調査会で、沖縄県は来年度の沖縄振興予算について総額3000億円台の概算要求を要望した。

今年度当初予算では10年ぶりに3000億円を下回ったが、政府として来年度予算編成に当たってはどのような考え方で臨むのか。

○松野官房長官
昨日自民党の沖縄振興調査会が開催されたことは承知をしています。

令和5年度の沖縄振興予算については、現在、政府において西銘大臣のもとで検討を行っているところであります。

5月に取りまとめた強い沖縄経済の実現に向けた西銘大臣ビジョン等も踏まえつつ、引き続き必要な検討を進めてまいりたいと考えております。

――中国の軍事演習に戻る。

政府はミサイル攻撃への対応として、従来の迎撃能力に加えて、反撃能力を含めた抑止力の強化を検討している。

今回の中国による日本のEEZへのミサイル発射で、その必要性はさらに高まったと考えるか。

○松野官房長官
今後の対応等詳細につきましては、防衛省の方にお尋ねをいただきたいと思います。

以上

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