ANAとJAL共同で「カスハラ」対策 乗客の悪質な実態とは? 乗務員にコップ“投げつけ”…「ふざけるな!」暴言も
全日空と日本航空が、「カスハラ」に対する方針を共同で発表しました。また、乗務員などに対する、“悪質なカスハラの実態”も明らかになりました。
飛行機という、“密室空間”──。
乗客(60代)
「機内で離陸直前に、客室乗務員を呼ぶか、あるいは自分がトイレに行きたいかで立ち上がろうとし…もちろんそれは制止されますよね。(乗客が)それでもう、怒って…」
客によるハラスメント行為、通称“カスハラ”。
乗客(60代)
「『なんで俺の言うこと聞けないんだよ』、『客の言うことを聞けないんだ』…みたいな。もちろん、客室乗務員も嫌な思いしていますけど、私たちも嫌な思いしますよね」
こうした乗客の行為に、毅然と対応しようと、全日空と日本航空は共同で「“カスハラ”に対する方針」を策定。28日、会見を行いました。
ANA・CX推進室CS推進部 宮下佳子部長
「これまで、明確な基準がなかったことで、現場ではお客様対応の判断に迷い、従業員に大きな負担がかかり、休職や退職を余儀なくされているケースも発生しています」
航空業界ならではの、“カスハラ”の実態も明らかになりました。
機内での飲み物サービス中に…
客室乗務員
「冷たいお茶でございます」
客室乗務員が、メニュー表で乗客が指さしたと思い、「冷たいお茶」を出しましたが…
乗客
「俺はジュースが欲しかったんだよ、ふざけるな!」
客室乗務員は「大変申し訳ございません」と謝罪。「こちらのジュースはいかがでしょうか」と、別の飲み物をすすめましたが──
乗客
「もう、いるわけないだろう…ふざけるな!」
コップを、乗務員に投げつけたというのです。
さらに、空港出発ゲートで起きた“カスハラ”の事例では──。
出発便が遅延した際の接客に対し、乗客は…
乗客
「不快な思いをさせた本人か責任者に、ターミナルまで来させろ。お願いではなく、“命令”だ」
その乗客はさらに、「電話での謝罪では済まない。自宅まで謝罪に来い」と要求。その後も、次のように、過剰な要求をしたというのです。
乗客
「本人の顔は覚えている。今後は、自分でつかまえて、声をかけて対応させる」
昨年度、全日空と日本航空では、それぞれ約300件の“カスハラ事案”を確認。
両社で協議を重ね…
JALカスタマー・エクスペリエンス本部CX推進部 上辻理香部長
「『カスタマーハラスメント』に該当する行為例を、9つ掲載しています」
「暴言・声・侮辱・差別発言・誹謗中傷」や「過剰な要求」など、“カスハラ”の該当例を具体的に9つあげて、会社によってあいまいだった“線引き”を明確化したのです。
この方針に、以前、機内でカスハラを見たという乗客は…
乗客(60代)
「いくら客でも、マナーっていうものがあるじゃないですか。『カスハラ』のことについて、そういう声明を出すというのはわかりますね」
全日空と日本航空は、快適な空の旅を提供するため、今回の方針を航空業界全体に広めていきたいとしています。