【NNNドキュメント】命を絶った17歳の高校生… 学校でのいじめ 母親の想いと大人たちの対応 NNNセレクション
2021年、福岡で17歳の男子高校生が部活動内のいじめを苦に自ら命を絶った。加害者への指導を約束したはずの監督も、その後、男子生徒を無視するなど不適切な指導があったとされる。子どもがいじめに悲鳴を上げる時、大人はどう動くべきなのか。
あの時、どんな言葉をかければよかったのか。とめどない後悔が、胸を襲います。
侑大さんの母親
「侑大がされたことについては、絶対許さない」
2024年3月。福岡県。
侑大さんの母親
「侑大ね、おにぎり好きやったんよ」
少年剣道の友人
「めっちゃ食べてましたよ」
「おにぎりっぽい、おにぎりや」
きょうは、息子の命日。
侑大さんの母親
「侑大にあげてもらっていい?」
少年剣道の友人
「2個で足りるかな?」
「10個じゃなくていいかな?」
「食べなー」
いつも、おにぎりを頬張ってから、剣道の朝稽古に励んでいた侑大さん。
2021年、高校2年生だったこの日、自ら命を絶ちました。
侑大さんの母親
「こんな仲間がいるのに、何で1人で逝っちゃったのって」
同級生は、二十歳を迎えました。
少年剣道の友人
「二十歳になって、みんなでお酒を飲んでってことがしたいなって話してたけど。そういうのが、もうないなと思うと、どうにもちょっとやり場がない気持ちですね」
中学の部活仲間を大切にしていた、侑大さん。
少年剣道の友人
「小学校から、結構レギュラーで(試合に)出てたりしてましたし。剣道するのが好きなんだなあ」
2019年。剣道部の特待生として、東海大学付属福岡高校に入学。寮生活を始めて2か月後。 突然、自宅に戻ってきました。
侑大さんの母親
「『死にたいけど、死ねんかった』って。帰ってきて泣き始めて。部活内のいじめですね」
寮の上級生たちにスマートフォンをとられ、あざができるほど殴られたと泣きながら訴えました。
翌日、息子と一緒に剣道部監督の男性教員に会いに行き、対応を求めました。監督は、その場で上級生への指導を約束。侑大さんは寮から出て自宅に戻りましたが、剣道部にはとどまることに。
しかし、その1年半後。侑大さんは 帰らぬ人となりました。
学校は自殺の原因を調べるため、第三者委員会を設置。2年に及んだ調査の結果、委員会は剣道部の複数の上級生から受けた10の行為を、「いじめ」と認定しました。
何度も殴られたこと。アダルトグッズを無理やり肛門に入れられそうになったこと。
第三者委員会・宇加治 恭子委員長
「剣道部の部室の中で、他の部員もいるところで、先輩3人がこの生徒の体を粘着テープで畳にはり付けて、下着をおろして手淫をするといったような、ひどい行為も確認されております。また、この状況をスマートフォンで動画に撮るといったことが行われておりまして、複数名の生徒にSNSで送信された」
いじめを主導したとされる上級生は、強制わいせつの疑いで書類送検され、少年審判で2年間の保護観察処分を受けています。
第三者委員会は、監督の男性教員の対応にも問題があったと指摘。勝つためには多少の厳しさもやむを得ないといった「独善的な指導」を続け、侑大さんには「生活態度の悪い部員」と、相手にしなかったとしています。
それでも学校は会見で――。
東海大学付属福岡高校・津山 憲司校長
「懲戒処分に値するような、不適切な指導は確認しておりません」
記者
「生徒の指導を任せられる人物という認識を、学校として今でも持っているのか」
東海大学付属福岡高校・津山 憲司校長
「部活動を指導させるに値するかということに関しては、今、指導をさせていますので値すると、判断しております」
高校の会見の翌日。
侑大さんの母親
「侑大がされたことについては、絶対許さない。いじめた子たちも、そこにいた顧問(監督)や教員や学校や私も含め、同じように背負っていっていただきたいです」
侑大さんの自殺の直接的な原因は今も特定されないまま。
