“数十年に1度”開花なのに…幻の花「リュウゼツラン」各地で咲き誇る
“数十年にたった1度しか咲かない”花、「リュウゼツラン」は、「幻の花」ともいわれていますが、いま日本各地で続々と咲いています。その理由を探りました。
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「もう感激ですよ~!」
「1か月、2か月前に急に伸び始めて」
見上げるほど背の高い、巨大な植物の名前は多肉植物「リュウゼツラン」。いま、この植物に専門家も騒然の事態が起きています。
中部大学 応用生物学部 堀部貴紀准教授
「すごいなとも思いますが、同時に怖くも感じます」
いったい、何が…
記者(横浜市港南区 14日)
「きょうも多くの人が集まっています」
横浜市の住宅街。大通りの中央分離帯には、にょきにょき伸びた「リュウゼツラン」が。その名の由来は、肉厚でとげのある葉っぱの部分を「竜の舌」にたとえたから。
14日に開花が確認され、高さは推定8メートルです。(横浜市港南土木事務所による)
この光景に、びっくりして見上げる人や、“映え”の努力に余念がない人の姿も。多くの人が集まる理由、それは背の高さだけでなく…
「数十年に一度咲く花だと、皆さん、うわさされてて。楽しみです」
「リュウゼツラン」が花を咲かせるのは、数十年に一度だけ。あまりの珍しさに、誰が呼んだか、“センチュリープラント・世紀の植物”という名前もあるといいます。
「咲きましたー!」
「寄せ書きいっぱいありまーす。たくさん集めました、みんなの気持ちを」
「リュウゼツラン」への寄せ書きを集める人も登場。
数十年に一度、めったに咲かない花。多くの人を笑顔にする裏で、いま、各地で「リュウゼツラン」が咲くという異変が起きています。
東京ディズニーランドのアメリカ西部をモチーフにしたエリアで、ひっそりと「リュウゼツラン」が咲き、“都会のオアシス”千代田区の日比谷公園でも先週、開花しました。他にも、愛知・兵庫・長崎など各地で、開花や急激な成長が報告されるようになったのです。
「数十年に一度」がここまで重なる理由について、専門家は2つの可能性を指摘します。
可能性のひとつは、昭和の“サボテンブーム”です。
中部大学 応用生物学部 堀部貴紀准教授
「昭和30年くらいに、サボテン多肉植物ブームがあって、その時に日本に入ってきたものが野外にでて、日本各地で路上で大きくなっているんじゃないか」
「リュウゼツラン」などの多肉植物が多く入ってきたという昭和30年代からの「サボテンブーム」。それから約70年。日本に入ってきた個体の子孫が、次々と花を咲かせている可能性を指摘。
もうひとつの可能性が、気温の上昇です。
中部大学 応用生物学部 堀部貴紀准教授
「平年よりも日本の気温が今年高いようなので、成長がよくなって開花する個体が増えたと」
夜でも気温が10~30℃ほどの環境が適しているため、今年の暖かさで成長が進んだ可能性があるといいます。
まだまだ続く、暑い夏。あなたの街でもリュウゼツランの花が咲く…かもしれません。