障害児支援「18歳の壁」 成人になり支援受けづらく… 夕方の「居場所」求める声
障害のある人が18歳を迎え、児童から成人となることで、それまで受けられていた支援が受けづらくなる「18歳の壁」の問題について、保護者らが支援の拡充を求め、声をあげました。
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シール貼りが大好きな、ちいちゃん(17)。
自閉スペクトラム症という、コミュニケーションに困難さを抱えることが特徴の発達障害があります。
障害が分かったのは4歳の頃。共働きの両親は、さまざまな支援制度を使い、育児と仕事を両立してきました。
ちいちゃんは今年で18歳。成人になりますが…。
ちいちゃんの母親 工藤さほさん(52)
「すごく不安がありますね。今からどうなっていくのかなって」
実は障害児の支援は、児童から成人となる18歳で、これまで受けられていた支援が受けづらくなる「18歳の壁」があります。
中でも大きな壁の1つが、夕方の居場所です。
現在、ちいちゃんは、特別支援学校で過ごした後、夕方まで施設で過ごす「放課後等デイサービス」を利用しています。しかし、このサービスは、原則として18歳を超えて学校を卒業するまでしか、利用ができません。
学校卒業後は、ちいちゃんの場合、成人向けの福祉施設などに通いますが、その終了時間は午後3時半頃まで。(自治体により違いあり)
それ以降を過ごす居場所はなく、このままでは、親のどちらかが仕事を辞めなければいけない可能性も…。
ちいちゃんの母親 工藤さほさん(52)
「油揚げとか、かみにくいもの、ほぼ丸のみなんですよ」
「ちょっと待ってスプーンで食べよう」
ちいちゃんの今の精神年齢は3歳前後。少しずつできることが増えていますが、18歳以降も1人で過ごすのは難しい状況です。
そこで、同じ境遇にいる親たちとともに記者会見を行った、ちいちゃんのお母さん。
ちいちゃんの母親 工藤さほさん(52)
「生活費、親亡き後の子に残す貯金など、切羽詰まった事情で働いている親がたくさんいる」
障害児を育てる母
「障害児ときょうだい児を養って、さらに自分の死後の子どもの生活費というものも稼ぎ出すためには、就労を継続しなければなりません」
親が働かざるを得ない状況に加え、成人の障害者施設で夕方まで過ごせる有料の居場所の仕組みなどの必要性を訴えました。
ちいちゃんの母親 工藤さほさん(52)
「17歳なんですけど手が小さくて赤ちゃんみたいで、その手を時々握ったり触ったりしながらともに出かけたり、寝る前にギュッてするんですけど、うれしそうに笑ったその笑顔を守ってあげたい」
障害がある人やその家族を含め、誰もが安心して過ごせる支援のあり方が問われています。