体感治安悪化 振り込め詐欺対策急ぐ警視庁
警視庁管内の刑法犯の認知件数は減っているものの、依然、体感治安に不安を覚える東京都民が増えているという現状を踏まえ、警視庁は、被害額が増えている振り込め詐欺などの対策を強化する方針。
警視庁によると、11年1~11月の刑法犯の認知件数は17万811件と、前年同期比で約5%減少し、9年連続の減少傾向であることがわかった。しかし、11年12月26日に記者会見した樋口建史警視総監は「都民への世論調査では、治安が悪くなったと感じる人の方が多く、犯罪に巻き込まれる不安を感じる人が依然、過半数を占めている」などと指摘し、12年は「犯罪抑止総合対策を推進し、首都・東京の体感治安の向上を図りたい」と、治安回復に引き続き取り組む決意を述べた。
特に深刻なのは、振り込め詐欺による被害。全体の件数(11年1~11月)は、前年同期比で約10%減っているものの、被害総額は32億1498円と約15%増えている。これは一件あたりの被害額が増加していることを示すもので、全国でも東京都内の被害が最も多くなっているという。11年7月には、北区の高齢者が2300万円をだまし取られている。また、振り込ませるのではなく、自宅などに犯人が訪れ、現金を手渡しで受け取る手口の割合が増加している。
警視庁は、被害防止に向け、「家族の間で合言葉を決めておき、電話の相手が本当に家族か確認する」「ATM(=現金自動預け払い機)の利用限度額を引き下げておく」「不審な電話があったらすぐに110番通報する」という3つの対策を呼びかけていて、特に被害に遭いやすい高齢者への呼びかけを強めている。
また、警視庁は「不審な電話、110番通報運動」を進め、通報に基づいて迅速に捜査員を展開させ、「受け子」や「出し子」と呼ばれる現金の受け取り役、引き出し役を検挙することが犯行グループ摘発の突破口になるとしている。さらに、事務所などの犯行拠点を発見することや、架空名義の携帯電話の販売など、振り込め詐欺を容易にする犯罪の摘発を強化することも考えている。