愛媛と岡山で山火事延焼 長引く避難…広がる支援の輪 韓国でも山火事、24人死亡「消火中」墜落事故も
愛媛県と岡山県で山火事が発生し、今も延焼が続いています。避難生活が長期化し、停電や断水への不安も募るなか、支援の輪が広がっています。
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記者(26日午後)
「今も広範囲に煙が上がっています」
愛媛県今治市で山火事が発生してから26日で4日目。広がり続ける炎で、山肌がむき出しの状態に。
記者(26日午前)
「今、放水しました。2~3分おきですかね。ピストンで消火活動が行われています」
懸命な消火活動が続いていますが、日々拡大される避難指示は“異例の規模”となっています。現在、今治市と隣接する西条市をあわせて3848世帯、7494人にまで拡大。これは、今月9日に鎮圧した岩手県大船渡市の山林火災と比べて約1.6倍の人数となっています。(※大船渡市の山林火災避難指示:最大4596人)
今治市で起きた山火事で当初燃えたのは、高速道路近くのエリアで約61ヘクタール(※24日午前2時前時点)。その後、どんどん西側へ延焼。25日になると北の山に“飛び火”し、さらに延焼。そして、26日午後2時時点では、約417ヘクタールが焼け、現在も延焼中です。
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「news zero」が25日に出会ったのは避難を余儀なくされた親子です。
母親
「うちの庭の前が山だったので、かなり燃えていたのでかなり切迫してきている。金曜日が卒園式の予定です。それがどうなるか」
車に積んでいたのは…
母親
「ランドセルと1年生の制服。後で買える物でも最初になかったら悲しいかなと思って」
無事に小学校に通えるか、不安を感じていました。
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火災の影響は創業70年を超える和菓子店にも…。
和菓子店・店主
「断水と停電、そういったところが急になので、準備も何もできていなくて驚いたけど…」
今は解消しましたが、停電と断水が起きたときには、和菓子作りに使う機材のほとんどが使えない状態に。
和菓子店・店主
「使えるのは手だけ」
──また止まったら?
和菓子店・店主
「もう(仕事)ストップですね。袋に入れないと出せない。電気が長時間止まるようならお手上げですね」
店主の自宅には…
和菓子店・店主
「消火活動に水も必要だろうと、糸の筋ぐらいしか水が出てなかったけど(バケツに水を)ためました。どれくらい、また消したはずの火が起こるかわからないですもんね。考えていてもしょうがないので。考えていてもしょうがないんですけど…」
いつ火の手が迫るかと、夜も眠れないといいます。
避難所で出会ったのは、25日から避難している母親を迎えに来たという男性です。
母を迎えに来た人
「朝方見に来てのぞきに来たんですけど、全然笑顔がなくて、ここ泊まってもいいんですけどやっぱりしんどそうだから」
長引く避難生活で疲弊している人が多いといいます。
避難した人たちを支援する動きも広がっています。
「ティッシュペーパーとかは?」
「一応持って行きます。お心遣いいただいてありがとうございます」
ボランティアの人たちが、避難所へ足りない物資を届けていました。
さらに、カレーの炊き出しも。行っていたのは地元のサッカーチームです。火災で試合が中止になってしまいましたが、その時間で炊き出しを行っているということです。
同じく延焼が続く岡山市。避難指示はあわせて1091世帯、2133人に。住宅など6棟が燃える被害も出ています。延焼範囲は県内では過去最悪規模となる559ヘクタールになっています。
その岡山市では26日も炎が激しく燃えあがり、建物の近くまで迫っている場所もありました。
近隣住民
「心配です。夜は山の向こうが真っ赤」
上空から何度も消火を試みますが、鎮圧の見通しは立っていません。
そして、山火事発生から2日目の宮崎市。焼失面積は約50ヘクタール。一時、鏡洲地区の一部、70世帯に避難指示が出されていました(※全て解除)。
26日も朝から行われた消火活動。
記者(26日午前11時ごろ)
「広大な緑の真ん中に焼け焦げたような跡が広がっています。消防が火種の確認作業などを行っているとみられます」
宮崎市消防局は、これ以上、燃え広がる恐れがないとして、「鎮圧」を発表しました。
27日から28日にかけて、西日本ではまとまった雨が降る予想です。鎮火に向けた恵みの雨となってくれるのでしょうか。
山火事が起きたのは、日本だけでなく韓国でも。
先週21日、韓国南東部の慶尚南道で山火事が発生。その後も被害は、各地に拡大しています。26日も、ふもとの集落に火が。建物からは黒煙が上がり、窓ガラスは割れ、室内に火の手が。焼け落ちてしまった建物も。200棟を超える建物に被害が出ています。
行われている懸命な消火活動。ただ、25日の強風の影響で火は燃え広がり、6つの自治体、合わせて約1万8000ヘクタールが焼けたということです。これまでに24人が死亡、26人が重軽傷を負い、約2万7000人が避難を余儀なくされています。
避難した地元住民
「美しい山が全て燃え、住みやすい街がこうなってしまい悲しい」
また、思わぬ事故も。山火事の消火作業にあたっていたヘリコプター1機が墜落し、操縦していたパイロット1人の死亡が確認されたということです。
消防は、6つの自治体のうち、2つでは鎮火したとしていますが、一部の地域ではいまだ延焼が続いています。
(3月26日午後11時10分ごろ放送『news zero』より)