園児への「脅迫的な言葉」や「罰」も――初の実態調査で“不適切な保育”914件 対策は?…保育士に「心の余裕」と「満足度」を
保育士による虐待が後を絶たない中、国は初めて実態調査を実施しました。去年4~12月に「不適切な保育」が914件あり、うち90件は「虐待」でした。国はガイドラインを示しましたが、抜本的な対策は示されていません。都内の保育園でヒントを探りました。
■全国で相次ぐ保育士による虐待
色んなものに興味を示す保育所の子どもたち。常に目を配り、世話をするのが保育士の仕事ですが、虐待行為が全国で相次いでいます。
静岡・裾野市の「さくら保育園」では去年12月、元保育士の3人が園児の足をつかんで宙づりにしたなどとして事件になりました。
■政府が作成したガイドラインの中身
こうした実態について国が初めて、全国の自治体に調査を実施しました。園児に対する脅迫的な言葉がけや罰を与える行為など「不適切な保育」が、去年4~12月に914件確認され、そのうち90件が「虐待」と確認されたということです。
こうしたことを受け、政府は不適切な保育があった場合に保育園や自治体が取るべき対応などをまとめたガイドラインを作成しました。
ガイドラインでは、これまで曖昧だった「不適切な保育」の意味を「虐待などと疑われる事案」と整理し、日常的な相談・支援体制などを示しました。
■昇給より人員確保を優先...なぜ?
一方で、不適切な保育を防ぐ抜本的な対策は示されていません。どうすればいいのか、東京・墨田区の小規模認可保育園「ちゃのま保育園」を取材しました。
大切にしていたのは、心の余裕です。保育士の1人は「(子ども)1人1人にゆったりと時間をかけてあげられるなと。自分の気持ちにも余裕が持てて」と言います。
この園では保育士の意見をもとに、昇給よりも人員の確保を優先。忙しい時間帯は1~2歳の子ども2人に保育士1人という手厚さです。
また、外部の臨床心理士との面談も1年に1度設定しています。日常的に相談できる環境もつくり、保育士の心のケアにも取り組んでいるということです。
ちゃのま保育園 宮村柚衣代表
「保護者の満足度を上げてくれるのは保育士さんたちなので、できるだけ、保育士さんの満足度を上げられるだけ上げようという努力は日々しています」
(5月12日『news zero』より)