【全文】北朝鮮「核実験含めさらなる挑発行為に出る可能性」松野官房長官(9/26午前)
松野官房長官は、26日午前の会見で、北朝鮮が弾道ミサイルを発射したことを受け、「今後北朝鮮が核実験の実施を含め、さらなる挑発行為に出る可能性はある」と述べました。
<会見トピックス>
▽弔問外交
▽安倍元首相国葬
▽北朝鮮ミサイル
▽全国旅行支援
▽新型コロナ水際緩和
▽ウクライナ情勢
▽内密出産
▽アメリカのロシアへの"警告"
会見の概要は以下の通りです。
○松野官房長官
繰り上げ閣議の概要について申し上げます。
一般案件等6件、政令、人事が決定されました。
大臣発言として、外務大臣から、ロシア連邦の特定団体への輸出等に関わる禁止措置等について。
文部科学大臣から独立行政法人の長の人事について。
岸田総理大臣から海外出張不在中の臨時代理等について。
それぞれご発言がありました。
次に、新型コロナウイルスに関する水際措置の見直しについて申し上げます。
現在、国内においては、ウィズコロナに向けた新たな段階へ移行することとし、高齢者・重症化リスクのある方への保健医療体制の重点化を進めているところであります。
こうした日本国内対応やG7各国が水際措置を撤廃してきていることを踏まえ、水際対策については、保健医療体制に関わる負荷に配慮する最低限の措置を残しつつ、G7並みの円滑な入国が可能となる、さらなる緩和を10月11日から行うこととします。
まず1点目は、全ての外国人の新規入国について、受け入れ責任者による管理を求めないこととします。
あわせて、外国人観光客の入国についても、パッケージツアーに限定する措置を解除することとします。
次に2点目として、査証の免除措置の適用を再開することとします。
3点目として、全ての帰国者、入国者について、新型コロナウイルスへの感染が疑われる症状がある者を除き入国時検査を行わないこととします。
ただし、国際保健機関の緊急使用リストに掲載されているワクチンの3回目接種の証明書または海外出発前72時間以内に受けた検査の陰性証明書のいずれかを提出を求めることとします。
4点目として、現在1日あたり5万人をめどとしている入国者総数の上限について、これを設けないこととします。
最後に5点目として、現在、国際線を受け入れていない空港開港について、今後の就航予定に応じ、準備が整い次第、順次、国際線の受け入れを再開することとします。
これらの措置の詳細については、後ほど事務方から説明をいたします。
なお今後新たにWHOで懸念すべき変異株として指定されるような事態が発生する場合には、当然のことながら、これに機動的に対処してまいります。
私からは以上です。
――弔問外交について伺います。
安倍元総理の国葬を前に、岸田総理はきょうから参列する各国の首脳らとの会談に臨むことになっていると承知しています。
その最新の調整状況と、この機会にどんな弔問外交を展開する考えか、改めて伺います。
○松野官房長官
安倍元総理の国葬儀に際し、海外から多くの要人が訪日をし、岸田総理は本日から30を超える会談を実施することが見込まれています。
安倍元総理が培われた外交的遺産を我が国としてしっかり受け継ぎ、発展させるという意思を内外に示してまいりたいと考えております。
――安倍元首相の事件から、要人警護のあり方の見直しが迫られる中、国葬に参加する各国要人の安全をどう確保するのかは、かなり注目集まってると思うが、警備態勢警報体制についてどういう風に行うのか。
○松野官房長官
海外要人の警護態勢については、警察において、警護の検証と見直しを踏まえつつ、情報収集・分析の強化、警戒警備の徹底などの各種対策を推進するものと承知をしています。
いずれにせよ、あらゆる情勢を踏まえて必要な措置を講じ、弔意を寄せられる国内外の要人をはじめ、皆さまに安心してご参列いただけるよう、要人の警備を含めて、国葬儀の警備に万全を期してまいりたいと考えております。
――関連で。
今回の国葬における警察官において警備人数はどのくらいになるのか。
その人数は過去最大になるのかも伺う。
また、あすの国葬で改めて国葬開催の意義と合同葬ではなくて、国葬実施の理由ついて教えてください。
○松野官房長官
