元兵庫県議 辞職後も“SNS誹謗中傷” 死亡前に相談も…N党・立花氏は謝罪
兵庫県の百条委員会の委員だった元県議が死亡しました。NHK党の立花孝志氏はSNSで「逮捕される予定だった」などと発信していましたが、20日に日本テレビの取材に応じ、事実ではなかったと謝罪しました。
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元兵庫県議 竹内英明さん(50)
「私、委員の竹内でございます」
会見の場で発言する元兵庫県議の竹内英明さん。兵庫県の斎藤知事の疑惑を調べる百条委員会のメンバーを務めていましたが、18日に自宅でぐったりしているのを家族が発見。病院で死亡が確認されました。自殺とみられています。
20日、斎藤知事は…。
兵庫県 斎藤元彦知事
「50歳という若さで亡くなられたことについては、痛恨の極みだと思っています。時には厳しいやりとりもさせていただきましたけど、財政面含めて深い知識と経験。大変尊敬させていただいた方だけに、この度のご逝去はショック」
亡くなる前、竹内さんが周囲に相談していたというのが、“SNS上での誹謗(ひぼう)中傷”でした。
去年行われた兵庫県議会の百条委員会。
元兵庫県議 竹内英明さん(50)(去年8月)
「付せんを投げられたということ。本人たちは必要以上だとおっしゃっていること。これをパワハラだというんじゃないですか」
兵庫県 斎藤元彦知事(去年8月)
「自分の行為で不快に思った人がいるならおわびしたい」
斎藤知事の疑惑を追及する立場だった竹内さん。しかし知事選以降、SNSなどで誹謗中傷を受け、去年11月に議員を辞職していました。このとき、仲間の議員は…。
竹内さんと同じ会派 上野英一県議(去年11月)
「彼ほど優秀な議員はなかなかいないと思うが、言葉の暴力・ネットの暴力、これが拡散して、本人だけじゃなくて、家族が狂乱状態にまでなってしまう。本人はまず、家族を守るのを優先すると」
議員辞職後も連絡をとっていたという上野議員は20日、次のように話しました。
竹内さんと同じ会派 上野英一県議
「直近では、12月25日の百条委員会の前日か前々日に、(竹内さんに)確認したいことがあったのでメールを打った。間髪入れずに電話がきて、以前の竹内くんで元気そうで(竹内さんに)『元気そうやんか』と言ったら、『なかなか前向きな気持ちになれません』って言ってた」
実は議員辞職後も、SNSでの誹謗中傷は続いていて、先週、他の議員が竹内さんに連絡すると…。
竹内さんと同じ会派 上野英一県議
「かなり調子悪そう(ほかの議員が言っていた)。おびえていると。あれだけしっかりした男が、なんでそんな状況になるのかなって」
止まらないSNSでの誹謗中傷。さらに今、問題となっているのが、竹内さんをめぐるNHK党・立花孝志党首のSNSなどでの発言です。
立花孝志氏のXより(現在は削除済み)
「竹内元県議は、昨年9月ごろから兵庫県警からの継続的な任意の取り調べを受けていました」
竹内さんが“きょうにも逮捕される予定だった”などと発信したのです。
20日、この発言を兵庫県警が全面否定。県警トップが個別の捜査について発言する異例の形で、コメントを発表しました。
兵庫県警 村井紀之本部長のコメント
「竹内元議員につきまして、被疑者として任意の調べをしたことはありませんし、ましてや逮捕するといったお話はまったくございません。まったくの事実無根でありまして、明白な虚偽がSNSで拡散されていることについては極めて遺憾である」
これを受けて日本テレビの取材に応じた立花氏は…。
NHK党 立花孝志党首(20日午後5時半ごろ)
「きょう、兵庫県の県警本部長が県議会の方で逮捕の事実、逮捕する予定があったとか、任意の事情聴取があったことについては全面否定されましたので、その状況を受けて、私自身、事実と異なることをインターネットで発信したことについて、謝罪させていただきます。大変申し訳ございませんでした」
竹内さんをめぐる自身の発言を“事実ではなかった”と認め、謝罪しました。なぜ、誤った情報を発信してしまったのか?
──立花さんとして、どのような取材をされた?
NHK党 立花孝志党首
「2人の方、社会的なニュースに詳しい方からの情報が入って、別の方にも確認した。県議会議員とかにも詳しい方。逮捕の事実はないけど、取り調べを受けているという話を聞いて、それなりの自信がありました。対象相手を考えて真実相当性があれば、十分発信してもいいと、今回も発信させていただいた」
ただ“詳しい方からの情報”が、結果“事実ではなかった”として釈明しました。
斎藤知事は、SNSの使い方について「条例の制定を準備していく」とした上で、次のように言及。
兵庫県 斎藤元彦知事
「SNSなどによる誹謗中傷、人の心や気持ちを傷つけることは、してはならない行動。いい使い方、冷静な使い方をすることが大事」
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SNSでの誹謗中傷について、街の人は…。
大町怜央フィールドキャスター
「誹謗中傷をなくす・減らすには、どういったことが大事?」
大学生(20)
「嫌な思いをすることを、もうちょっと自覚した方がいい。自分がやられたら嫌だなというのを考えた方がいい」
大学生(22)
「SNSやめようと、こんなこと見てても意味ないなと。自分自身の選択で見るのを避けたりできるので、そういう面で心がけている」
実際に、友人がSNSで誹謗中傷されたという男性は。
会社員(30)
「友人でティックトッカーがいて、プチ炎上みたいなのがあって、そのときに誹謗中傷がきた。本当にそんなことやる人いるんだって」
──どんなコメントが?
会社員(30)
「『早くアカウント消せ』『死ねよ』とか、現実的に直接言わないような言葉。悲しかった、かわいそう」
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専門家は、「誹謗中傷を受けている人」そして「目撃した人」ができる対策として、2つのポイントを指摘。
ネットメディアに詳しい 国際大学 山口真一准教授
「自分が受けた場合、ミュートなどの用意された機能があります。そういったもので、心を守るということをまずしてほしい」
「第三者がされているのを見たとき、例えばいろんなSNSでは通報窓口を設けていて、そこの通報というのは、第三者も可能になっている。運営会社に通報するのは1つの手かなと思います」
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藤井貴彦キャスター
「悩みを抱えている方に対して、今この時間でも対応している窓口もあります。『あなたのいばしょ』のチャット相談窓口は24時間365日、無料・匿名で利用することができます。『あなたのいばしょ』と検索してください。また『よりそいホットライン』は、電話で相談できる窓口です」
24時間相談窓口
『あなたのいばしょ』(365日対応)
『よりそいホットライン』
0120ー279ー338、岩手・宮城・福島からは0120-279-226
藤井キャスター
「番組をご覧のみなさんにも、何気ない投稿に傷ついている人がいると思います。ここでお伝えしたいのは、質の低い投稿には努力や工夫、思いやりが足りないということです。投稿がすべてではありませんから、ぜひ自信を取り戻してください。でも、だめなときはぜひ、誰かを頼ってください」
「言葉で、人は死にます。その言葉や認識が間違いでしたと、後で謝っても、命は戻りません。送信の取り消しをしたとしても、既読の相手には必ず悲しみが残ります」
「そんな投稿をしないあなたに、ぜひそのままでいてほしいから、あらためてお伝えしました。自分の思いを伝えたいときこそ、発言には時間と手間がかかります。ジャンキーな言葉で、あなた自身を包まないでください。お願いします」
(1月20日放送『news zero』より)