両陛下、愛子さま「窓」を詠む~歌会始~ 【皇室日記@日テレNEWS24】
「皇室日記@日テレNEWS24」。皇室取材に長年携わって来た日本テレビ客員解説員の井上茂男さんと、皇室に関わるニュースをお届けします。今回取り上げるのは、1月18日行われた「歌会始の儀」です。陛下が2年続けて和歌に込められた思いとは・・・・
■歌会始 天皇陛下の願い
皇居で1月18日、新年恒例の「歌会始の儀」が「窓」というお題で行われました。
天皇陛下は去年に続き、今年も新型コロナ感染拡大の収束を願う歌を詠まれました。
「世界との往き来難(がた)かる世はつづき窓開く日を偏(ひとへ)に願ふ」
と、コロナ禍が収束し、大きく落ち込んでいる世界との往来が再び盛んになる日を詠まれました。
皇后さまは、
「新しき住まひとなれる吹上の窓から望む大樹のみどり」
と、皇居への転居を題材に詠まれました。
両陛下の長女、愛子さまは大学の試験期間中のため出席されませんでしたが、初めて
「英国の学び舎に立つ時迎へ開かれそむる世界への窓」
という歌を寄せられました。
―― 井上さん、歌会始のニュースにどんなことを感じられましたか?
天皇陛下の歌の結びの「願う」に、コロナの収束を願われる強い思いを改めて感じました。今年の新年の一般参賀も、今月の天皇誕生日の一般参賀も中止され、皇室の活動も大きな影響を受けています。
去年の陛下の歌は「人々の願ひと努力が実を結び平らけき世の到るを祈る」でした。
今年の「願ふ」、去年の「祈る」――ご自分の心の内をストレートに出して結ばれているところに、強い思い、願いを感じます。
■愛子さま 開かれた「窓」の喜び
――愛子さまは初めて歌を寄せられましたね。
高校2年生の夏休み、イギリスの学校のサマースクールに参加された時の、心弾む気持ちを詠まれた歌でした。
初めての海外、世界への窓が開かれ始めるという、思春期の心浮き立つ気持ちが伝わってきます。
約3週間の滞在でしたが、女性皇族も海外留学をされるようになりましたので、愛子さまにもぜひ海外で学んでいただきたいと思います。
天皇陛下は英国留学中にヨーロッパ王室の方々と親交を深められました。
今、ヨーロッパでは、将来、女王となる王女たち、ベルギーのエリザベート王女、オランダのアマリア王女、スペインのレオノール王女、次の次になりますがノルウェーのアレクサンドラ王女と同世代の方々がいます。
愛子さまにも、陛下と同様、留学先でこうした方々といろんな親交を深めて、いろんなおつきあいをしていただければいいなと思います。
―― この王女達は、皆さん女王になられる方々なんですね?
皇太子、次の君主になる王女であったり、次の次の君主になる方です。
―― 今、コロナ禍で直接の交流は難しいですけれど、コロナ禍が収束したあかつきには、愛子さまもこの同世代の女王になられる方々と交流していただきたいですね。
【井上茂男(いのうえ・しげお)】
日本テレビ客員解説員。皇室ジャーナリスト。元読売新聞編集委員。1957年生まれ。読売新聞社で宮内庁担当として天皇皇后両陛下のご結婚を取材。警視庁キャップ、社会部デスクなどを経て、編集委員として雅子さまの病気や愛子さまの成長を取材した。著書に『皇室ダイアリー』(中央公論新社)、『番記者が見た新天皇の素顔』(中公新書ラクレ)。