渋谷区で“伴走型”の育児支援......同じ保健師らが担当する「ネウボラ」とは?新生児の母親「ざっくばらんに聞ける」
東京・渋谷区は、母親ごとに同じ保健師らが伴走する育児支援をしています。この継続的な支援は、フィンランド発の「ネウボラ」と呼ばれるものです。新生児訪問で、1人目の子どもの時と同じ助産師が、生後3週間の赤ちゃんの様子を見る現場を取材しました。
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■妊娠期から就学まで一貫した支援
東京・渋谷区に住む、生後3週間の子をもつ母親を、助産師が「お久しぶりです」と訪ねました。母親は「こんにちは、お願いします」と迎えました。
区から派遣された助産師は「電話の時には『体重がちょっと』っていう話で...」と話を向けると、母親は「授乳して10分たたないくらいで寝落ちしてたんです、この子。ちゃんと飲めてないんじゃないかって話で...」と相談しました。
渋谷区では、妊娠から子どもが18歳になるまで育児をサポートしています。
例えば、妊娠期には保健師が面談します。産後は助産師が家庭を訪問し、新生児の様子を伺います。その後も、育児に役立つ知識を学べる場を提供し、就学時には適した学習環境などの相談に応じます。
■新生児訪問で授乳のコツをレクチャー
助産師がこの日行っていたのは新生児訪問です。母親の相談を受け、助産師が授乳の仕方をレクチャーしていました。
助産師
「今ちょっと角度を変えたんですよ。そうすると、いつもよりかは滑らかな感じになったと思うので、それをやってくれた方がいいかな。ちょっとかじってるので」
母親
「そう、右はかじる、左はかじらないみたいで」
助産師は「うんうん。上手にできてるね」と声をかけました。他にも抱っこや、おむつのはかせ方なども伝えました。
母親が「(子育ては)99%楽しいんですけど、100%にはならない感じです」と言うと、助産師は「100(%)にはならないよね」と応じました。
■同じ助産師で...「気軽に相談できる」
この母親には、1人目の子どもの時も同じ助産師がサポートしました。渋谷区では、母親ごとにずっと同じ保健師などが伴走しながら支援します。
母親
「迷っていることとかも、同じ方だと気軽にというか、ざっくばらんにお聞きすることもできるので、授乳のちょっとしたポジションとかを直接見ていただけるのはすごく心強い。訪問していただけてありがたいです」
こうした継続的な子育て支援はフィンランドで始まり、「ネウボラ」と呼ばれています。さらに渋谷区では、出産に合わせて肌着や爪切り、おもちゃなどの詰め合わせを送るなど、経済的支援も組み合わせています。
渋谷区の保健師は「会ったことがある人には、何かあった時に相談しようと思い出してもらえるのではないかなと思うので、ここが相談できる場所であることを覚えていただけることが一番かなと思っています」と言います。
(11月23日『news zero』より)