学校は会見の1か月後、男性教員を剣道部の監督から外しましたが、処分の内容は明らかにしていません。
2024年5月19日放送 NNNドキュメント’24『いじめ、その時 大人は』をダイジェスト版にしました。
あの時、どんな言葉をかければよかったのか。とめどない後悔が、胸を襲います。
侑大さんの母親
「侑大がされたことについては、絶対許さない」
2024年3月。福岡県。
侑大さんの母親
「侑大ね、おにぎり好きやったんよ」
少年剣道の友人
「めっちゃ食べてましたよ」
「おにぎりっぽい、おにぎりや」
きょうは、息子の命日。
侑大さんの母親
「侑大にあげてもらっていい?」
少年剣道の友人
「2個で足りるかな?」
「10個じゃなくていいかな?」
「食べなー」
いつも、おにぎりを頬張ってから、剣道の朝稽古に励んでいた侑大さん。
2021年、高校2年生だったこの日、自ら命を絶ちました。
侑大さんの母親
「こんな仲間がいるのに、何で1人で逝っちゃったのって」
同級生は、二十歳を迎えました。
少年剣道の友人
「二十歳になって、みんなでお酒を飲んでってことがしたいなって話してたけど。そういうのが、もうないなと思うと、どうにもちょっとやり場がない気持ちですね」
中学の部活仲間を大切にしていた、侑大さん。
少年剣道の友人
「小学校から、結構レギュラーで(試合に)出てたりしてましたし。剣道するのが好きなんだなあ」
2019年。剣道部の特待生として、東海大学付属福岡高校に入学。寮生活を始めて2か月後。 突然、自宅に戻ってきました。
侑大さんの母親
「『死にたいけど、死ねんかった』って。帰ってきて泣き始めて。部活内のいじめですね」
寮の上級生たちにスマートフォンをとられ、あざができるほど殴られたと泣きながら訴えました。
翌日、息子と一緒に剣道部監督の男性教員に会いに行き、対応を求めました。監督は、その場で上級生への指導を約束。侑大さんは寮から出て自宅に戻りましたが、剣道部にはとどまることに。
しかし、その1年半後。侑大さんは 帰らぬ人となりました。
学校は自殺の原因を調べるため、第三者委員会を設置。2年に及んだ調査の結果、委員会は剣道部の複数の上級生から受けた10の行為を、「いじめ」と認定しました。
何度も殴られたこと。アダルトグッズを無理やり肛門に入れられそうになったこと。
第三者委員会・宇加治 恭子委員長
「剣道部の部室の中で、他の部員もいるところで、先輩3人がこの生徒の体を粘着テープで畳にはり付けて、下着をおろして手淫をするといったような、ひどい行為も確認されております。また、この状況をスマートフォンで動画に撮るといったことが行われておりまして、複数名の生徒にSNSで送信された」
いじめを主導したとされる上級生は、強制わいせつの疑いで書類送検され、少年審判で2年間の保護観察処分を受けています。
第三者委員会は、監督の男性教員の対応にも問題があったと指摘。勝つためには多少の厳しさもやむを得ないといった「独善的な指導」を続け、侑大さんには「生活態度の悪い部員」と、相手にしなかったとしています。
それでも学校は会見で――。
東海大学付属福岡高校・津山 憲司校長
「懲戒処分に値するような、不適切な指導は確認しておりません」
記者
「生徒の指導を任せられる人物という認識を、学校として今でも持っているのか」
東海大学付属福岡高校・津山 憲司校長
「部活動を指導させるに値するかということに関しては、今、指導をさせていますので値すると、判断しております」
高校の会見の翌日。
侑大さんの母親
「侑大がされたことについては、絶対許さない。いじめた子たちも、そこにいた顧問(監督)や教員や学校や私も含め、同じように背負っていっていただきたいです」
侑大さんの自殺の直接的な原因は今も特定されないまま。
学校は会見の1か月後、男性教員を剣道部の監督から外しましたが、処分の内容は明らかにしていません。
2024年5月19日放送 NNNドキュメント’24『いじめ、その時 大人は』をダイジェスト版にしました。