安倍元総理の国葬儀については、業績やそれに対する評価、そして国内外から幅広い弔慰が表されているなどといった状況を踏まえ、我が国としても個人に対する敬意と弔意を表す儀式を催し、これを国の公式行事として開催し、その場に各国代表を招きするという形式で葬儀を執り行うこととしたところであります。
今回の国葬儀の警備に従事する警察官の人数については、警察において、本日公表する予定であると聞いていますが、詳細は警察庁にお尋ねをいただきたいと思います。
いずれにせよ、明日行われる安倍元総理の国葬儀が多くの方々の弔意に答える厳粛かつ心のこもった式典となるよう政府として準備に遺漏なきを期してまいりたいと考えております。
――北朝鮮の核ミサイル問題について伺います。
北朝鮮による弾道ミサイル発射は昨日の発射で今年28発目となりました。
年間最多を更新しております。
韓国政府は北朝鮮が近くSLBMを発射する兆候が見られると発表しており、さらなるミサイル発射の懸念もあります。
加えて7回目の核実験の可能性も指摘されております。
日本政府としての現状認識と対応策について伺います。
○松野官房長官
北朝鮮が昨日発射した弾道ミサイルについては防衛省からすでに発表したとおりであります。
弾種などの詳細については防衛省において引き続き分析中であります。
北朝鮮は特に今年に入ってからかつてない高い頻度で、かつ新たな対応でのミサイル発射を繰り返しています。
一連の北朝鮮の行動は我が国地域および国際社会の平和と安全を脅かすものであり、断じて容認できません。
関連する安保理決議に反するものであり、我が国として北朝鮮に対して厳重に抗議し、強く非難をしました。
北朝鮮の軍事動向については、政府として、平素から重大な関心を持って情報収集分析に努めています。
今後、北朝鮮が核実験の実施を含め、さらなる挑発行為に出る可能性はあると考えていますが、その時期を含め、これ以上の詳細については事柄の性質上お答えすることは困難であります。
政府としては、引き続き、米国等とも緊密に連携しながら、情報収集、警戒監視に全力を挙げ、我が国の平和と安全の確保に万全を期していく考えであります。
またこうした状況を踏まえ、いわゆる反撃能力も含めあらゆる選択肢を排除せず検討し、今後とも防衛力の抜本的な強化に取り組んでいく考えです。
――岸田総理は来月11日から観光やイベントの支援策として「全国旅行割」と「イベント割」を開始すると発表。
改めて制度開始の狙い、期間や具体的な割引率などを伺う。
○松野官房長官
コロナ禍で苦しんできた宿泊業、旅行業エンターテイメント業などを支援するため、10月11日から全国旅行支援とイベント割を開始することとしました。
全国旅行支援については、全国を対象とした観光需要喚起策として、当面、本年12月下旬まで実施し、割引率40%、割引上限額は交通付き旅行商品であれば8000円などの内容であると承知をしています。
イベント割については、来年1月31日までの期間に実施される、感染防止対策を徹底したイベントやエンターテイメントを対象に、チケット価格から2割相当分、上限2000円を割り引く内容であると承知をしております。
詳細は国土交通省、経済産業省から本日公表されると聞いているので、それぞれお尋ねをいただきたいと思います。
――総理が先日水際措置の緩和も同日付でスタートということで発表されましたけれども、この同日スタートの理由は何でしょうか。
観光業への後押しになる一方、旅行支援と水際緩和の同時スタートによって人流が活性化し、アクセルを一気にふかすことになると考えられますが、デメリットや感染拡大など懸念についてはどう捉えているか。
○松野官房長官
まず水際措置の見直しにつきましては、システム改修や措置の周知のための期間が必要であり、今回も、前回の見直しと同程度の期間を置いたものであります。
全国旅行支援の開始については、制度設計や運用を担う都道府県等において、一定の準備期間を確保するとともに、10月の三連休明けの旅行需要を喚起する観点から、開始日を10月11日としたものであり、円滑な実施に向けて、国土交通省において必要な対応を行うものと承知をしております。
感染対策でございますが、これらの措置により、国内外の多くの観光客が観光地に来訪することが期待されるところでありますが、同時に基本的な感染防止対策とその順守について、広く呼び掛けることにより、感染防止対策の着実な実施に努めてまいりたいと考えております。
