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【皇室コラム】天皇陛下 トンガお見舞いと70年の交流

2022年2月8日 3:00
【皇室コラム】天皇陛下 トンガお見舞いと70年の交流
トンガ・ツポウ5世国王(先代)戴冠式 2008年8月 トンガ・ヌクアロファ

津波で大きな被害を受けたトンガのツポウ6世国王に、天皇陛下がお見舞いの電報を送られました。陛下の訪問は3回。良くしてもらったことを思い出し、被災した人たちを案じられているそうです。そこには70年に及ぶトンガ王室との親密な交流があります。

(日本テレビ客員解説員井上茂男)

【皇室コラム】「その時そこにエピソードが」第14回<天皇陛下トンガお見舞いと70年の交流>

■「友情の島」と探検家キャプテン・クックが呼んだ島

2008(平成20)年の夏。先代のツポウ5世国王の戴冠式に出席される皇太子時代の天皇陛下に同行し、トンガのトンガタプ島にある首都ヌクアロファを訪ねました。オーストラリアのシドニーを経由して東京から飛行機で14時間。約10万人が暮らす南半球の島国は、真冬なのに日中の気温は30度近くまで上がり、夜になっても汗ばむほどでした。

最初に感じたのは、大柄な人たちが多いことと、柔らかな笑顔にあふれていたことでした。
『ガリバー旅行記』に登場する巨人の国のモデルとも言われ、18世紀の英国の探検家キャプテン・クックが人々の親切に「友情の島」と呼んだと聞き、納得したものでした。信号機はなく、たまに見かける標識は「GIVE WAY」。タロイモ畑を通り抜ける幹線道路の脇を、子ブタがちょろちょろ走るのどかな島でした。

8月1日。戴冠式は王宮に近い教会で行われました。国王は賛美歌の合唱の中で入場し、聖書に手を置いて宣誓、司祭から王冠を授けられました。英国のエリザベス女王の戴冠式のようなーーと思ったら、1845年にトンガを統一したキリスト教徒の国王が英国王の名前にならって「ジョージ・ツポウ1世」と名乗り、保護領を経て1970(昭和45)年に独立、英連邦に属してきた歴史がありました。

戴冠式の夜。お祝いなのか海岸のあちこちで火がたかれ、闇の中でくるくると回る火も見えて幻想的でした。車を止めて海岸に下りると、バナナなのか大きな葉が燃やされ、子どもたちが葉や茎の端に火を移して勢いよく回していました。子どもたちの輝く目を思い出します。

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