【解説】自民総裁選 「脱派閥」ホント? 麻生派27日から研修会
唯一派閥として存続している麻生派の研修会が、27日に開かれたということですが、今回の自民党総裁選挙のキーワードの1つは「脱派閥」です。「脱派閥」で、選挙戦にどんな変化が出ているのでしょうか。政治部官邸キャップの平本典昭記者が解説します。
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今回の3つの疑問は、以下の通りです。
1.「脱派閥」で“予測困難”に
2.“派閥単位”動きも…チラホラ
3.「脱派閥」見極めポイントは?
鈴江奈々キャスター
「まず『脱派閥』で、何が“予測困難”になっているのでしょうか」
政治部官邸キャップ 平本典昭記者
「はい。まず最も予測困難ことは、この先何人、候補者が出るかです。現時点で少なくとも7人は出馬する見通しで、過去最多となるのは確実です」
「これだけ乱立するのは、派閥の締め付けがなくなり候補者が手をあげやすくなったためで、最終的に誰が出馬し、誰が断念に追い込まれるのか。これが予測困難だと言えます」
鈴江キャスター
「現状ではまだ3人しか正式には表明していないですし、今後、断念に追い込まれる人も出てくるかもしれない状況ではあるんですね」
平本キャップ
「その可能性はあると思います」
鈴江キャスター
「派閥の縛りがなくなってきた中で予測が難しくなっていることは、ほかにもあるんでしょうか」
平本キャップ
「誰がこの戦いを制するのか、勝つのか、これも予測が難しくなっています。具体的に言うと、現場でこんな変化が起きているんです。私が初めて総裁選を取材したのは約20年前ですが、派閥のトップが誰を支持するかを取材して判明すれば、例えば30人の派閥であれば全員の投票行動が一気に、ほぼ見えたわけです」
「ただ、今回は違います。後輩記者もすごく苦労しています。なぜなら、派閥の締め付けがなくなり、30人いたら全員が一致して動くことは、ほぼなくなり、1人1人の投票行動を確認しなければいけないからです」
「同様の理由で各陣営、各議員も『脱派閥』によって、いわゆる『票読み』が難しくなる異変が起きています」
「総裁選を何度も経験したベテラン議員は『派閥がなくなって党内で何が起きているのか、見えない動きが多すぎる』と、戦況分析がいまだかつてなく『予測困難』という声を多くききます」
鈴江キャスター
「“派閥単位”の動きも、チラホラ見えているのでしょうか」
平本キャップ
「まず、唯一の派閥、麻生派は健在です。27日に研修会を開いて、派閥として河野デジタル大臣を支援する方針を決めました。確かに、派閥の締め付けが弱まった分、麻生派も全員が河野大臣支援というわけではないですが、河野大臣にとっては40人前後の塊の支持を期待でき、大きなメリットと言えます」
平本キャップ
「ほかの動きもチラホラ出ています。まずは岸田派です。林官房長官は連日、岸田派の議員と会談を行い、派閥からの支援をベースに推薦人20人を確保する考えです」
「加えて茂木派です。茂木幹事長も茂木派の議員の支持がベースとなっています。そして小泉さんです。こちらは派閥ではありませんが、菅前首相に近いグループの支援を塊で得ているようです」
「脱派閥が進む中ですが、ある自民党議員は『派閥の支援は塊で議員票を獲得できるのが魅力的』と指摘しています」
鈴江キャスター
「いまあがった名前の中に、石破さんの名前はなかったですね」
平本キャップ
「はい。石破さんはどこか特定の派閥、グループの支持はバックにありません。国民的人気の高さから、党員票は多く獲得できるのではと言われながらも、議員票はどこまで伸びるのか? 伸び悩むのでは…という懸念は、こうした事情もあると言われます」
鈴江キャスター
「3つ目の疑問、『脱派閥』見極めのポイントはどこになるのでしょうか? 総裁選挙は9月27日と1か月続きますが『派閥』の影響がさらに復活してくることもあり得ると思うのですが、何をポイントに見極めたらいいのでしょうか?」
平本キャップ
「はい。見極めのポイントですが、自民党内でも派閥自体は人材育成、政策立案の機能面ではよい面もあるという指摘もあります。学校でも会社でもグループはありますよね。ただ、裏金事件を受けた議論の中で一番、派閥の悪弊として指摘されているのは『カネと人事の再分配機能』と言われていました」
「これまで総裁選で派閥の力が最も指摘されてきたのは、派閥でまとまった票を総裁選で動かして総裁候補に恩を売り、その見返りにポストをもらう。それが派閥の力の源泉であり、派閥がまとまって動くメリットでした」
「まさにこうした悪弊がこの先、再び表面化するかしないかが、最大のチェックポイントになると思います。具体的には、候補者が乱立する中で今後、どこかのグループの支援を受ける見返りにポストを約束するとか、新しい総裁が誕生した時に『派閥に配慮』した人事を行わないか」
「『脱派閥』が本当に進むのか、戦いが激化する中で、今後さらに問われることになると思います」