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両陛下が新年ビデオメッセージに寄せた思い

2021年1月25日 18:04
両陛下が新年ビデオメッセージに寄せた思い

月に一度の「皇室日記@日テレNEWS24」。長年皇室取材に携わってきた日本テレビ客員解説委員の井上茂男さんと皇室に関わるニュースをお届けします。今回は、両陛下による新年のビデオメッセージについて解説します。

今年は、新型コロナウイルスの感染拡大により、新年一般参賀が行われなかったため、両陛下は1月1日、ビデオメッセージの形で国民に向けて語られました。

天皇陛下と皇后さまはメッセージで以下のように述べられました。 

天皇陛下と皇后さま「皆さん新年おめでとうございます」「おめでとうございます」

天皇陛下「私たち人類は、これまで幾度も恐ろしい疫病や大きな自然災害に見舞われてきました。人々が将来への確固たる希望を胸に、安心して暮らせる日が必ずや遠くない将来に来ることを信じ、皆が互いに思いやりを持って助け合い、支え合いながら、進んで行くことを心から願っています」

皇后さま「この1年、多くの方が本当に大変な思いをされてきたことと思います。今年が皆様にとって少しでも穏やかな年となるよう心からお祈りいたします」

――井上さんは両陛下のメッセージをどうご覧になりましたか?

新型コロナが広がって1年。陛下はメッセージを出すタイミングを慎重に見極め、新年の一般参賀のお言葉に代えてビデオメッセージを発表されました。医療関係者をねぎらい、国民の身を案じ励まそうとされる思いが伝わってきました。ご自分たちを埒外に置かず、「私たち」という言葉で、一緒にいる、国民と共にあるという姿勢を改めて示されたと思います。

――皇后さまがメッセージを寄せられたのも新鮮でしたね。皇后さまのご様子はどのようにご覧になりましたか?

皇后雅子さまが隣にいて、言葉を述べられる形に、何かほっとする「令和流」を感じました。病気の回復途上の皇后さまが、ずっとカメラを見つめ、時に目を瞬き、頷かれる姿が、陛下の言葉の行間を十二分に埋めていたように感じられました。今の言い方で表現すると、SNSの「いいね」を押したいような思いで聞きました。

――今後の皇室の行事ではどういったことに注目していますか?

新型コロナの影響で延期された新年の宮中行事、特に「歌会始」です。歌が選ばれた「預選者」が全国から上京することもふまえ、安心して開催される時にという配慮ですが、伝統行事がどのように開催されるかが気になります。

歌会始には、外国の駐日大使たちも順に招かれ日本の文化に触れています。かつて、北欧の王国の大使と居酒屋で会食しながらいろいろ話をしたことがあるんですが、その大使は「日本の人たちは天皇陛下と短いポエムでつながっている。それも『お題』という同じテーマで。そんな君主国はどこにもありません。日本はすばらしい」と熱く話していたことを思い出します。

【井上茂男(いのうえ・しげお)】
日本テレビ客員解説委員。皇室ジャーナリスト。元読売新聞編集委員。1957年生まれ。読売新聞社で宮内庁担当として天皇皇后両陛下のご結婚を取材。警視庁キャップ、社会部デスクなどを経て、編集委員として雅子さまの病気や愛子さまの成長を取材した。著書に『皇室ダイアリー』(中央公論新社)、『番記者が見た新天皇の素顔』(中公新書ラクレ)。

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