――ウクライナ情勢について伺います。
きょうの閣議でロシアへの追加制裁を了解したと承知しています。
今回の措置に至った経緯・狙いを伺います。
またロシアはウクライナの支配地域で住民投票だとする活動の結果を根拠に、併合に乗り出す構えですけれども、ロシア国内では、予備役の部分的な動員に踏み切って以降、各地で連日のように抗議活動が起きています。
「終わりの始まりだ」と指摘する専門家もでていますけれどもこうした情勢についての政府見解と今後の対応について、あわせて伺います。
○松野官房長官
ロシアによるウクライナ侵略は、国際社会が長きにわたる懸命な努力と多くの犠牲の上に築き上げてきた国際秩序の根幹を脅かすものであります。
平和秩序を守り抜くため、G7をはじめとする国際社会が結束して断固たる決意で対応していく必要があります。
現在、ウクライナ国内で実施されているロシア編入に向けた住民投票と称する行為は、ウクライナの主権と領土の一体性を侵害し、国際法に反する行為であり、認めてはならず、強く非難します。
そのような試みは無効であり、国際社会の法の支配に反するものであります。
我が国を力による一方的な現状変更の試みを決して看過できず、引き続き、G7をはじめとする国際社会と連携しつつ強力な対露制裁およびウクライナ支援の二つの柱にしっかりと取り組んでいく考えであります。
こうした考えのもと、今般、我が国として、ロシア連邦の特定団体への輸出等に関わる禁止措置、および、ロシア連邦への化学兵器等関連物品の輸出の禁止措置を行うこととし、本日、必要な閣議了解を行いました。
今後も我が国として、事態の改善に向けて、G7をはじめとする国際社会と連携して取り組んでいきます。
また、ご指摘のロシア国内情勢については、ロシア国内において予備役等を対象とした部分的動員への反対活動に対し、治安機関による厳しい取り締まりが行われていると承知をしており、情勢を引き続き注視をしていく考えであります。
――内密出産について、政府は、出産を受け入れた医療機関が母親の身元情報を保管することや、生まれた子供の戸籍の作成手順などを盛り込んだ、初のガイドラインを今月末にも公表する方針と一部報道。
事実関係と現在の検討状況は。
○松野官房長官
いわゆる内密出産に関するガイドラインについてを知る権利、診療録や戸籍の扱いなど、様々な論点について検討が必要であると考えています。
現在、関係団体等のご意見も伺いつつ、最終調整中であり、調整が終わり次第、速やかに発出するものと承知をしています。
――国家安全保障担当のサリバン米大統領補佐官が、昨日、ロシアが核兵器使用に踏み切った場合、ロシアに破滅的結果をもたらすと警告したことを明らかにした。
破滅的結果にならないよう、ロシア側に対して、非常に高いレベルを通じて水面下で直接伝えたということだが、日本は米国のロシアに対する攻撃の内容、スケールについて米国とは共有しているのか。
○松野官房長官
ご指摘の発言は承知をしております。
日米両国間では日頃から日米安保や日米安保防衛協力や軍縮不拡散政策に関する様々な事項について、緊密かつ幅広く意見交換を行っています。
こうしたやりとりの詳細については、まさに我が国の安全保障に関わるという事柄の性質もあり、また米側との関係もあり、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。
――破滅的結果をもたらすということは、かなり大規模な攻撃だと思うが、米国が核を使用するとなると日本への影響も出てくる。
日本政府は米側の核の使用を容認しているのか。
○松野官房長官
仮定の質問にはお答えを差し控えさせていただきたいと思います。
いずれにせよ、ロシアによるウクライナ侵略は、国際社会が長きにわたる懸命な努力と多くの犠牲の上に築き上げてきた国際秩序の根幹を脅かすものであります。
我が国は、引き続き、G7をはじめとする国際社会と連携しつつ、強力な対露制裁およびウクライナ支援の二つの柱にしっかりと取り組んでいく考えであります。
また、我が国としては、今般のロシアによるウクライナ侵略の中で核兵器が使用される可能性を深刻に懸念しています。
唯一の戦争被爆国としてロシアによる核兵器による威嚇も、まして使用も、あってはならないということを強く訴えてまいりたいと考えております。