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5~11歳の“接種”承認へ 医師の見解は

2022年1月20日 19:12
5~11歳の“接種”承認へ 医師の見解は

今の水準で新型コロナウイルスの感染が拡大すると、来週には東京で1日あたり1万8000人の感染者が確認されるとの推計が発表されました。さらに、子どもの感染も急増していて、子どもへのワクチン接種も承認される見通しです。

■「まん延防止」内容は?

19日、全国で新たに確認された感染者は初めて4万人を超え、28都道府県で過去最多を更新しました。亡くなった方は、15人確認されました。

20日も北海道で1437人、愛知で3074人と過去最多となりました。大阪は6000人前後となる見通しです。

19日の感染者が7377人だった東京では、どこまで増えるか心配な状況が続いています。東京都の感染状況を分析する会議では、専門家は次のように指摘しています。

国立国際医療研究センター・大曲貴夫医師
「第5波の立ち上がりをはるかに上回るスピードで増加をしております。この水準が継続しますと、1週間後の1月27日の推計値は4.01倍の1日あたり約1万8266人と危機的な感染状況となります」

こうした事態を受けて、政府は東京など1都12県に21日から新たに「まん延防止等重点措置」を適用します。措置の内容は自治体ごとに異なりますが、東京都の場合は次の通りです。

都民へのお願いとして、「不要不急の外出は自粛。混雑している場所や時間を避けて行動してください」としています。不要不急の外出自粛は東京都独自の対策で、政府の対処方針には載っていません。なぜ加えたかというと「オミクロン株の感染力の強さを踏まえて、人との接触の頻度を減らすため」と担当者は説明しています。

さらに「不要不急の都道府県間の移動も自粛」を求めます。ただし、「対象者全員検査」制度を活用し、検査結果が陰性であった場合は除くということです。

この制度は、まん延防止等重点措置などが出た時に、対象者が陰性であることを確認できれば、制限を緩和できる制度のことです。都の担当者によると、PCR検査だと検査から3日以内、抗原検査だと1日以内、この期間内で陰性なら、都の外へ移動してもいいということになります。

■飲食店への要請

次に飲食店への要請です。認証を受けた飲食店は酒類の提供を午後8時まで・午後9時までの時短営業とするか、酒類を終日提供せず、午後8時までの時短営業とするか選択できるようにしています。一方、認証のない店は午後8時までの時短営業とし、終日酒類を提供しないよう要請します。

人数制限は、1テーブル原則4人以下を維持しますが、認証店では対象者全員検査制度を利用し、全員が陰性の検査結果を提示した場合は、5人以上も可能となります。

飲食店への要請については、首都圏だけをみても対応が割れました。

神奈川は東京と同じです。千葉の認証店は、午後9時までの時短営業・酒の提供は可能です。埼玉では、ワクチン・検査パッケージ登録店で、利用者全員の接種歴や陰性を確認した場合は午後9時までの時短要請、酒の提供は午後8時半まで可能となります。

■5歳~11歳のワクチン接種…開始は3月以降を予定

各地でオミクロン株への対応が急がれる中、少し気になるデータが出てきました。

全国で今月16日までの1週間に発生したクラスター件数を施設別に示したグラフをみると、最も多いのは「学校・教育施設」で116件。飲食店や企業、高齢者福祉施設の2倍近くに上っています。

オミクロン株が、日本で急速に広がり始めた時期と、学校の新学期が重なったこともあるかもしれません。

こうした中、5歳~11歳の子どもを対象としたワクチンについて、厚労省の専門家部会が20日にも了承し、厚労相が、近く正式に特例承認する見通しとなりました。

これはファイザー製のワクチンで、5歳~11歳を対象とした海外の臨床試験では、発症を防ぐ効果は90.7%で、重篤な副反応は確認されていないということです。ワクチンの成分は12歳以上のものと同じですが、投与量は3分の1になります。接種開始は3月以降を予定しているということです。

■子どもへのワクチン接種 期待・目的は?

子どもへのワクチン接種について、日本小児科学会が19日、見解を示しました。

「感染者が増加した場合に、小児の中等症や重症例が増えることが予想される」などとした上で、「12歳以上の子どもへの接種と同様に意義がある」との見解を示しています。また、基礎疾患のある子どもについては「重症化を防ぐことが期待される」としています。

一方で、日本小児科医会は少し違う見方を示しています。「5~11歳への接種の最大の目的は、感染した場合に受ける日常生活の制限の緩和。子どもでも感染したら、ほかの人にうつすかもしれないし、10日以上も行動が制限されると、子どもの心身への影響が大きい」などとした上で「十分な議論と準備の上で接種を実施することが求められる」としています。



子どもへの接種を巡っては、様々な意見や考え方がありますが、打ちたい、打たせたいという子どもや親の選択肢が確保されるという意味では、承認は大きな意義があるといえます。メリットとデメリットをしっかり理解し、個々の事情と照らし合わせて判断してほしいと思います。

(1月20日午後4時30分ごろ放送 news every.「ナゼナニっ?」より)