能登半島地震で外国人観光客は?……宿泊先で緊急地震速報「どこに避難していいか」 災害時のケアは…「避難所利用」にハードルも
国は違えども、思いはひとつ。日本を旅行中の外国人観光客から被災地へ、励ましの声が届いています。
フィリピンから日本を訪れている人
「石川の人たちへ、強くいてください。一緒に支え合って、状況が良くなりますように!」
イギリスから来日した人
「安心して皆さんが早く安全な場所に戻れるように、願っています」
4年ぶりに戻った外国人観光客。日本政府観光局が発表した、去年12月の訪日外国人の数は273万4000人(推計値)で、新型コロナウイルス拡大後、単月では最多となりました。
ただ、旅行中の気がかりの1つが、被災のリスクです。ベルギーからの訪日客は「日本では地震が度々起きることを知っています」。元日に能登半島を襲った最大震度7の地震を、外国の人たちはどう見たのでしょうか?
15日にコスタリカから来日した人は「SNSを通して、とても伝統的な建物が崩れた光景を見ました。津波が押し寄せたことも知っています。広く報道されていますよ」と話しました。
「地震や津波によって新年を祝う日が悲しい日になってしまったことを残念に思います」と気遣ったのは、ハンガリーから14日に来日した女性。「実は石川県周辺を訪れる予定だったけど、計画を変更せざるを得ませんでした」と、石川行きを断念したと明かしました。
能登半島地震が発生した当日に日本に滞在中だったオーストラリアの家族は「新幹線で長野県に向かい、宿泊先に着いた5分後に地震が起きました。あんな規模の地震は初めてです」と振り返ります。
長野県の宿泊先に着くやいなや、緊急地震速報が鳴り響いたといいます。どこが安全な場所かが分からず、不安だったそうです。
「倒壊の可能性があったので建物の中にはいたくありませんでした。でも外にいるのも怖い。だから、どこに避難していいか本当に分からなかったです」
もし日本で災害に遭ってしまったら、課題となるのが被災した外国人のケアです。
これまで被災地で外国人と向き合い、支援してきた武庫川女子大学の吉富志津代教授は「外国ルーツの人たちが避難所の情報を知らないことも多いので…」と指摘します。
29年前の1月17日に阪神・淡路大震災を経験。それをきっかけに、被災した外国人の支援組織を設立しました。能登半島地震でも、外国人対応についてアドバイスをしてきました。被災地での外国人対応の大きな課題は、避難所を利用するハードルの高さだといいます。
その解決策について「居場所だけじゃなくて、出番というか役割というか、自分たちもそこで何かを担っているというのが一番いいのかな」と言う吉富教授。阪神・淡路大震災の避難所でのエピソードを踏まえ、こうも話します。
「食べるものに制限のある人たちが、それを自分たちで作って、自分たちだけで食べるんじゃなくて、そこの避難所の人たちに振る舞ったりしたケースもありました。同じ地域の住民なんだ、同じ被災者なんだということを、みんなが意識を持つと一緒に頑張れる」
避難所の中で疎外感なく、地域の住民と力を合わせられる環境が重要だということです。
(1月17日『news every.』より)