天皇皇后両陛下 2002年ニュージーランド・オーストラリアへの親善外交 【皇室 a Moment】
一つの瞬間から知られざる皇室の実像に迫る『皇室 a Moment』。今回は、2002年に天皇皇后両陛下がニュージーランド、オーストラリアを訪問された際のエピソードを、日本テレビ客員解説員の井上茂男さんと振り返ります。
―― こちらの写真、井上さん、かなり距離が近いですね。
コロナ禍にあってはちょっとびっくりするシーンですね。
2002(平成14)年12月、皇太子ご夫妻時代の天皇皇后両陛下が、ニュージーランドを訪問し、先住民族マオリの「ホンギ」と呼ばれる鼻をつけ合う挨拶を交わされている場面です。
ニュージーランドの首都ウェリントンで行われた歓迎式典には、マオリの人々が参加し、オセアニアの文化の多様性を示しました。この訪問は、愛子さま誕生のちょうど1年後に行われた親善訪問でした。両国は先月、トンガの津波被害を受けていち早く救援に乗り出して注目された近隣国です。
―― 2002年のご訪問は、お二人での久しぶりの外国公式訪問だったんですよね?
こちらは両陛下の結婚後の海外訪問の一覧ですが、1995(平成7)年の中東訪問から数えて約8年ぶりの親善訪問でした。2度にわたった中東訪問は、ご結婚前から計画され、2度延期になって行われた経緯があります。
この旅の後も、お二人は、ヨルダン国王の葬儀や、ベルギー皇太子の結婚式で外国を訪問されていますが、友好親善を目的にイチから検討・計画された海外訪問は、このニュージーランド・オーストラリア訪問が初めてで、そしてそれが最後になっています。
皇后雅子さまは、訪問直前の記者会見で「外国訪問をすることが難しい状況は、正直、その状況に適応することになかなか努力が要った」というように述べられています。
お世継ぎへの期待からの配慮があり、また皇后さまの適応障害もあったわけですが、外交官出身であったことを考えると“異常”なことだったと改めて思います。