「女性の技術職」建設現場に集結 “人材獲得”へ取り組み
人手不足が深刻化する建設業界で、いま、国や企業が力を入れているのが、女性人材の獲得です。女性が現場を引っ張る建設会社の取り組みを取材しました。
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去年7月、京急線の高架下で、ある新築工事がスタートしました。現場にいたのは、作業着にヘルメット姿の女性ばかり。そのワケは?
彼女たちが勤める「京急建設」では、女性向けの作業服の見直しなど働きやすい環境をつくるため、女性の技術職社員が集まる「京急こまち会」を結成。彼女たちが今回、挑戦したのが……
高橋匠海さん
「“こまち”がメインでひとつの建物を1からつくっていく」
入社8年目の高橋匠海さん(26)が現場監督を、設計を入社6年目の栗島千佳さん(30)がつとめ、「京急こまち会」のメンバーでひとつの建物を手がけることです。
「(ネイル)貝殻っぽく」
「かわいい!現場でやったら大変なことになっちゃいますよ」
「セメント色があるよ」
女性が中心の今回の現場。どんな建物ができあがるのでしょうか。
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人手不足が深刻な建設業界。現場で働く技術職の女性の数は2014年と比べ2倍に増えてはいるものの、いまだ少ないのが現状です。
現場監督をつとめる高橋さんは、「京急建設」では女性で初の技術職社員です。
高橋匠海さん
「働きやすい環境をつくっていけたらと思うので、その先駆けになれればいい」
現場監督として作業の工程管理や工事の発注元との打ち合わせをこなしながら、特に力を入れたのが、入社間もない後輩にも重要な仕事をまかせること。
高橋匠海さん
「303ミリのピッチで入っているように写真を撮りたい」
建物の検査にも使うという記録を残す作業。
──仕事をまかされて?
入社2年目の大塚海来さん
「うれしいです。それなりにプレッシャーが」
高橋匠海さん
「大丈夫です、これからどんどん伸びていくので」
大塚海来さん
「がんばります」
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女性の現場監督と設計で完成したこの建物は、主に夜間工事の作業員が休憩をとる事務所として利用します。こだわりは、右側と左側で男女の動線をわけ、プライベートな空間を確保したこと。女性の部屋は太陽光が入ったときに明るく広く見えるようにオレンジ系の壁紙を、洗面台はピンク色を選びました。
設計・栗島千佳さん
「ピンクを見てちょっと明るい気持ちになって使っていただけたら」
完成した建物をチェックした発注元も、「良好なコミュニケーションができ、細部にわたり丁寧な施工だった」と評価しました。
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京急建設によると、男性の技術職だけでは現場の運営が難しい時代が来ているといい、その中で今回の取り組みは大きな一歩になったといいます。
──女性メインで建物をつくって
栗島千佳さん
「女性だからこそこの辺までこだわりたいというところに関しては、うまく聞き入れてもらったかなというところはある」
高橋匠海さん
「現場に出た子にしかできない仕事を今後作って、(結婚・出産)ギリギリまで働きたいという子の意見を優先していけば、(建設業界に)女性が増えると思う」