生殖機能なくす要件は「違憲」 性別変更めぐり最高裁が初判断
最高裁大法廷は25日、戸籍上の性別を変更するには生殖機能をなくす手術が必要とされている法律の要件は、憲法に違反している=「違憲」との判断を初めて示しました。中継です。
性同一性障害の人の性別変更をめぐり、25日、大きな憲法判断が示されました。最高裁大法廷は、性別変更に実質、手術を求めているこちらの2つの要件のうち、「生殖機能をなくすこと」を求める要件について、「違憲」との判断を示しました。
一方で、「変更する性別の性器に近い見た目をもつこと」を求める要件は、審理が尽くされていないとして、高裁で改めて審理するよう命じました。
最高裁が、性別変更めぐる要件について憲法に違反しているとの判断を示すのは初めてです。
この申し立ては、戸籍上は男性で女性として生活している性同一性障害の申立人が、法律で性別変更の要件に、実質的に生殖能力をなくす手術を求めていることは憲法に違反するとして、手術を受けずに性別変更を認めるよう求めているものです。
最高裁大法廷は25日、「生殖機能がないこと」を求める要件は、「『自己の意思に反して身体への侵襲を受けない自由』 を制約するもの」として、性同一性障害の人に対して、「意思に反して生殖機能をなくす手術を受けるか、性別変更をすることを断念するかという過酷な二者択一を迫るものになっている」と指摘し、憲法に違反し無効だとの判断を示しました。
一方で、「変更する性別の性器に近い見た目をもつこと」を求める要件は、審理が尽くされていないとして、判断を示さず、高裁で改めて審理するよう命じました。申立人の性別変更を認めるかは、今後、高裁で判断されます。
また、最高裁が4年前に「現時点では合憲」との判断を示したところからの社会の状況の変化については、「性同一性障害を有する者に関する理解が広まりつつあり、環境整備に向けた取り組みなども様々な領域で行われており、社会全体にとって予期せぬ急激な変化にあたるとまでは言い難い」と指摘しました。
今回の最高裁の判断は性同一性障害の当事者にとって、大きく前進した内容と言えそうです。